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前十字靭帯(ACL)損傷のメカニズム

前十字靭帯(ACL)損傷のメカニズム

一般的に前十字靭帯の受傷肢位はKnee-in toe-out(膝外反+膝外旋)といわれていますが、古賀らの研究によると、
①膝に外反力が加わると、MCLが緊張し外側コンパーメントに圧迫力が生じる


②この圧迫力により、脛骨の骨形態(脛骨外側高原の後傾)により、大腿骨外顆が後方に偏位し、脛骨前方移動および内旋が生じ、ACLが断裂する


③ACL断裂により脛骨前方引き出しに対するprimary restraintが消失し、また足部が地面に固定されていることも相まって大腿骨内顆」も後方に偏位し、ACL断裂後に脛骨外旋が生じる

※ACL損傷は着地後40ms程度で生じている

着地動作における、ACL損傷のリスク因子


①体幹が直立、もしくは後傾している
→重心が膝より後方に位置していることで、床反力により、膝の屈曲・股関節の相対的伸展が生じる(膝優位の着地動作)、また、大腿四頭筋が優位に働くため、脛骨の前方偏位を助長する

②股関節外転・外旋筋不全
→接地時に、股関節内転・内旋位となり膝が外反位になりやすくなる

③股関節の内旋制限
→股関節が内旋位でロックされていると、膝が外反位になりやすくなる
 臼蓋形成不全はACL損傷のrisk factorとなると報告されている

予防プログラム

膝関節のみならず、体幹や股関節に対するアプローチが重要

feed-forward strategyに焦点を当てたトレーニング
→接地後に反応するには150ms~200ms必要だが、ACL損傷は40msで受傷するため、接地前から膝や股関節の動きをコントロールする必要がある


参考文献

古賀英之:協議中のビデオ画像に基づいたスポーツ外傷の受傷機転の解析.臨床スポーツ医学.vol33.No1.2016


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