住んでいるマンションの下にセブンイレブンが入った。コンビニのマーケティングが高齢者にシフトしているというニュースを聞いて久しく、おひとりさま向けの惣菜も確かに充実している。
間もなく86歳を迎え、足腰の弱体化が顕著な同居父にとって、日々のちょっとした買い物には有り難い存在となることは間違いない、と思ったが、たとえ食べる物やお酒のストックが尽きようとも、開店以来いまだ足を踏み入れていないそうだ。
精算の方法が分からないのだという。
酒を買えば、成年であることを承認する画面に触れろ、現金で払えば手前の機械に放りこめ、SUICAではどのリーダーにタッチをするのか、店員はいちいち教えてはくれない。
現役であるときは業界紙の記事を書いていたのだが、手書きからワープロへと代わる時点で、早々にテクノロジーの進化に歩調を合わせることを諦めてしまった父は同年代の中でも極めて蒼然とはしているものの、父が現在身を置き、高齢者のサロンと化しているマンションの自治会でも同じようなことを言う人は多いのだという。
商品の補充・並び替えや万引き対策等もあり、人の配置は不可避で、かつそれは最低賃金のアルバイトで構わないというのに、なぜコンビニ業界は無人化をいち早く進め、常に先端のテクノロジーや方法を取り入れようとしているのか、わたしのマーケティング能力がその理解にまで及んでいない。
しかし、ひとつの現実として、わたしが暮らす下町において、業界のメインターゲットたる高齢者たちが深化から取り残され、日々その乖離が進んでいるのだとしたら、コンビニはどこへ向かっているのだろう。


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