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「忘れえぬあの本」day6「ぼくは勉強ができない」

最近は、本もネットで買うことが多くなりましたが、それは「買いたい本」が決まっている場合であって、それとは別に、何を買うともなしに本屋に行って、思いもかけぬ本に出会い、買って帰るというのが、本を買うという本当の楽しみのような気がします。

私はまずタイトルで引かれた本を手に取り、そして1~2ページ読んでみて、その後も読みたい!と思ったら買うし、そうでもなければまた棚に戻す、という形で本を買ってきました。

ところが、1~2ページどころか、まるごと全部その場で「立ち読み」してしまった本があります。正確には雑誌で、その中にあった「僕は勉強ができない」という山田詠美の短編でした。あまりに面白く、最後まで読んでしまったんです。そういう体験は初めてでした。

僕は勉強ができない

その短編小説だけを立ち読みし、他はあまり好みではなかったので買わなかった私。その時の本屋さん、ごめんなさい。その後同名の単行本(短編集)が出た時、私は迷わず買いました。

その後山田詠美の本は何冊か買いましたが、やはり私が一番面白く感じるのは、最初に出会った「僕は勉強ができない」。これは変わりません。ちょっと早熟な高校生の心の痛みを、周りのちょいと変わった大人たちが温かくおちょくる話です。とても甘酸っぱい青春の匂いがして、私は好きです。

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