統合失調症体験談〜入院から急性期まで編~

こんにちは、がむと申します。

僕は2019年から統合失調症を患っており、発症してからの体験談をみなさまに発信しております。

今回は僕が精神科病棟に入院し、急性期(統合失調症の一番重い時期)までを書いていこうと思います。

まず軽く前回のあらすじを書くと、度重なるストレスがきっかけで統合失調症を発症してしまった僕は、自宅で大暴れします。
実家暮らしだったため、母親に連れられて精神科病棟入院することになりました。

僕は入院するのが最初であり、また症状が重いということで、隔離室というところに入りました。

今回のお話は僕が隔離室に入るところから始まります。

まずみなさんは、精神科の隔離室についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?

トイレとベッドしかない刑務所みたいなところを想像した人もいると思いますが、まさにその通りで、必要最低限のものしかそこにはありませんでした。

僕は隔離室に入った直後、電源が切れたように眠りました。

昼過ぎに入院して、目が覚めたらすっかり外が暗くなっていたので、だいぶ長い間寝ていましたね。

目が覚めた後僕は、改めて自分が入院して隔離室にいることを自覚します。

何もない、そして誰もいない空間は初めてで、こんなとこいたら頭がおかしくなってしまうと思ったことを覚えています。

目が覚めて直後はそこまで調子は悪くなかったのですが、しばらくすると病気の症状が出てしまいました。

自宅にいたときと同じく、「この病院は邪気がたまっていて呪われているっ!」という妄想が出て、除霊するために僕は隔離室内の洗面所の水を口に含んで、床にそれをペッペッと吐き続けるという奇行に走りました。

すぐに看護師さん数人が駆けつけて、「なにしてんの!」とか「そんなことしてたらこの病院にいられらくなるよ!」とか言われました。

その後、僕は男性看護師二人に抱きかかえられて、別の隔離室に移動することになりました。

部屋を移動してる最中、僕は錯乱状態でずっと「あんしん あんしん」と唱えていました。

当時のことを振り返ると、おそらく看護師さんが来てくれたおかげで少し安心したんだと思います。

部屋を移動した後は、水をまき散らすことはしなくなりましたが、部屋の中をうろうろしたり、ベッドに横になっても、皮膚の中に蛇が這いずり回ってるような感覚があったりと、とにかく落ち着かなかったことを覚えています。

そんなこんなしていると、消灯の時間がやってきました。

夜は抗精神病薬と睡眠薬が処方され、薬の力で何とか眠ることができて良かったです。

翌日、僕はなぜか5時くらいに起きてしまいました。2度寝しようにも寝付けないし、何かしようにも、やることないしでとにかく辛かったことを覚えています。

さて、僕はこれから隔離室で2週間という期間を過ごします。短いと思う方もいると思いますが、僕にとっては永遠の時間と思えてしまうほど、長く壮絶なものでした。

最初の数日はとにかく妄想との戦いで、常にありもしない幽霊と戦っていましたね。

自分だけではなく看護師さんにも霊が乗り移ってしまうんじゃないかという恐れから、僕は隔離室にいる間ずっと、除霊の方法を模索していました。

たとえば水には除霊効果があるんじゃないかと思い、着ている院内着に水をつけてみたり、明るい気持ちでいれば取り憑かれないんじゃないかと思って明るい歌を大声で歌ってみたり…

はたから見ればだいぶおかしい行動をしていますが、その時の僕にとってはいたって真面目にやっていました。

ちなみに言うと、僕がよく歌っていた曲はamazarashiというバンドのスターライトという曲です。

その歌詞の一節に「ここまでの旅路を思い出してよ 胸が張り裂けそうな別れも 死にたいほど辛いときだってあったろう いつだったろう そのたび自分になんて言い聞かせてきたか ここが始まりだ始まりだって涙こらえたよ」という歌詞があるのですが、この歌詞に共感して泣きながら歌っていましたね。

ここで少し、この隔離室のルールについてお伝えしておきましょう。

隔離室では、歯磨きで洗面台に行くために廊下に出るときと、お風呂の時間の時以外は原則外に出ることはできません。
それと朝、昼、晩のご飯の時や清掃の時、夜の回診の時しか看護師さんは来ないため、何か用があるときには、その時に伝えなくてはならず苦労しました。

ちなみに他の病院の隔離室では、ナースコールを設置しているところもあるそうです。

また隔離室は、入浴→おやつ→娯楽の順で出来ることが増えていくシステムとなっています。

最初の入浴の許可が下りたのは入院して3日ぐらい経った頃だったと思います。

決まった時間になると看護師さんに呼ばれてお風呂に入るのですが、まだ病気が治ってない中で入浴するのは結構大変でした。

まず、各病棟に1つ大浴場があるのですが、他の患者さんと一緒に入浴するため、妄想によりこの病院全体に霊が取り憑いていると思っていた僕は、他の患者さんも例外なく霊がいるものだと思っていました。
そのため「霊(人)がいっぱいいる!どうしよう!」と思ってパニックになりかけながら入浴したことを覚えています。

大浴場では常に看護師さんが何人かいて、何か起きないか監視しているのですが、僕は洗髪をしながら「ドーン!ドーン!」と取り憑かれないようにと大声で言っていたことがあって、その時看護師さんから「静かにして!」と怒られたことがありますね…

やはりこの時期は体調がとても不安定で、昼はそこまで悪くないのですが、夜に調子が悪くなることはあり、まさに地獄のような日々でした。

ここで2つほど、調子が悪かった時のエピソードをお伝えします。

入院してから1週間たったころ、僕はいつまで入院すればいいんだとフラストレーションをため込んでいて、ついに夜中それが爆発して叫んでしまいました。そうすると看護師さんが2名来て「どうしました!?」と扉を開けました。
僕は「もう無理だ 脱走しよう」と思い、半開きになっているドアから出ようと試みました。しかし、2人がそれを全力で阻止し、あっけなく僕の脱走劇は幕を下ろします。

その瞬間僕は「そうかやっぱりみんな敵なんだ…」と思い、「しねー!しねー!」とおそらく生まれてから一番の声量で叫び続けました。

その後僕は疲れ果てベッドの上で「ごめんなさい…ごめんなさい…」と呟きながら眠りにつきましたことを鮮明に覚えています。

そしてもう一つのエピソードは、隣の部屋の患者さんとの話です。

患者さんとの話と言っても、直接的な関わりがあったわけではなく、その患者さんが四六時中「看護師さーん!」と大きな声で呼んでおり、時には「早く看護師こいよ!」と語気を強めに言うこともあり、それが僕にとってとても不快でした。

まぁ僕も叫んでいるんでお互い様なんですが…

僕はその隣人にとても強力な悪霊がついていると思っており、夜間回診する看護師さんにも、「あの患者さんには霊がとりついているから気を付けたほうがいいですよ」と助言をするほどでした。

ある夜、いつものように「看護師さーん!」と隣から聞こえてきて、イライラが募っていたころ、試しに僕が除霊してみたら収まるかな?と思い「ころす!ころす!」小さい声で呟きながら腕を上下に振って、さながら霊媒師のようなことをしていました。

すると隣人から、「何人ころしたー!」という怒号が聞こえてきて、僕はめちゃくちゃ恐ろしくなったことを覚えています。

……さて、前回も含めここまでとてもしんどいエピソードばかりでしたね。
書いている僕も思い出して正直辛くなりました。

しかし、これからは症状も落ち着いて回復してくるので安心してください。

このように病状が回復しないことから、入院してから服用している抗精神病薬【レキサルティ】から【インヴェガ】という薬に変えてもらいました。

この薬に変えて以降症状がだいぶ収まり、前述したような叫ぶことはしなくなりました。

しかし幽霊がいるとかの妄想は引き続いてあったんですけどね。

病状が安定したため、お菓子やジュースの飲み食いがようやく許可されることになりました。

僕は母親から入院時5000円ほどお小遣いをもらっており、医事課で金銭は管理されているのですが、このお金を使って、希望があれば1階にある売店で看護師さんがお菓子などを買ってきてくれるのです。

僕はコーラとポテトチップスを買ってきてもらいました。

食事は3食しっかり出てきますが、いかんせん量が足りず、また薄味のためジャンキーなものに飢えていました。

この日食べたポテチとコーラは、今までの人生の中で一番おいしかったのを覚えています。

ここまでくれば発病当初よりも症状が落ち着いてきたため、隔離室から出るのはもう少しです。隔離室から出る3日くらいまえには、ようやく漫画や新聞などといった娯楽をする許可が出て、毎日16時半までしか楽しめませんが、なんとかそれで暇をつぶせるようになりました。

しかし、隔離室から出る前夜、ちょっとした事件が起きます。

その夜、僕は明日には隔離室から出られると先生に言われおり、とても舞い上がっていました。しかしそれに反比例してなぜか体調が悪く、消灯時間になっても寝ようにも眠れませんでした。

その日ばかりは孤独感がとても強くなり、それによりパニック状態に陥ってしまいました。全身が痙攣して今まで感じたことのない感覚があり、1人で恐怖を感じていたことを覚えています。

そんなとき、1人の男性看護師さんが心配で見に来てくれて、「どうかしましたか?大丈夫だよ」と優しい声をかけてくださり、その言葉に僕はとても救われました。安心感から、発作は徐々に落ち着いてきて、なんとか眠れることができたのです。

翌朝、その看護師さんから「昨日大丈夫だった?」と声をかけてくださり、その優しさがとても身に沁みました。おそらく見ていないかもしれませんが、この場を借りて感謝を述べたいと思います。

そんな心が温まる朝を過ごし、ついに僕は隔離室から出ることになります。

これまでとても濃い隔離室生活でした。しかしこれからさらに濃密な病院生活が続いていくことになります。

今回の話はこれで以上になります。次回は閉鎖病棟から退院までを書いていこうと思いますので、更新をお待ちください。

ここまで見てくださり本当にありがとうございました。

また次回の記事でお会いしましょう!


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