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声の記念日博物館 「バレンタインデー」

ここは声の記念日博物館。あなたは館長になって、バレンタインデーの歴史や文化などを案内してみましょう。朗読台本としてはもちろん、1人声劇やシチュボとしてもお楽しみいただけると嬉しいです。


台本利用規約

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朗読データ

✓朗読時間 5~10分程度
✓ジャンル:ナレーション

朗読台本:声の記念日博物館 「バレンタインデー」


声の記念日博物館へようこそ。わたくしは、館長の日比野(ひびの)と申します。

この博物館では、あらゆる記念日の歴史や起源などを、わたくしの声でご案内しております。

えっ? チョコレートがほしい?

申し訳ございません。当館は博物館ですので、チョコレートの販売はしておりません。今日はバレンタインについてのご案内をするために、視覚的なディスプレイとしてチョコレートやマカロンなどを展示しておりますが、こちらは非売品でございます。どうかご理解ください。

ところで、お客様。バレンタインの起源はご存じですか?

最近の日本では恋人や友人、家族などにチョコレートをはじめとするお菓子を贈りあう日として定着しつつありますが、少し前までは女性が好きな男性にチョコレートを渡して「愛を告白する日」というイメージが強い日でした。

本当に好きな男性には「本命チョコ」、友人や同僚などに贈るものは「義理チョコ」なんて言われていましたね。「ホワイトデーは3倍返し」などとも言われていた時期もあり、ビビッていた男性も多いのではないでしょうか?

なかなかここから出ないわたくしは、最近の世間の流行には疎いのですが、こうした文化は今でも続いているのでしょうか?

まぁ、現代の話はこの辺にしましょう。

みなさま、こちらに展示されている立派な髭が特徴的な男性の肖像画をご覧ください。この方は、聖ウァレンティヌスといいます。何を隠そう、この方がバレンタインデーの起源となったのです。

時はローマ帝国の時代まで遡ります。当時の皇帝・クラウディウス2世は「家族や恋人を故郷に残したままでは兵士の団結心が下がる」として、兵士の結婚を禁止するよう命じていました。何とも残酷な命令ですね。

このとき、キリスト教の司祭であったウァレンティヌスは、皇帝に隠れてひっそりと若い兵士たちの結婚式を行っていました。やがてそれは皇帝に知られるところとなりますが、ウァレンティヌス司祭は、皇帝の命令に背き結婚式を執り行い続けます。その結果、彼は処刑されてしまうのです。

処刑された日は西暦269年の2月14日。

のちに、ウァレンティヌスの勇気と功績がたたえられ、毎年2月14日は「Saint Valentine’s Day(聖バレンタインの日)」としてローマ国民が祈りをささげる日となりました。

このウァレンティヌス、実は1名ではなく、3名の人格が合わさって出来た架空の人物ともいわれています。1人はローマの司祭、もう1人は司教のインテラムナ、そして3人目はローマ帝国領アフリカの殉教者です。この辺は諸説ありますので、今は置いておきましょう。

さて、バレンタインの話に戻ります。

バレンタインが恋人同士の日として定着したのは、14世紀頃と言われています。

諸説ありますが、ローマ帝国時代から家族と結婚の女神「ユーノの祝日」である2月14日の翌日に、恋人同士に関する祝典が行われていたからとする説が有力です。

ここまでは世界の歴史におけるバレンタインのお話をさせていただきました。想像以上に残酷な物語を経て、バレンタインデーという日に繋がっているということがお分かりいただけたでしょう。

ここで、日本におけるバレンタインデーについて簡単にお話しますね。

こちらに展示されてる広告をご覧ください。1960年頃のとある百貨店の広告なのですが「バレンタインデーにはチョコレートを」と書かれていますね。そう、日本におけるバレンタインデーは、百貨店とお菓子会社がチョコを売るための戦略だったのです。

こう言ってしまえば味気ないですが、まだまだ女性から男性に愛を伝えることが一般的ではなかったとされる時代。バレンタインデーが設けられたことで、女性が男性に愛を伝えていくきっかけになったことは間違いありません。

このような流れから、日本では基本的に「女性から男性にチョコレートを渡す日」として定着していますが、世界各国では違った文化で祝われています。例えばアメリカでは男性から女性に花や宝石、カードなどを贈り、フランスでは恋人や夫婦間で花やカードを贈りあうイベントとして普及しています。

ここまで、バレンタインデーについて解説いたしました。
悲しい歴史から始まったイベントではありますが、現在は大切な人にプレゼントを贈る素敵な記念日です。あなたもぜひ、ここを出たあとに、チョコレートやスイーツを買って、大切なあの人にプレゼントしてみませんか?

声の記念日博物館、本日は「バレンタインデー」について、わたくし日比野が解説いたしました。またお会いできる日があるといいですね。あなたにとって、今日が素敵な1日となりますことを、心より祈っております。

がみのろま自己紹介

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