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【産学連携・共同研究のススメ】産学連携する意義・気をつけること

「産学連携」いろんなところで聞く言葉です。
全国各地で色々な連携が進んでいて、プレス発表を聞かない日はないのではないでしょうか。
私も現在、産学連携にて大学との共同研究の真っ最中です。
今の共同研究はとてもいい形で進めれていると思いますが、ここに至るまでには他の大学でうまくいかないことも多々ありました。
この記事では、そもそもの共同研究の意義と、気をつけることなどをご紹介したいと思います。

企業と大学の共同研究の現状

まずは日本における企業と大学の共同研究の現状についてです。
文部科学省の技術・研究基盤部会の発表によりますと

文部科学省の
「産学連携等実施状況調査(平成18年度実績)」によれば、企業等と大学等との共同研究や受託研究が着実に増加し、企業等との共同研究は14,000件を突破するとともに、大学等からの国内外の特許出願件数や特許実施件数が増加するなど、
産学官連携や大学等における知的財産活動は着実に拡大してきている。

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu8/toushin/070905/005.pdf

とあります。
着実に増え、成功している研究がたくさん生まれています。

企業にとっての産学連携の意義(事業を創る)

企業活動の中での共同研究は、単純に社会貢献だけではダメで、利益生む何かにつながる必要があります。
最もわかりやすいのは新製品の開発や、新サービスの開発に役立つということです。
将来、企業が生むであろう利益に対しての研究開発の投資が共同研究になります。
企業側としては、社内だけの知見や技術では足りない技術を大学の力を借りて作ること、そこから、新しく企業の事業を作り出すこと、それが産学連携における共同研究の意義だと思います。

特に非R&D部門で共同研究をやるのであれば、ここは重要です。
非R&D部門で共同研究をはじめるための方法や注意点については以下のnoteでまとめていますのでこちらも合わせて読んでみてください。

企業にとっての産学連携の意義(関係力強化)

技術開発や新サービス・新製品開発が第一の目的でない共同研究もあります。
大学との関係力強化のためのものです。
営業的な関係力強化が目的という側面はもちろんですが、採用面での関係力強化を狙っている研究もあります。

共同研究は大学の学生さんも参加されることが多いです。
優秀な学生さんとつながるいい機会にもなりますので、企業にとっては採用面でもメリットがあるのが共同研究です。
共同研究のパトロンを社内で探す際に人事部門に声をかけてみるのも面白いと思いますよ。

大学にとっての産学連携の意義(研究費)

大学にとっては、いやらしい話、研究費が入ることが一番の意義になると思います。
研究活動にはお金が必ず必要です。
そのお金は大学の予算がメインになると思いますがなかなか潤沢に予算があるところは少なく、どの先生も苦しんでいるところではないでしょうか?
そこで、企業と共同研究することによって得られる研究費を使って研究活動をすすめるのです。
いやらしい話ですが、とても重要な意義です。

なお、共同研究にて企業が事業化し、収益が発生した際には大学にはもちろん、大学の規定もよりますが、研究者である先生にも成功報酬が支払われることがあります。
ですので、企業の事業化を見据えた研究をすることは先生にとっても重要な要素になるのです。

大学にとっての産学連携の意義(教育的な側面)

今、私が実施している共同研究には大学院の学生が入っています。
我々企業側の人間と話ながら、プロトタイプを作ってもらっています。
学生にとっては社会人の接する少ない機会のひとつになっています。

イメージとしては、企業にインターンしているような感じでしょうか。
普通に大学で勉強しているだけでは得られない経験を得ることができると思います。

Win-Winな関係になるか?

共同研究でダメになるパターンは始まる前からすでにWin-Winでないものが多いです。

例えば、企業としては事業にできるかどうかわからない状態で研究費を支払うためにできるだけ確度をあげた状態で研究をスタートしたいです。
ですので、研究開始前の打ち合わせ、ディスカッションがとても大切だと思います。

なのですが、、、大学の先生によってはお金が発生しない打ち合わせはしないスタンスの方もいらっしゃいます。
知識は財産であることは間違いありませんので、貴重な時間を割いていただいて打ち合わせするのであれば研究費が必要、ということはわからなくありません。
ですが、まだ研究の方向性も決まっていない状態からお金のお支払いが発生するのは厳しいですね。
ある程度大学側も企業に付き合う必要があると思います。

一方、企業側も注意すべきことはあります。
特に気にしたほうがよいのは、知財、利用料の扱いです。
事業化後に収益が発生した際の支払いに関して明らかに不平等な契約にするようなことはやってはダメだと思います。
大学は知が財産。
その財産を使って金儲けをするのですからある程度納得感のある契約にするべきだと思います。

お互いにWin-Winな関係で、お互いにメリットを享受できる、そういう研究は成功するし、継続できると思います。
私は今2つの大学と共同研究していますが、それぞれ3期、2期目に入りました。
今のところWin-Winないい関係で進められていると思います。


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