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[ポケモン]ヌメラレポート④ ヌメイルの目はなぜ退化したのか

ヌメイルには視力がないという事がカロス図鑑の一節で語られている。
これはヌメラやヌメルゴンに無い、ヌメイルの大きな特徴の一つである。

何でも 溶かしてしまう 粘液を
分泌して 敵を 撃退する。
目玉は 退化して 見えていない。

ポケットモンスター X 図鑑説明

この図鑑にある通り、ヌメイルの目玉は退化して見えていない。

ヌメラから進化し、能力も上がっているはずのヌメイルは進化によって目が退化てしまっている。
今回のレポートでは、この図鑑の一節をもとにポケモンの退化とそれに付随する進化の意味を考えるとともに、その考えのもとでヌメイルの目玉の退化の原因を考察する。


●ポケモンの進化と退化

まず前提として図鑑説明で語られる退化と、それに付随する進化の意味について考える。

◯生物の「退化」とは何か

生物の退化について調べるとこのような説明がある。

生物体のある器官・組織が発生や進化の過程で、形が単純になったり、小さくなったり、機能が減退したりすること。

Oxford Languagesの定義 より

生物の「退化」とは、文明等の長い時間をかけて進歩し続ける概念に対する「退化」の「以前の状態へ逆戻りする」の様な意味とは違い、進化の過程で機能が減退することを指すことがある。
例えば人間も尻尾が退化し現在の状態に進化したように、退化とは進化の一部であると言える

◯ポケモンの「しんか」

次にポケモンの進化がどのようなものかを考える。
まずポケモンの進化を語るにおいて重要な文献がある。
それは「ポケモン化石博物館」の展示である「トピックス 『しんか』と『進化』」にて語られている。

この展示の一節にはこう語られている。

ポケモンの世界の「しんか」
ポケモン世界内の「しんか」は、同一個体内で起きる現象です。
(中略)
一見、私たちの世界でいう「成長」にも近いように思えますが、「成長」以上の変化が起きていそうですし、月日などともそれほど関係ないようです。
 
私たちの世界の「進化」
私たちの世界での「進化」は同一個体内では起きず、集団レベルで、何世代にも渡る長い時間を経て起きる現象です。
(中略)
また、私たちの世界での日常生活では「進歩」というような意味合いで「進化」が使用されることもあります。「進化」の語源を考えると、これも間違いではありません。「進化」という言葉には多くの意味が含まれるんですね。

ポケモン化石博物館 トピックス 『しんか』と『進化』より

博物館展示の様子をブラウザからVRで見れるサイトがあります。
今回は一例として国立科学博物館を参考にしました。

この通りポケモン世界での「しんか」と我々の生きる世界での「進化」は明確に区別される程大きな違いがある言葉なのである。

また、一見ポケモンは「進化」と関係がないように見えるが、一部のポケモンが「進化」してきた事が示唆された図鑑説明がある。

一例としてホウエン地方のズバットの図鑑説明にはこうある。

まっくらな どうくつで せいかつしている うちに りょうめが ふさがり みえなくなってしまった。ちょうおんぱで しょうがいぶつを たんちする。

ポケットモンスターエメラルド 図鑑説明

ズバットは生活環境で不要になったために両目が塞がったポケモンである。
ズバットのように「しんか」していないポケモンに起こる退化とは、当然「しんか」にかかるものではなく「進化」の過程での退化である。

つまりポケモンにおいては「しんか」と「進化」の両方が起こり得る事が分かる。

そのため今回のヌメイルの図鑑説明ではこれをどちらの退化の意味で記されたものなのかは判断ができないが、「進化」による退化の可能性もあるとすれば、太古のヌメイルに視力があった可能性を考えるなどの考察の一助として扱うことはできる。

●ヌメイルの目はなぜ退化したのか

次に本題であるヌメイルの目玉の退化についていくつか仮説を立てて考える。

◯[仮説1]発達した触覚により視覚が不要になった

今回のテーマの発端となったカロス地方の図鑑説明にはもう一つ別の内容が記されている。

4本の ツノは 高性能の レーダー
耳や 鼻の 代わりに
音や においを 感じ取る。

ポケットモンスター Y 図鑑説明 

レーダーとは発射した電波の反射から対象物を測定する装置だが、ヌメイルにはこれが体の一部として備わっている。

また、音やにおいもレーダーで感じ取るのであれば、恐らく聴覚や嗅覚も視覚同様に退化しているものと推測できる。
においまでも触覚で感じ取れるのは些か懐疑的ではあるが、そこまでの高性能な感覚器官を持つならばここから視覚と同等の情報を得ていても不思議ではない。
この触覚のおかげで目玉が不要な感覚器官となり退化したと考えることができる。
これは前述の「進化」の過程での退化の考え方である。
前述のズバットのように不要な器官は使わなくなり退化するのは生物として起こり得る進化だと考える。

◯[仮説2]ヌメルゴンへの進化のための身体構造の変化

私たちの世界でも昆虫が幼虫から蛹を経て成虫へ成長する、いわゆる変態が起こるように、ヌメラからヌメルゴンへ進化する過程であるヌメイルにも同じ役割があるのではないだろうか。

例えば、蛹の役割には成長や成虫組織への分化が挙げられる。これは蛹の中で複眼や翅等、成虫へ成長する際に起こる変化のことである。

パルデア地方でのヌメイルの図鑑には

背中の 渦巻き状の 突起に
脳や 心臓など 大事な
器官が すべて 詰まっている。

ポケットモンスター スカーレット 図鑑説明

とあるように、ヌメイルは主要な器官を突起へ集中させている。これはヌメラからヌメルゴンへの進化の過程で体の作りが大きく変わる事から、極端な体格の変化の準備段階となるのではないだろうか。
現に、ヌメラの平均体格は[0.3m/2.8㎏]に対し、ヌメルゴンは[2.0m/150.5㎏]と高さは約7倍、重さは約54倍というとてつもない体格の変化が起こっている。
つまりその「しんか」の過程であるヌメイルのみが、身体組織を作り変える為に一時的に目が退化しているのではないだろうか。

これは前述の「しんか」に対する退化の考え方である。

●まとめ

今回はヌメイルの図鑑説明の一節からポケモンの「しんか」と「進化」及び退化について、またヌメイルの目が退化した要因について考察した。

ヌメイルについては各地方の図鑑説明でヌメラやヌメルゴン以上に身体の作りについて説明されており、非常に生物としての理解が進んだポケモンであると実感した。
また近年ヒスイ地方のリージョンフォームが発見されたことにより、生息する環境によってヌメラから進化した姿が変わるという大きな特徴がある等、今まで知られていなかったヌメラやその進化先について飛躍的な理解が進んでいる。

今回、一考察として調査した内容の明確な理由が解明される日も遠くないのかもしれない。

★[付録]ヌメイルへの解像度の高いグッズの紹介

2023年2月に発売された「Midnight Agent -the cinema-」というグッズシリーズがある。
その中のニンフィアのイラスト背景に居るヌメイルは他のドラゴンと違い、目をハートマークにしていない。
当初はヌメイルの鈍感な様子を表すものだと捉えていたが、これはヌメイルの目が見えていない特徴を考慮した非常にヌメイルへの理解度の高いイラストだったのではないかと今記事を通して考えることができる。

ちなみにイラストレーターはREO spikeeさん。

●最後に

GOフェスの時に撮影したヌメイル

ここまで読んでいただいてありがとうございます。
今年もヌメラの日(7/4)に投稿できそうで安心してます。

ヌメラレポート4回目の今回はヌメイルの目についての話でした。副産物的にポケモンの進化についても触れてみました。
もともとこの進化の話はどこかで取り入れたいと思っていたので、今回のレポートに絡められて大変満足しています。

そういえば今回もイラストを描いてみましたが、こんなしょぼいクオリティを数枚でも自分が描くと5,6時間かかるんですよね。

シャリタツも好き。

なので本当にイラストを描き続けている人って凄いと思うんです(当然)。

そして実際描いてみると、想像している以上に自分の中で思い描いているイメージをイラストとして出力する事が難しい。
ヌメラくらいの比較的コストの低いデザインでも、見る角度によって変わる些細な形の変化を出すのに何度も下書きをしたりします。
それだけしてしてこれなんですが。

まあそんな自分がそこまでしてイラストを描く理由は、やはり「手作り感」を出したいからなんです。
例えば今回の記事も公式絵をペタペタ貼ってもそれらしいものは出来るかもしれませんが、それだとどうしても味気ない。
それに題材にあった画像を使うには自分で描くしかないので、そういった意味でも自分で描く事は柔軟性のある選択だと思っています。

それにせっかく内容は色々なものを調べ回って書いてるので、細部まで自分で作ったという納得をしたいという意味でも出来るだけ自分で描いています。

もちろん全ての記事に対して何か書くほどの気力は保てないのですが、好きなポケモンを語る時ぐらいはこれからも描いていこうと思います。

イラストに限らず何にしても、好きなものが挑戦の起点となれるのは素敵なことだと思います。

おわり(δ~δ。) (o・~・o )?


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