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第3期TOPANGA CHAMPIONSHIPはカワノ優勝!ストVラストシーズンにようやく訪れた世代交代と若手の台頭

ストリートファイターVの個人戦最高峰を争う国内大会『第3期TOPANGA CHAMPIONSHIP(トパンガチャンピオンシップ)』(以下第3期TC)について、振り返りを行います。

ストVおじ世代がついに若手に世代交代

ストVではこれまで、ウメハラ、ときど、ももち、ふ~ど、マゴ、ボンちゃん、どぐら、sakoさん、板ザン、まちゃぼー、ネモ、藤村といったベテランや中堅選手が常に大会常連となっており、若手の壁として立ちはだかった。
唯一そこに割って入ったのはカプコンカップ2018覇者となったガチくんだけである。(※1992年生まれのため26歳前後でタイトル獲得)

2021年開催の第3期TCの決勝リーグ(オフラインでの総当り決勝リーグ)に進んだのは、”いつメン”のおじ世代ではなかった。

決勝進出の7名の顔ぶれを見ると、ときど、板ザン、ガチくん、ひぐち、カワノ、水派、様式美となる。
「おじ世代」はいるものの、若手格ゲーマーの台頭を予感させるメンバーが顔を揃えた。

ときどは第1期TC優勝。今回はキャラをユリアンに換えて2回目の戴冠を狙う。
同じく第2期優勝の板ザンは連覇を狙う。ガチくんは直近大会で安定して結果を残しており、今最も勝率が高い選手と言われている。使用キャラのラシードという特性上、長期戦に不利な部分があるためか、リーグ時代も含めてTCは優勝経験がない。

この3名の選手は実績もあり、予選から比較的順当に決勝リーグに駒を進めた形だが、残りの4名はひぐち、カワノ、水派、様式美という選手たちだった。

ひぐちとカワノは若手のトッププレイヤーに真っ先に名前が挙がる2人だ。
(他に、りゅうせいとナウマンもいるが、今大会は振るわなかった。)

カワノは予選ブロック敗退の危機から敗者復活で紙一重の勝利を手繰り寄せて決勝への切符を掴み取った。今最も勢いのある選手だ。

水派は急激に力を付けているチーム魚群の若手。
オンライン本選リーグの前に行われた予選トーナメントを勝ち残り、その勢いで決勝リーグまで生き残ったのは実力によるものだ。

様式美は決勝リーグの中では唯一のノンスポンサード選手で、キャミィを使用し速い展開に強いプレイが特徴。今シーズン最強と言われるキャミィでどこまで勝てるかも注目された。

ここで、決勝リーグに残った3人の若手選手を見ていく。

「シノビズムの最高傑作」ひぐち

ガイルを使用。シノビズムゲーミング所属の学生ゲーマー。
これまでは、強豪ガイルの一人ではあったが、最上位はやはりウメハラだった。
国内の猛者選手は対ウメハラガイルの練習相手としてひぐちを指名し続ける。
この虎の穴で鍛えられた結果か、2021年4月に行われたJesu公認大会の大学生頂上決戦で優勝という結果を出す。

そして、僅か7名だけが生き残る狭き門のINTEL World Openのクローズド予選進出、更に第3期TOPANGA CHAMPIONSHIP決勝リーグ初進出と、2021年に立て続けに結果を出した。
これまでの第一人者のウメハラガイルを超えたとも言われ、国内ガイルの最右翼と言える存在だ。
ウメハラとはプレイスタイルは異なるが、正確無比なコントロールと冷静な駆け引き、ここぞという場面で通す読みなどで常人を凌駕するプレイを見せる。
特に、ソニック(ブーム)の撃ち方に定評があり、いつコマンドを溜めているのか読みづらいのが相手にとって脅威になっている。
シノビズムゲーミング弟子企画の最高傑作といっていいだろう。

「才気煥発の天才」カワノ

コーリンを使用。ヒットボックスとグッドエイトスクアッド所属。
学生だが休学してプロ活動に専念する。
当初ウメハラとの師弟関係的な部分で注目を集めていたが、元々飛び抜けた実力を持っている。
スポンサードが付かない時期が長かったものの、昨年自身の使用するコントローラーのヒットボックス社からスポンサードを受けたのは記憶に新しい。
プレイの特徴はレバーレスのヒットボックスを使用したニュートラルに入らない故の高速ステップや高精度の歩きガード、人間の反応速度の限界を超えるような差し返しは芸術的とすら言える。

カワノの活躍から、ウメハラやももち、ときど、藤村、アメリカのPunk(@PunkDaGod)などレバーレスタイプのコントローラーを使う選手も増えてきている。
カワノはTOPANGA CHAMPIONSHIP第1期から決勝リーグに出続けており、第1期は5位、第2期は3位と順位を上げており、第3期の優勝となれば悲願の大会初優勝となる。
プロ活動と並行して動画製作を初め、Youtubeに自分の作成した格ゲー関連動画を上げて好評を得ている。

「アイドル格ゲーマー」水派(みずは)

コーリンを使用。端正なルックスと穏やかな話しぶりでアイドル的な人気を持つ。
元々プロゲーミングチームSCARZの育成枠で見出されプロとなった。
2020年からはプロチーム魚群に所属。
ストV部門はリーダーのマゴを筆頭に中堅のまちゃぼー、若手のもけ、水派といった各世代が混在する構成。もけと並び魚群の若手の実力者が水派だ。
ストVでは当初春麗を使うも現在はコーリンを使用。
カワノのプレイスタイルとは異なるが、試合展開を読むことに長け、冷静且つアグレッシブなプレイが特徴だ。

おじ世代も負けてはいない。特に、注目したいのはときど選手だ。
ときど選手の直近シーズンの印象について記す。

「極北を征く求道者」ときど

ときどは昨年2020年3月に行われた第1期TCを豪鬼で優勝したものの、その後プレイ環境を大きく変えている。
まず、コントローラーをこれまで使っていたレバータイプからレバーレスへ変更した。
次に、使用キャラクターを、長年愛用した豪鬼から、ユリアンに変更した。

ユリアンは直近で最上位ティアーに位置しているキャラクターで、端的に言えば最強キャラである。
しかし、企業スポンサードを受けている選手が、既に優勝という結果が出ている環境とキャラクターを捨てて、一からやり直すというのは、かなりの決断に違いない。

レバーレスへの変更は、直近のトレンドに追随した動きでもあり、二点目に挙げたキャラ変更を理由とするのかもしれない。
レバー豪鬼でも、恐らくときどなら今後も優勝戦線に留まれただろう。
しかしときどはその選択を放棄し、ラストシーズンにも関わらず戦略を再構築する事を選ぶ。
結果、CPT2021ではマゴ選手とのグランドファイナルに進むが、破れて準優勝。優勝ならずとは言え、ある程度成果が出てきているといえる。
(2021年7月20-21日に行われたINTEL World Open2021日本・韓国地域決勝で優勝。大きな大会としては、ユリアンにキャラ変更して優勝した初の大会?)

ユリアンというキャラのプレイスタイルを、ここに来て覆したのも、ときどが使い始めた影響が大きい。
これまではネモ選手がユリアンのセットプレイを開拓し、りゅうせい選手が実戦値でキャラ性能を伸ばしてきた。
基本的にはチャリオットタックルやデンジャラスヘッドバット等の強力な攻めから、最後はエイジスリフレクターの択をリーサルに使うというプレイスタイルが主流だった。

ときどユリアンの動きはそれまでの使い手とは異なっている。歩きガードを多用し、プレッシャーを掛けリーチの長い通常技で細かくダメージを取る。トリガーを心理戦に使い、相手を端に追い詰める。
タイムアップ勝利も辞さず持久戦で勝つ確率を上げる。
勿論通ると判断した時は歩き投げやステップ投げも使っているが、ときどのようなスタイルのユリアンはプロ選手でも余り見かけない動きだった。

ユリアンの象徴であるエイジスリフレクターの張り方も、新たにときど式の開発が続けられ、ラストシーズンとは思えないほど、更にキャラの開発が進んでいる。
現在は、ときどユリアンが攻略の極北を走っているのは間違いないだろう。

第3期TOPANGA CHAMPIONSHIP優勝はカワノ

決勝戦は若手の2人、ひぐちvsカワノという、設えたような舞台が整っていた。勝った方が文句無く優勝となる。

6セット先取で先にリーチを掛けたカワノだが、そこからひぐちが腹を括ったプレイで捲くり続け、6-5。あと1セットでデュースというところまでカワノを追い詰めて勝負は全く分からなくなった。

が、先に7セットに辿り着いたのはカワノだった。

地獄の予選ブロックでの、sakoさん・ぷげらとの三つ巴敗者復活という死線を潜ってきたカワノが、最強の相手ひぐちガイルとの対決を制し、初優勝の栄冠を勝ち取った。

ガイルのソニックへの回答が歩きガードか跳び(ジャンプ)しかないというコーリン側の対応の難しさがある組み合わせだったが、「最先端のガイル攻略を披露する」という言葉の通り、強パンチやフロストタッチの当身を駆使してひぐちのガイルを封じ込めた。

第1期の5位、第2期の3位から第3期での優勝は順当にステップアップした軌跡といえるが、結果が伴わない時期が続いていただけに、本人的にも一際思い入れが深い大会での優勝になった。

おじ世代の常連が大会上位を独占する時代は終わりを告げ、カワノの優勝とひぐち、水派の上位入賞で、時代が確実に若手世代に遷り変っていく兆しとなる大会だったように思う。

オンライン本選リーグ

Day1~Day7

オフライン決勝リーグ

オンライン予選リーグのA,B,Cブロック上位通過者2名+敗者復活の三つ巴戦で勝利した1名の7名が決勝リーグに進出。総当りで優勝者を決める。

【決勝リーグ進出者】
■Aブロック 1位ひぐち 2位様式美
■Bブロック 1位ガチくん 2位水派
■Cブロック 1位ときど 2位板ザン 3位カワノ

決勝リーグDay1 2021/7/5(月) 19時開始

Day1結果

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決勝リーグDay2 2021/7/6(火) 19時開始

Day2結果

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決勝リーグDay3 2021/7/7(水) 19時開始

Day3結果

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第3期TOPANGA CHAMPIONSHIP 最終順位

1位 カワノ(5勝1敗ポイント10)
2位 ときど(4勝2敗ポイント8)
3位 ひぐち(3勝3敗ポイント9)
4位 水派(3勝3敗ポイント0)
5位 ガチくん(3勝3敗ポイント0)
6位 板ザン(2勝4敗ポイント-5)
7位 様式美(1勝5敗ポイント-22)

TOPANGA CHAMPIONSHIPの歴代優勝者

TCの優勝者はリーグ時代も含めて以下となっている。

TOPANGA CHAMPIONSHIP 歴代優勝者

開催年 大会名 競技種目 優勝
2012 第1期 トパンガリーグ スパ4AE sako
2012 第2期 トパンガリーグ スパ4AE ふ~ど
2013 第3期 トパンガリーグ スパ4AE ボンちゃん
2014 第4期 トパンガリーグ ウル4 ウメハラ
2015 第5期 トパンガリーグ ウル4 ウメハラ
2017 第6期 トパンガリーグ ストV ネモ
2018 第7期 トパンガリーグ ストVAE 藤村
2020 第1期 TOPANGA CHAMPIONSHIP ストVCE ときど
2020 第2期 TOPANGA CHAMPIONSHIP ストVCE 板ザン
2021 第3期 TOPANGA CHAMPIONSHIP ストVCE カワノ

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