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The Game Awards 2022発表 エルデンリングがGame of the Year受賞も手放しでの絶賛は出来ない理由

今年のThe Game Awards 2022が発表され、大賞のGame of the YearにELDEN RING(エルデンリング)が決まりました。

GAME OF THE YEAR
・ELDEN RING(エルデンリング)

その他ノミネート作品
・プレイグ テイル -レクイエム-
・ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク
・Horizon Forbidden West
・Stray
・ゼノブレイド3

エルデンリングは2022年2月に発売されたフロム・ソフトウェアのアクションRPG。
今年5月に自分もクリアしてレビューで「8点」という評価にしましたが、大作だとは思うものの、手放しで絶賛する作品かというとちょっと躊躇われる作品です。
タイトルにも付けましたが名作か迷走か分からない、そんな形容が相応しい作品だと思います。

エルデンリングのフォーマットは実質ダークソウル4といっていい内容で、世界観やベースシステム、戦闘の大半はダークソウル3の焼き直しです。

これまでない新規要素、例えば騎乗・騎乗戦闘、遺灰、アイテム製作、マップ表示といった物もあるものの、それらは枝葉に過ぎません。
これがエルデンリングだ、というものは(飽くまで個人の印象ですが)このゲームからは余り感じ取れなかったです。

今作からワールドマップが導入され、マップは面的には圧倒的に広くなりオープンワールドの様相を呈しています。(フロム・ソフトウェアでは「オープンフィールド」と呼称。)
エリアが広くなり移動が大変になったため、霊馬での騎乗移動が導入されたものと思います。騎乗移動だけでなく、騎乗したまま戦闘が出来るようにしたシステムは素晴らしいと思います。(騎乗戦闘自体はやり辛い。)

ただ、面的な広さに対し、どのエリアに行っても雑魚戦かボス戦が待っており、ごく稀に洞窟や施設への入り口を発見するものの、やはり内部では雑魚戦とボス戦が待っています。
つまり面的にフィールドは拡張されたものの、何らかのイベントに当たることは普通にプレイしているとまず起こりません。
これはダークソウル的な「秘して語らない」という文脈をエルデンリングの膨大な移動エリアに対してもそのまま持ち込んでいるからで、その場所に行っても(戦闘以外)何も起こらないという体験が非常に多いです。

大祝福を除けば他の人間にもほぼ会う事はありません。偶に会うのは放浪している商人くらいです。オープンワールドに匹敵するほどの広さでも、人の住む居住地、村も街もなく、あるのは瓦礫の山や空き家ばかりです。
王都はありますが、凡そ人間の住める環境ではなく、魑魅魍魎の棲み家です。

エリアを拡張するなら、もっと濃密に物語を語るイベントを多く用意して欲しかったというのが、エルデンリングへの大きな感想の一つです。

それでも序盤に登場するストームヴィル城は、様々な仕掛けやショートカットがあり、従来のダクソシリーズのように探索していて面白いエリアでしたが、それを過ぎると広大なオープンフィールドで移動して戦闘以外する事がないという状況に放り出されます。
このゲーム性がずっと続くのだと分かってくると、当初リムグレイブの草原を始めて見た時のテンションが冷め、淡々とボス攻略にのみ邁進するようになります。

多数存在するボス戦闘がこのゲームの醍醐味ですが、ボスの繰り出してくる不自然なディレイ攻撃や、複数ボス戦が当然のように出現して無理やりの死闘感を出しているのも余り印象が良く無かったですね。
システム面はダクソベースを踏襲して隙がないものですが、ゲームデザインには工夫がないというか、全体的なアイデアの枯渇を感じます。

ダクソベースのシステムが非常に優れているため、このゲームは一見、良ゲームに見えますが、ベースに上積みされたものが、果たしてそこまで優れていたのかという。
勿論単品のゲームとしてのゲームのクオリティは十分に保証されています。
が、クオリティ以外の新たなアイデアや実装という意味では、誰もが思いつく内容でしかなかったと思います。

強敵との戦闘の激しさ、倒した後の昂ぶりは依然ダークソウルベースなので感じられはするものの、新規IPのゲームとして手放しに絶賛出来る内容かというと、躊躇われます。
その辺りがレビューで9点や10点にしなかった理由で、フロム・ソフトウェアや宮崎ディレクターが、どういう風にこのゲームの開発を捉えていたかが気になります。
ダークソウルやブラッドボーンを越えようという気概で作っていたのか、或いは新規IPとしてダクソベースで一定の作品になればOKと考えていたのか。

このゲームが発表されてからプレイするまで、当初ダークソウルにない要素があるのか、ダークソウルやブラッドボーンを越えるものになっているかに一番の興味がありましたが、クリア後はスピンオフでないものの、結局「ダークソウルという作品の範疇」に収まったゲームだと思います。
ダクソベースやダクソのスピンオフ作品でいうと、ダークソウル3やブラッドボーンほどの成功作ではないと自分は思います。
Game of the Yearに推した担当者や企業も、その点は改めて考えて欲しいです。

The Game Awards 2022動画配信

The Game Awards 2022受賞タイトル一覧

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