ゲームの思い出:ポケットモンスター赤緑 その6
四天王、ポケットモンスターシリーズで最後の壁となるトレーナー達である。
最近のシリーズではそこそこ手強いトレーナーなのだが、ポケットモンスター赤緑、最初の四天王は……かなり弱かった。
最後の難関四天王。正直な話、結構期待していたのだ。
しかし、現実は酷い有様だった。
最初に戦うのは氷使いのカンナ。
多分、四天王で1、2を争う強敵である。
が、同レベル位まで育てたでんきタイプのポケモンで10まんボルトを撃っていれば大体終わる。
悲しいかな殆どのポケモンが水タイプを複合で持っているため、10まんボルトの通りがいいのだ。
……何ならここまで使い続けたリザードンのきりさくで大体一撃で倒せてしまう。
次の四天王はシバ。格闘ポケモンと岩、地面ポケモンを使ってくる。
ゴルダックのなみのりとバタフリーのサイコキネシスで瞬殺。
この辺りで、おいどうなってんだ四天王!本気出せやとキレそうになった。それくらい弱かった。
低レベルのカモネギでかげぶんしんを積んで単体で突破なんて無茶ができる程度には弱い。カモネギが6回かげぶんしんするまで攻撃を当てるこができないシバさんの戦い方に問題がある。僕は悪くない。
3人目、ゴースト使いのキクコ。
ゴースト使いとか言いつつ初代ではゴーストタイプが3種類しかいない為、実質毒使い。
これもバタフリーのサイコキネシス連発で終わってしまった。
弱い、弱すぎるぞ四天王……!
こちらのレベルが低く、運が悪ければ眠られてボコボコにされたりしたりはする。あやしいひかりでこんらんさせられても交代したらこんらんは解除されるし、ねむりをポケモンのふえで解除できるって知っていたらやっぱり弱いんだけど。
ポケットモンスター赤緑では、ゴーストタイプのまともな攻撃技は固定ダメージのナイトヘッドと低威力すぎるしたでなめるしかなかった為、仕方がないところもある。
4人目、四天王最後の敵ワタル。ドラゴン使いである。
そこそこいい技を覚えている+どのポケモンも能力値が高い、高いのだが……。
サンダースが10まんボルトを撃っていたら大体終わっていた。
一応断っておくと、こちらのレベルが低ければ、はかいこうせん連発してきてかなり厄介な敵だったりする。なーんでみんなりゅうのいかりおぼえてるかな……。
りゅうのいかりは40ダメージの固定ダメージを与える、ポケットモンスター赤緑唯一のドラゴンタイプの技である。勿論この辺りで使われても全然脅威にならない。
ていうかお前本当にカンナに勝てるのか。
僕がレベルを上げすぎていたのだろう。ほぼ一撃で沈んでいく四天王の敵ポケモン。
ワタルを倒し、遂にチャンピオンと思いきや、どうやら既にワタルを倒しチャンピオンになった者がいるようで……。
『この おれさまが!せかいで いちばん!つよいって こと なんだよ!』
なかなかに熱いセリフとカッコいいBGMで最終ボス、チャンピオンになったライバルとの戦いが始まった。
――お前なんでここまでこれた?
ポケモンのラインナップはヒトカゲを選んだ場合、ピジョット、フーディン、サイドン、ウインディ、ナッシー、カメックス。
ラインナップは悪くない。悪くはないのだ。
ただ、覚えている技が酷すぎた。
フーディン以外が本当に弱かった。
サイドン、ウインディ、ナッシーに関してはちょっとお前そこに正座な、と説教したくなるほど技が酷い。ナッシーなんて技を3つしか覚えていないし。
そんなわけであっさりとライバルを倒し、晴れて僕はチャンピオンとなった。
殿堂入りしてエンディングである。
あいつが、僕にポケットモンスター赤を売ったあいつは、「面白かったで」と言った。
その意味はこの辺にあったと、僕は理解した。
あいつは一人でプレイして、クリアして、それで旅を終えたのだ。
旅の過程はとても面白い。ストーリーも悪くない。
ただ全体的に後半の難易度が低いのだ。普段ロマンシングサガや女神転生をやっている僕達からすればポケットモンスターは大分難易度が低かった。
これは後のシリーズで改善され、作品によってはえげつない戦略で戦ってくる強い四天王もいたりする。
ポケットモンスター赤は確かに素晴らしく面白いゲームだった。
しかし、最初にポケットモンスター赤をクリアした時、少し気落ちしてしまったのも事実なのだ。
今になって思うと、この難易度の低さが爆発的流行の一因となっていたのではないか、と思う。
ゲームのラスボスをあっさりと倒し、自分は強いと思う。だから他の人と対戦をやってみよう、と力比べをするようになる。
そうしてポケモンの輪が広がっていく。
考え過ぎかもしれない。仕様上そうなっただけかもしれない。
ポケットモンスター赤をクリアして、久しぶりに他のゲームで遊んだ。
周りの友達も次々にクリアしていく。
ゲーム仲間みんながクリアした時、対戦しようと約束していた。
クリア直後のデータで力試し。誰が一番強いか決めようぜ、と。
この時はまだ、前回語った限界突破なんてものはまだ知らないし、なんなら物理技と特殊技の違いすらわかっていなかった。
そして、ついにその日が来た。
友達の家の近くの児童公園。
午後5時半に差し掛かる頃で、夕日が沈んでいく。
僕たち以外誰もいない。5時を知らせるサイレンで、子どもたちはみんな家に帰っていった。
ブランコに揺られながらゲームボーイをしていた友人は言った。
「じゃあ、そろそろやろうぜ」
「おう!」
そう答えると、僕は隣のブランコに座った。
通信ケーブルを繋ぎ、僕たちは戦い始めた。
あの頃僕が置かれた現実は決して恵まれたものじゃなかった。
ゲームにどれだけ救われたのかわからない。
ポケットモンスターは、あの頃の僕が、僕のままでいられた理由の一つだった。
続く
ポケットモンスター赤
ハード: ゲームボーイ
1996年2月27日発売。
発売:任天堂
※見出し画像は公式の物をお借りしています。問題があれば連絡をくださればすぐに消去します。
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