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グリッドがないゆえの #wgac2021

これは「War-Gamers Advent Calendar 2021」の12月6日分です。

Command Post Gamesの『Pub Battles』は、マスケット銃の時代の会戦を共通のシステムで描くウォーゲームです。これまでにアメリカ独立戦争が3作、ナポレオン戦争が3作、南北戦争が2作出版されています。冒頭の画像は、アメリカ独立戦争の1作、『モンマス』です。

グリッドの描かれていないマップの上に木製のコマを置き、移動や戦闘における距離の測定にはゲージを使います。古地図のような意匠のマップと、向きも間隔も不規則に並ぶコマとが、戦況図のような盤面を作り出します。ウォーゲーマーのソウルに響く見た目だと思います。ごはん三杯は軽いです。

パブやレストランでもプレイできるから『Pub Battles』。プレイにそれほど広いスペースは必要なく、ルールが簡単なので1~2時間でプレイでき、キャンバス製のマップを使えば耐久・耐水性にもすぐれているから、だそうです。

ルールはウォーゲームとしてはかなり簡単な部類です。チットプルで移動するフォーメーションを決め、すべてのチットを引き終わったら戦闘を解決してターン終了。マストアタック。6出ろ(正しくは4以上ならヒットですが)。ユニットは2ヒットで退却、3ヒットで壊滅します。

ルールは簡単なのですが、僕がプレイするとそれほど短い時間では終わりません。理由はわかっていて、ユニットの移動や距離の測定にゲージを使ったり、ユニットがどの地形にいるかを判別したりするのに時間がかかってしまうのです。

『Pub Battles』はルックスが素敵なだけでなく、システムもなかなか面白いので、もっと仲良くなりたいです。なので、プレイ時間を延ばしている要素を書き出してみることにしました。

これを読んで『Pub Battles』ってそういうゲームなのね、面白そうじゃない、と思ってくださったりしたら、ちょっと嬉しいです。

ユニットの移動は直進と向き変更の組み合わせです。直進はユニットの向きを変えず、前方45度の範囲内に移動できます。向きの変更は1回目は無料で、2回目からは移動力の1/3を消費します。距離はゲージを使って測ります。歩兵と砲兵は黒のゲージを、騎兵とHQは赤のゲージを使います。

ユニットがどの地形にいるか、またはどの地形を通過しているかは、そのユニットの大部分(半分超)が触れている地形がどれかで判別します。ユニットの半分以下が触れているだけであれば、その地形にいる(または通過している)とは考えません。

友軍ユニットは通過できますが、敵軍ユニットは通過できません。2個の敵軍ユニットの間は、ユニットの大部分(半分超)が通れる広さであればすり抜けられます。

敵味方を問わず、他のユニットと重なった状態で移動を終えることはできません。ただし、友軍ユニット2個を長辺を接する状態で並べると、後ろのユニットが前のユニットを「支援」する状態になります。普通のウォーゲームにおけるスタックのように、兵力を集中して戦闘を有利にできます。

ユニットはその前方45度にFoE(Field of Engagement)を及ぼします。FoEはZOCと同じように、敵の移動や退却を妨害します。ユニットは敵のFoEに移動するならば、その敵ユニットを攻撃しなければなりません。いわゆる「マストアタック」です。

FoEで移動を始めたユニットは、普通の移動でFoEから退出できます。移動は前方への直進だけですから、まず180度旋回して、直進して、敵に背中を向けたくなければ、移動力を消費して再び旋回することになります。

戦闘はどちらかの軍が退却か壊滅でいなくなるまで、両軍が同時に撃ち合って解決します。支援しているユニットは撃つことができませんが、支援されている(支援しているユニットの前にいる)ユニットが退却または壊滅したときには、一歩前進して戦闘に参加します。

『Pub Battles』が特殊だな、と思う要素はこんなところです。マップにグリッドがないがゆえの特殊さに慣れれば、Blue & Grayをチットプルにしたぐらいの難しさ(簡単さ)のゲームなので、サクサクとプレイできるようになると思います。

『Pub Battles』はCommand Post GamesのWebサイトで注文できます。筒状(土管状)のパッケージで送られてきます。値段が高いなと感じるかもしれませんが、日本への送料が手頃なので、送料込みの価格を見てみることをお勧めします。

最後に余談をひとつ。「パブ」と言われて増井山大志郎が頭に浮かびました。Googleに尋ねたところ『そんなナイト・パブ』というムード歌謡があったからのようです。

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