【雑記】今昔昆虫採集ゲーム考察(Part.B)ーーあつ森の功績と世界の昆虫採集
PartAに書いたように、PartBでは「あつまれ どうぶつの森」以降のスローライフゲームを、海外のゲームを中心に話していきたい。タイトルにあるように焦点は昆虫採集に当てることとする。
海外の昆虫採集事情
少し前になるが、こんなTwitterの発言が話題になった。
「『昆虫採集』は日本特有文化なのか」に虫トリビアぞくぞく「虫の音の聞き分け可能民族」「小泉八雲の極言」など - Togetter より
この発言に対する真偽はさておき、少なくとも海外に比べると日本の方が昆虫採集が子どもにとって身近なものであるらしいことがわかる。この発言の他のところでも書かれているが、決して「海外で昆虫採集はしない」わけではない。マニアックな趣味くらいの立ち位置なのだろう。ちなみに、海外Wikipediaにおいて、昆虫採集(Insect collecting - Wikipedia)でも「日本の若者の間でよく行なわれている」と書かれるくらい、日本の変わった風習のように見られているのかもしれない。
実生活であまり昆虫採集をしていないのなら、当然ゲーム世界でも昆虫採集はしていない。自分で調べられる範囲で海外の昆虫採集ゲームを探してみたけれど、あまり見つけられない。ある時期が来るまでは。
「あつ森」が海外でも大ヒット!
2020年3月20日『あつまれ どうぶつの森(Animal Crossing)』(以下「あつ森」)が日本海外で同時に発売され、海外では2023年3月時点で4000万本も売れていた。それ以前のシリーズも海外版は出ていたようだが、コロナ過の外出が難しくゲーム需要が高まった中で、このような大ヒットとなったのだろう。
流行るゲームが出たら、当然それに似たゲームが出てくる。ある時「あつ森のパクリゲー」としてゲーム実況者などに取り上げられた『Hokko Life』というゲームがある。
『Hokko Life』は、主人公がある地域に移住してきて、そこでは人間の主人公と動物たちが生活をしている。そこで家具を買ったり釣りをしたり昆虫採集をしたりする(書き出してみると本当にあつ森と類似したゲームである)。この昆虫採集が今回の話題で重要となる。
上の写真を見てもらうと分かるが、『Hokko Life』に登場する虫(昆虫採集として獲れる虫は蝶しかいないのだが)は実在する蝶である。私達から見ても馴染みのある蝶(アゲハチョウやシジミチョウ)もいれば、馴染みのない蝶(イリスコムラサキやアドニスヒメシジミ)がいる。『あつ森』に登場する蝶は海外のものも出るが、日本で見られるものが多く見られる。それを参考に海外がゲームを作ると、自然と自国で知られている蝶を採用することになる。ちなみに、『Hokko Life』はスウェーデンで作られたゲームであるため、スウェーデンで馴染みのあるいきものが登場していると考えられる。
他のゲームの例として、もう一つ『Castaway Paradise 』を挙げよう。これも人間の主人公が島に流され、そこで動物の住人たちと魚釣りや昆虫採集や農作をして生活をするという、あつ森ライクのスローライフゲームだ。
『Castaway Paradise』はドイツで開発されたゲームである。グラフィックはマイクラ感があるが、このゲームでも「シジミタテハ」という実在の虫が採用されている。こちらも海外で見られる虫を中心にいきものが採用されているだろう。他にもオーストラリアでは『Dinkum』、ポーランドでは『Everdream Valley』というスローライフゲームが開発されており、それらで昆虫採集があることが確認されている。
上記に書いたように、昆虫ゲームは海外で少なく、昆虫採集ゲームとなるとほとんどない。『Stardew Valley』のようなスローライフゲームが出ても、釣りはあっても昆虫採集ができるものはあまりない。そんな中、あつ森ライクのスローラーフゲームが出ると、自然と昆虫採集ゲームが増えてくる。そして、その海外では海外でよく見られる虫が採用されることが多いため、海外で見られる虫を見ることができる。これは私たちが海外の昆虫を知ることのできる良い機会になるだろう。
海外でも昆虫採集メインのゲーム開発
実は近年、昆虫採集をメインにした海外のゲームが発売されたり、開発中になっていたりする。今年の5月末には昆虫発見ゲームを作っていた開発者が、昆虫採集ゲーム『Nature Hunter』を販売した。
Nature Hunter(フランス)
さらにアメリカでは『Bug&Seek』というドット絵グラフィックの昆虫採集ゲームが開発中となっている。
Bug&Seek (アメリカ)
昆虫採集という海外でマイナーであった活動が、『あつ森』を通じて静かに盛り上がりを見せている。特にゲーム世界では、これまでなかなか存在しなかった海外の虫の世界をSteamやSwitchなどの通して私たちに伝えてくれている。この「昆虫採集ゲームっておもしろい!」という静かな盛り上がりが、いつか釣りゲームのように一つのジャンルになることを願っている。
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オマケ:記事で取り上げたスローライフゲーム
●Hokko Life(スウェーデン)
●Castaway Paradise (ドイツ)
●Dinkum(オーストラリア)
●Everdream Valley(ポーランド)
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PartAの記事はこちら
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