【雑記】古本屋好きが中古ゲームショップへ行く

 こんにちは、研究員です。研究員は研究員になる前に古本屋巡りをする人間でした。本屋が好きは好きだけど、古本屋が特に好きだ。ブックオフ(※)も好きだし、個人商店も好きだ。ある特定の地域を転々とする生活をする中で、古本屋を巡り本を買うことを趣味にしている。
 そんな人間が、ひょんなことからゲームいきもの研究所の研究員となることになった。誘われてすぐにしたことは、研究員たちで中古ゲームショップを巡ることだ。そこで、中古ゲームショップ好きな人には当たり前の話ばかりかもしれないが、中古ゲーム(あるいはレトロゲーム)の面白さを体感することになる。

中古ショップには「個性」がある!

 中古のものを扱う店には、個性がある。それは店主の個性であることもあるが、多くがその環境が育んだ個性だ。例えば、近くに大学のない地域のブックオフと、近くの大学がいろいろある地域のブックオフでは、ブックオフで売られる本の種類が変わる。大学が近くにあると、そこの学生が半年しか使わなかった教科書や卒論で使った本、就職に際して邪魔になったものなどを売ることが多くなる。そのため、専門書の教科書のような本が多くなったり、ときには同じ本が何冊も入っていることがある。一方、大学が周囲にない地域のブックオフに行くと、そういう専門書や教科書的なものはあまり見られなくなる。その代わりに、スキル本や生活の知恵、雑学系が多くなる。
 これが個性だ。面白いのはこれが一概には言えないということで、大学があるから絶対に教科書的な本が充実するブックオフになるわけではない。時には「なんでこれがこんなところに!?」と驚くような本を売っている人がいる。そういうお宝発見があるから、面白い。
 で、研究員としてチェーン店や地域の中古ゲームショップをいろいろと行ってみた結果、古本屋のような強い個性の店は少ない(たまに、海外輸入ゲーム、レアもしくは箱説明書つきゲームをメインで扱う店に出会うことはあった)。だいたいは、軽いゲームショップか、しっかりしたゲームショップかだ。
 軽いゲームショップ。これは現行機であるSwitchやPS5のゲームを中心に中古ゲームを売っているところ。そういうところはそれより前のゲームはない、もしくは取り扱ってもごく少数。もっと言うなら一番古くてDS、PS3。GEOや一部のブックオフはこの形が多い。
 しっかりしたゲームショップ。地域の中古ゲームショップや駿河屋、一部のブックオフはこの形をしている。マイナーハードの取り扱いは場所によるが、だいたいのメジャーハードは新旧取り扱っている。初代PSのソフトがたくさんあったり、ゲームボーイのソフトがあったり、ハードもいろいろ売っている。
 行った先の店がどういうタイプの店かは、行ってみないと分からない。

「そこになければないですね」の世界

 中古ショップは、その個性から、「なんでも揃っている」というわけではない。例えば太宰治のような有名作家であっても、その古本屋にあるとは限らない。中古ゲームショップでもポケモン青が絶対にあるとは言えない。そして、ないからと言ってどこからか取り寄せ~なんてこともできないことが多い。
 研究員たちで行った店で、たまに「ゲームがあった形跡」を置いている店がある。中古ゲームショップは基本的には、ゲームが棚にならんでいて、その背表紙でゲームを見つけるのだが、「あった!」と思って引き抜くと空のパッケージに「売り切れ!」と書かれている。入荷したらその「売り切れ!」と消すのだろうが、あるかどうか引き抜くまでわからないというのは少し面白かった。そして、ないことが分かるという安心感があった。これは古本屋ではできないことだ。
 ゲームいきもの研究所では、実在するいきものが出てくるゲームをリストにしている。そのリストをもとにショップに行くのだが、あるかどうかは五分五分だ。例えば初代PSにシンプルシリーズの『THE 釣り』があるが、これがあった店は1件だけだった。どこでもありそうなタイトルだけど、そのゲームを買って、売った人がいない限りショップには現れない。ショップを巡っているときは、なんだか宝物を探す探検隊みたいな気分だった。
 ここまで書くと「ネットで探せば?」となるのだが、ショップでできるだけ探す理由がある。大きな理由は、金だ。いきものが出ているゲームを収集しているとはいえ、「この値段でこれを買うのか」という気分になることはある。研究費は無限ではないため、優先度を考えて後回しにしたゲームが出てくる。ネットで買うと送料がかかる。それを考えると、いよいよショップ巡りしても見つからないとなってから手を出したい。

プレイ用?飾る用?ショーケース入りの骨董品ゲーム

 あるブックオフに行ったときのこと。
「ゲームがショーケースに入っている」
 そう言われた。そのとき思ったのは「ああ、ゲーム機ね。あるある」だった。64など現行機よりもけっこう前に出ているゲームは棚置きされていることが多いが、PS4などの現行機に近い、まだ1万円以上で取り扱われるゲーム機はショーケースに入っているときが多い。買うときにお店の人に言って開けてもらう形式だ。
「そうじゃなくて、ゲームソフト。裸ソフト(箱なしソフトのみ)じゃなくて、箱とかケースに入ったやつ」
 え? ソフト?
 そう思って見てみると確かに初代PSのソフトが入っている(たしか『バーガーバーガー2』だったと思う)。値段、高い! 初代PSは100円で売られているソフトもあるだろうに、1万円くらいする!中古ゲームで1万円ってどういう世界なんだ。しかもショーケースに入っている。
 そこからいろいろレトロゲームコレクターの胴がを見ていると、新品未開封の美品に価値がある、プレミア化しているなどいろいろと情報が出てくる。時には、「PS3のゲームアーカイブでは1000円せずにあるけど、初代PSソフトを中古ショップで買おうとすると高い」みたいなことまである。
 本でそういう話はあまり聞かない。いや、古本屋でも高く売っている絶版本とかはあるけど、新品未開封なんてものはないし、買ってそれを読まずに飾るみたいな価値の付け方は聞かない。読む前提で買っている人のほうが多い。もっと言うと、ショーケースに入ることは、あるとすればよっぽど歴史的価値があるとか、損傷する危険があるとかで、高いから入れてますなんていうものは聞かない。昨今のカードショップ強盗の話もあるから、自衛のためにショーケースに入れざるを得ない状況はあるのだろうが、それにしても中古ゲームはゲームで独特の世界観を構築したのだろうと思う。

 数年前、研究員が「面白そう」と買ったソフトがある。それは『水族館プロジェクト』という初代PSのソフトで、駿河屋にてディスクに傷ありで600円くらいだった。釣りが好きな研究員だったので、「釣りゲーっぽいし」と買ったらしい。
 そのソフトがある時期、高騰した。クソゲープレイヤーの人がそのゲームを取り上げた結果、注目され、現在そのソフトは駿河屋のネットにて7100円で売られているくらいに高騰した。この現象にはクソゲープレイヤーの人も「そのゲームはそんな値段で買ってまでするものじゃないし、どうしてもやりたいならPS3のゲームアーカイブにあるから」と注意喚起をするほどだ。この現象を見たとき、研究員同士で「あのとき買ってて良かったよね~」と話していたが、この件があって、ゲームいきもの研究所でとりあげるゲームで高くなりそうなゲーム、特に中古ゲームはもう値段が下がらないものと考えて急いで買うようになった。
 中古の良い点は「安さ」と「今じゃ手に入らない出会い」だ。古本屋も中古ゲームショップも、その利点を発揮させている。だから購入する我々は、店に行くことを「宝探し」と言うのだろう。だが、最近の中古ゲームショップは、本当に今後「宝」の扱いになってしまいかねないゲームが埋まっている場所になってしまったように感じる。それでも、我々は中古ゲームショップを辞められないのであった。

※:ブックオフにはホビーオフという店があり、ゲームはホビーオフで売られていることが多い。しかし、この記事ではホビーオフも含めて「ブックオフ」と表現する。

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