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マリオが平等を手に入れた日『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

文・canavis

スーパーマリオブラザーズの映画とはなんなのか?

スーパーマリオブラザーズの映画がとうとう公開されました。マリオという特にストーリーが多く語られるゲームではないので、どういう作品になるか想像ができない分、期待半分、不安半分のファンも多かったことでしょう。

先に公開された米国では日本より早くレビューが届けられ、映画評論サイトRotten Tomatoesでは客の圧倒的好評に比べて、評論家の評価が若干厳しめとの情報が伝わり。映画館につくまでどういった作品なのか?益々わからない作品になっていたと思います。

結論から言うと、本作は大変楽しい、エンターテイメントとして、誰でも楽しめるゲーム作品となっていました。
映画ではなく?ゲーム?という疑問もあると思いますが

本作はコントローラーを触らない、誰でも楽しめるビデオゲーム。と捉えるべき作品だと考えます。

任天堂の理想

任天堂は長年「誰でも楽しめるゲーム」という、人を選ばない作品、というテーマに取り組んでいたと思います。

ゲームハードの「ニンテンドーDS」、「Wii」では、「5歳から95歳まで年齢・性別・ゲーム経験の有無を問わず遊べる」「ゲーム人口拡大」を目標にしていたハードです

任天堂はずっとゲーム屋として、エンタメの会社として、この人を選ばずに楽しめる作品というテーマに挑戦していたのではないか?と思います。

ニンテンドーDSでは、従来のゲーム作品に加え「脳トレ」など教育ソフトをリリースし、Wiiでは「Wiifit」というフィットネスを目的にしたゲームが大ヒットし「ゲーム人口拡大」を見事果たしていました。

Wii uでは少し売れ行きが伸び悩んだところもありますが、Switchに至る現代もその思想は続き、様々な世代や人が任天堂のソフトを手に取っています。

マリオは常にゲーマーとゲーマーになるべく人に手を伸ばしていた

マリオというキャラクターがでてくるゲームも、任天堂の理想、誰もが楽しめる作品でありたいという意思を感じます。

従来のアクションゲームに加え、「マリオカート」と行ったレースゲームや
パズル、ボードゲームなど、様々なジャンルで手広くプレイヤーを迎え入れてくれました。

また、ゲームの構造でも工夫がされていて「マリオカート」では、ゲームがうまい人と下手な人の差を埋める施策としてレースゲームにランダムでアイテムが手に入る要素を入れうまく使用すれば一発逆転に繋がることができるゲームでした。

さらに「New スーパーマリオブラザーズ Wii」ではプレイヤーがステージ攻略に苦戦していると、おてほんを見せてくれる「おてほんプレイ」といった要素も実装されています。

マリオを操作しているような体感型の映画


『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』には今までのマリオ作品をモチーフにしたシーンが大量に出てきます。
キノコ王国やピーチ城はもちろん、マリオシリーズでおなじみのブロックを使ったジャンプアクションのシーン。すこし「マッドマックス怒りのデスロード」の影響も感じる、カートのシーンなど

本作の欠点はストーリーがあまり語られないという意見を聞きますが、ストーリーを省き、立て続けにアクションシーンを配置し、またゲームに近い構図の絵を使用することで映画の物語を追う楽しみとは違う体験型のエンターテイメントとして構成されています。

ゲーム機を持っていない人のために届けるマリオ


マリオの生みの親で本作にも制作で関わっている宮本茂はファミ通のインタビューで

「やっぱりゲーム機を持ってない人たちに届かないのは、もう少し考えたほうがいいよねという話になって。
それで任天堂IPを育てるという動きになり、モバイルや映画もやっていこうと」

https://www.famitsu.com/news/202304/26300849.html

本作はコントローラーを持たない人もゲーマーも人を選ばず届けることを意識した、作品になったと感じています。

だれもが平等に楽しめるゲーム

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』はコントローラーや操作も必要ないが自分がマリオになったような遊び心を持った作品で、これは誰しもが平等に映画館にこれさえすれば楽しめるゲームといってもいいのではないかと思います。

ビデオゲームがコントローラーを持つ人持たない人が平等に遊べる日に大きく近づいた記念碑となる作品生まれたと言っても過言ではないでしょう。

参考

映画『スーパーマリオ』宮本茂氏インタビュー。約6年かかった制作の裏側、マリオとルイージの設定、次回作など、制作中に刺激を受けたことやこだわりのポイントなども聞いた
https://www.famitsu.com/news/202304/26300849.html

岩田 聡 氏(任天堂 取締役社長)
https://xtech.nikkei.com/dm/article/COLUMN/20121009/244635/?P=2

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