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特撮愛に立体音響、リッチなリメイク「ドラえもん のび太の小宇宙戦争2021」

ドラえもん映画は「のび太の月面探査記」以来3年ぶりです。まあCOVID-19の影響でこの間には新恐竜しか無いので、南極カチコチ大冒険以降、結構家族で行ってる印象です。

本作は1985年の「のび太の宇宙小戦争」のリメイクに当たります。旧作との大きな違いは、パピ(朴璐美)に姉ピイナが加わり、パピとのび太たちが一緒に行動する時間が増えたことなどです。

藤子・F・不二雄先生の原作には、よく先生のマニアックなこだわりがだだ漏れするシーンがありますが、特撮愛もその一つで、スネ吉兄さんに語らせるシーンなど、子供向け作品とは思えないこだわりです。

ジオラマを熱く語るスネ吉

本作は冒頭にスネ夫の家の庭で特撮映画を撮影しており、オープニングで水に塗料を溶かして爆発シーンを撮影しているシーンなど、CG全盛の今では考えられない手法で、制作スタッフの特撮愛と原作愛もビリビリ伝わり、嬉しくなってしまいました。

一方で実際に本編にはそのCGも多用されており、特に特撮映画撮影の主な舞台、巨大ジオラマは白組が手掛けていたらしく、リアルなジオラマでのび太たちが動き回るシーンは、ゲームFANTASIANにも通じる面白さがありました。なお、クライマックスのしずかちゃんたち大暴れシーンでもこの手法は使われていたらしいのですが、私は物語にのめり込んでいて気づきませんでした。再見する機会があれば確認したいです。
白組といえば、スタンドバイミードラえもんシリーズでCGを担当しているところ。色んな縁で、ドラえもん映画も進化しているのだなあ、と感心しました。

監督のインタビューでは他にも「海底鬼岩城も勧められたが、キャラが死ぬことで感動させる作品は作りたくない」と宇宙小戦争を選ばれたそうで、凄く信頼できる方だなあ、と思いました。

しかも脚本は交響詩篇エウレカセブンなどを手掛けた佐藤大さん。原作の大枠をくずさず、それでいて新鮮な気持ちで楽しめるよいストーリーになっていたと思います。

最後に。本作はドラえもん映画では初めてドルビーアトモス音響に対応した作品となっています。宇宙をテーマにした作品は立体音響と相性抜群で、宇宙戦で機体が縦横無尽に動き回るシーンなど、聴き応え十分でした。ドラえもんという興収50億円を狙える作品でのドルビーアトモス採用は、今後のジブリ、新海誠作品といった多くの人が鑑賞するであろう作品へも繋がると思います。是非ドルビーアトモス設備のある劇場は、積極的に採用してほしいと思います。


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