見出し画像

世界よ、これが日本のMCUだ「劇場版Fate Stay night Heaven’s Feel Ⅲ spring song 」

2度の延期を経ての公開はやっぱり感無量でした。ストーリーはもともと3部構成のノベルゲームが原作の、その3部を三部作で映画化してその第3部なので、流石にここから見るのはハードルが高すぎると感じました。映画自体も2章ラストから始めるので、初見さんには全く優しくない仕様となっています。少なくとも劇場版Fate Stay night Heaven’s Feel(以下HF)の1章、2章を見てから望むのが良いかと。もう少し時間のある人はTV版のFate Stay night unlimited blade worksを、更に時間があればFate/Zeroを見ていると、本作をより楽しめるのだと思います。特にFate/Zeroは、士郎の義父、衛宮切嗣と、物語のキーパーソンであるイリヤや言峰綺礼との因縁が描かれていますので、見ておくと様々な疑問がすっと腑に落ちると思います。

劇場版、UBW等を制作したufotableではありませんが、スタジオディーン制作のFateもあり、こちらはセイバールートに他ルートをアレンジして加えられたもので、こちらも結構好きですし、基本ストーリーであるセイバールート唯一のアニメ化ですので、世界観を理解するにはこちらもおすすめかと。

さて、そんな予習科目多めなHFですが、ゲームの展開上、どうしてもクライマックスが終盤に集中しており、第1章や第2章は、作品として素晴らしいのですが、それでも見せ場を作ることに苦労している印象も受けました。また、士郎を始めとした主人公サイドは負け続ける展開も多く、特にヒロインの一人でもあるセイバーの闇落ちは、なかなか心にズシンと残る読後感を与えてくれました。

そのモヤモヤした思いや、桜の正体判明からの逆転劇が全て詰め込まれたHF第3章は、まあ本当に見せ場しかない、ゲームで想像していた映像の遙か先をいく戦闘シーンや、ゲームでも見かけなかった深堀りシーンといった、見たかった、見たことない映像のオンパレードでした。

勿論ストーリーも、好きな女性を救うために全てをなげうつ士郎の覚悟、愛の形で対になる者たち、オリジンとしての聖杯誕生譚、全ての元凶の正体まで全て開示した上でのクライマックスへなだれ込む展開は、原作があるとは言えカタルシスを感じます。その後のエピローグも、ほとんど説明を省いていたのは驚きましたが、余韻たっぷりの演出は、見続けた、待ち続けた観客への最高のカーテンコールでした。

5月末から順次再開された映画館でも、今日から俺は!のような一般層が好きな作品が復活し、ドラえもんのようなファミリー向けアニメが復活し、ようやくオタク向けの大作アニメが劇場に復活し、再開後ほぼ毎週映画館に通っている私としても感無量です。あとはハリウッド超大作の復活を待つのみですね。

ここまで書いてきて、映画一作で完結しない連続性、多岐に渡る作品群、シリーズ追ってきたファンならニヤリとする散りばめられたリンク、単なるエンタメ作品に留まらないテーマ性と、Fate作品って、日本のMCUになってるんだなあ、と感じました。まさに世界に誇るコンテンツになってるじゃんFate世界。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?