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ここらへんの史跡をゆく【番外編】 ~トヨタ産業技術記念館

トヨタ産業技術記念館に行った。

これまで私の「ここらへんの史跡をゆく」シリーズでは、愛知周辺の戦国時代の史跡を巡ってきた。今回は "ここらへん" の近代の偉人、トヨタグループの祖豊田佐吉と、トヨタ自動車の祖豊田喜一郎ゆかりのこの場所を「史跡」として取り上げる。

この博物館のコンセプトは‥

「研究と創造の精神」と「モノづくり」の大切さを次世代に

トヨタ産業技術記念館は、名古屋駅からほど近い西区則武新町にある。その地は、1918年完成の「旧豊田紡織本社工場」の広大な跡地。当時の赤レンガづくりの建屋が使われており、その重厚な姿はトヨタの歴史を偲ばせる。

27,127㎡を誇る当館の展示エリアは、繊維機械館と自動車館に二分される。繊維機械館では、豊田佐吉の業績と、日本の繊維産業勃興の歴史遺産が多数展示されている。
そして自動車館は、佐吉の事業を引き継いだ嫡男喜一郎がゼロから自動車製造に着手し、艱難辛苦を乗り越えて事業を確立していく過程を、様々な展示物とともに紹介している。

繊維機械館
自動車館

初めて行った私の感想は「面白い!感動!大満足!」。その理由は‥
 ・展示物の質と量が充実
 ・時系列で分かり易い展示
 ・展示物のほとんどが動態保存(機械類の稼働が可能)
 ・スタッフが優秀で意識が高い。
 「この素晴らしさを知って欲しい!」という情熱が伝わってくる。

まとめると「トヨタ産業技術記念館もまた "トヨタ品質" 」だった。

※【私事ですが‥】基本的に私はトヨタのファン。若かりし頃私はサプライヤーとしてトヨタ自動車とお付き合いがあった。巷間言われるようにトヨタの品質、納期、コストの要求はとても厳しい。しかしそれは決して理不尽でも意地悪でもなかった。ただそれに対応する力が自社に無かった為、ギャップを埋める苦労は多かった。その頃トヨタの方々から受けた薫陶は、私の思考のベースとなり糧ともなった。

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かなり手抜きになりますが、私の文章ではとても伝えきれないので、館の公式YouTube「バーチャルガイドツアー」を添付します。繊維機械館編と自動車館編に分かれており、どちらも約1時間で観覧することができます。
そしてまた、時間があれば是非来館されることをお奨めします。
期待を裏切られることはきっと無いでしょう。
名古屋駅からすぐで入場料も安い! 65歳以上はたった300円です。

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先立つこと2ヶ月ほど。私は浜名湖の西に位置する静岡県湖西市の「豊田佐吉記念館」を訪れた。佐吉が誕生した場所に生家が復元展示されている。また初期の木製自動織機などを展示する展示室もある。

1899年生まれの私の母方の祖母は、佐吉と同じ村(当時は敷知郡山口村)の生まれで、生家は豊田家と懇意にしていたそうだ。佐吉の長女の愛子さんは祖母と同い年。愛子さんと祖母が庭で遊ぶのを佐吉っつぁんが縁側で眺めていたと、生前の祖母が語っていた。「それがこの家だったのかー」と感慨深く眺めた次第。※ちなみに愛子さんの旦那さんは豊田利三郎氏(婿養子)で、トヨタ自動車工業の初代社長。

豊田佐吉の生家(復元)

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織機~紡績~紡織を基盤として自動車製造に転化したトヨタ。始まりから100有余年を経て、日本経済を支える主力産業にまで発展した。

自動車産業には今、100年ぶりの大変革期が訪れている。ちょっと遅れを取っているかに見えるトヨタだが、きっと挽回することだろう。
トヨタファンの私は遠くから応援する。

< 了 >

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