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かつて私は面白かった "used to be~"

新型コロナは一向に衰える気配が無い。今では発生時よりも強力な変異株が主流になっているそうだ。なお一層の防御を心掛けることにしよう。

早いもので、私が中国から帰国して1年4ヶ月が経過した。帰国を機に仕事を引退した。その後は真面目に自粛生活を続けていて、家族以外の誰かと対面でコミュニケーションを取る機会はほとんど無い。もちろん飲みに出ることは厳しく禁じられている。

私はお酒が好きで、飲み会も好きだ。現役時代は営業職だったこともあり、お客さんや同僚と飲む機会は多かった。手前味噌ではあるが、まあまあ話題も豊富で楽しい ”酒飲み” だったと思う。酔って議論を吹っ掛けたり、自分の放ったつまらない冗談を自分が真っ先に笑うような無粋はしなかった。

最近は、古巣の会社の現役メンバーや退役メンバーとのオンライン飲み会に参加している。ただ何だかしっくりこない。発言のタイミングは難しいし、相手の表情や仕草が見えないから、自分の発言が的を射ているのか不安になる。また相手は普段会っていない久しぶりの人たちなので、彼らが置かれている今の状況も理解できていない。私の言葉は彼らにどう響くのか。そんなことを気にしつつなので、何だかしっくりこないのだ。

オンライン飲み会で気付いたことがもうひとつ。私の日本語を話す能力は明らかに落ちた。滑舌も悪くなっているし、文章構成にも衰えを感じる。これは齢のせいだけでなく、現役を退きコロナ禍で続く自粛生活で、他人と会話する機会がめっきり減ったことが原因なのは間違いない。何とかせねば‥‥ ということで、上皇陛下と上皇后陛下ご夫妻がなさっているという ”ことばの歳時記” の音読を、我々夫婦も倣ってみようかと思っている。

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認めたくなくて、これまでは聞き流してきたが、細君は私に「昔は話が面白かったのに」とか「最近は面白くないことを言うようになった」とか言う。細君が最初にそう感じたのは、私がタイの単身赴任から戻った頃のことだそうで「あれ、何か違うぞ? 中身がすり替わってないか?」と思ったと言う。であれば10年前ぐらいから変わり始めたということになる。

思い起こせば10年前というのは、会社での人間関係の不調がどうにもならなくなっていた頃で、諦めの境地にいて人を恨んだり、妬んだりしていたのかも‥  自分では腹に収めていたつもりだったが、ちょっとした隙に悪いものが染み出てきて、細君に気付かれていたか。

家族で会話していて、私が何か発言した後、誰も何も反応しないことが時々ある。「聞こえなかったかな」「オレはいったい誰に話してるの」と戸惑うのだが、それはきっと何か面白くないことを言ってしまった時なのだろう。

自分が面白くなくなってきていることを認めなければいけない。そしてそうなった原因を理解して策を講じよう。手を打たなければ、面白くない人と思われながら過ごす残念な余生になってしまう。面白味のカケラも無い人っているもんなー。私が理想とするのは ”面白い人” ”面白い話をする人” だ。 ”味わいある人” で在りたいのだ。ただ明るくて陽気な人にはなりたくない。

そんな私が「いいなあ~」と思う有名人。その代表はタモリ、伊集院光、木村祐一、上田晋也、ヒロミといったところ。惹かれる要素を列挙してみる。まず、”知識が豊富” であり、”知りたがり” で ”おもしろがり” の性格、 ”物の道理” をわきまえ、話し方に ”巧みな構成力と表現力” を持っている。自分が周囲からどう見られているかを分かっていて、正しい立ち位置をキープしている。それともう一つ。彼らからは、幸せな暮らしぶりが垣間見える。

わが身を振り返ると、知らず知らずのうちに ”面白い人” からちょっと外れてしまったようだ。心の中に僅かに残る ”bad loser” 的な悪いヤツを一掃して、なりたい自分に向かってこれからの日々を送ろう。目標は細君から「面白い人」と認められること。家族から無視されないようになること。

< 了 >


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