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SとMはあるけど、Lはない・・・・・・。絵画の寸法につくアルファベットは何のこと?

よく画廊などで作品のキャプションに、「油彩 20M」「アクリル 15F」って書いてありますね。数字は号数なのですが、MとかFってなんだかご存知ですか? あれは長方形の縦と横の比率を表したものです。

話を簡単にするために10号を例にとりますと、10Fは10号のF型という意味で長辺53センチに対して短い辺が45.5センチです。人物画を描くのにちょうど良い寸法なのでフランス語で人物を意味するFigure(フィギュール)から来ています。長辺が同じで短辺がやや短く41センチなのがPで、風景を意味するPaysage(ペイザージュ)に由来します。やや細長くなりますね。さらに細長いのが短編33.3センチのMで、これは海景を意味するMarine(マリーン)から来ています。もっとも面積が広いのがSで、正方形のSquare(スクエア)ですから、10Sは53×53センチになります。

ギィ・デサップ「パリの夜」10F
ギィ・デサップ「エッフェル塔とアレキサンドル橋」10P

もちろんどのサイズのキャンバスに何を描いてもいいのですが、昔そう決められたのでした。しかも厳密には、上記は日本サイズでして、フランスサイズは微妙に違っています。その場合はフランス10P(55×46センチ)などと表記されたりします。

カシニョール「森のランデブー」12F

例外としてSMというのがあります。これはサムホールといってもともとは「thumb hold」と書きます。箱の底の穴に親指(thumb)を入れて持つ(hold)するスケッチ用の板が由来。この板のサイズである22.7×15.8センチの画面が一般に用いられる最小の画面だったので、特別に名づけられました。現在では1号と2号の間なので、1.5号の意味で使われたりします。

「thumb hold」がTHにならないのは、サムホールという音から作った和製表記だからです。そもそもこのスケッチ用の板が日本の画材店が考案したもので、「thumb hold」も和製英語だったようなので、最初から日本人にしか通用しないと考えたほうが良さそうですね。

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