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質疑応答|進行形は「動画を途中で一時停止」?

質問

最近、先生のYouTubeの「進行形の視点」というタイトルの授業動画を拝見し (他の授業動画も繰り返し楽しく拝見しています)、その中で単純過去は「静止画」のイメージで、進行形は「動画的」イメージ (そのため、①リアル感 ②途中 ③変化、の視点で捉えられる)と説明されていて、今まで私の中には無かった進行形の世界が新たに生まれて感動しました。

その後、この先生の説明を私なりに解釈してみたのですが、それに確信がもてず質問をさせていただいております。
まず、単純過去の「静止画」と先生が説明されているイメージについては、例えるなら紙芝居の絵とストーリーのようなものなのかなと感じました。紙芝居の1枚1枚の絵から、「過去に起こった一連の出来事」を想起し、それを説明するような感覚です (桃太郎と鬼が戦っている絵に対して、「桃太郎は鬼を退治しました」と語る)。

それに対して、進行形では、絵から想起される「一連の出来事」ではなく、そこに描かれた動作主の置かれた「状況」にフォーカス (1つの絵から一連の出来事の流れを想起するのではなく、視点をまさにその状況、つまり鬼と戦っている状況にシフト)し説明しているように感じました。
ある英語のリーディングの教科書に、あるテニス選手がジャンプショットをしている写真(まさにその選手が空中に浮いていて、ボールがラケットから離れる瞬間を捉えた写真)がデカデカと載っており、教科書ではその状況を“○○ is jumping high and hitting the ball.(○○が高く跳んでボールを強く打っている。).”と説明していました。

また、英検の面接でも、イラストの説明をするのにも進行形が使用されるのが確認できます。

このことから、進行形は、動画で例えるなら、ある一連の動作の動画、例えば跳ぶ (jump)という動作の動画があるとして、その「途中で一時停止」をし、その状況、つまり「跳んでいる状況 (jumping)」を説明していることになるのではと考えました。そして、進行形の「動画的」という先生の説明を、「ある事象を映した動画の途中で一時停止し」と考えるのはどうなのかなと思った次第です。
さらにまた、もしこの考えが容認されるならば、その一時停止した画像に対する視点をさらに変えて「行為」にフォーカスした場合、swimming (水泳)、smoking (喫煙)、taking pictures (写真撮影)のような、いわゆる動名詞として捉えることもできるのでは思った次第です。

ガリレオ流・回答

ご質問ありがとうございます😊

まず結論として、ご質問の「状況にフォーカス」・「途中で一時停止」という考え方は、進行形のイメージとして正しいものを捉えていると思いますよ。

こちらの YouTube #shorts の形でアップした現在進行形の動画で説明している「両端カットで『今』に全集中!」というのも、「一連の出来事」ではなく「今この瞬間の状況」にフォーカスするという意味ですし、それを別な言い方で説明すれば、動画の途中で一時停止して状況を描写していると考えても的を射たものとなるでしょう。

また、例えば現在進行形が「今・この瞬間」に生じている状況を描写するとは言っても、そのためには一時停止のような捉え方が不可欠になるという事情もあります。というのは、ことばを発する間にも時は刻一刻と止まる事なく進んでいくのであり、目の前で展開される状況を実況し続けるのは、人間がことばを発するメカニズム(音声言語なら発音・手話ならサイン・文字を書くことも含めても良いかもしれません)の関係上、不可能なので…

今回のご質問の中で、イラスト・写真の説明に進行形が使われるというご指摘をいただき、比喩を用いて物事を説明する際の難しさを感じました。単純過去の「静止画」イメージというのも、紙芝居でストーリーを語ると書いてくださっている感覚で同じイメージを描けているものと思います。

単純過去形の場合、1番のポイントは出来事を「終点」を含んだ(=「完結した」と捉えられる)視点で扱っていることになります。静止画のイメージという例えが必ずしも適切ではなかったかもしれませんが、「桃太郎は鬼を退治しました」の例を使うのであれば、「鬼退治」という過去の時点に生じ完結した出来事全体を丸ごと捉えて述べている感じです。

他方、もしかすると紙芝居や絵本の読み聞かせの最中で、

ほら、ここを見てごらん、イヌが鬼さんの腕に噛み付いているね。

といったように、過程の一部を切り取って(=一時停止させて)描写する場合もあるかもしれません。その場合は、「噛み付き」という行為がいつ始まっていつ終わるのか?ということは視野の外に追いやり、その瞬間に成立している状況だけに注目して語る視点となるので、こちらでは進行形が選択されることになるわけです。また、やはりここで「①リアル感 ②途中 ③変化の視点」が生じていることも改めてご確認いただけると良いでしょう。

現在分詞と動名詞の狭間について

ご質問の最後に挙げていただいた、動名詞との関連につきましては、議論の分かれるポイントではあると思います。

現代英語においては、進行形にも関わる現在分詞の -ingと動名詞の -ingは同じ語形をとるわけですが:

She is working as an actress. [現在分詞]
She stopped working. [動名詞]

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