「努力しないなんて論外だ」 21節アトレティコvsレバンテ(H) 2022.2.16

ミッドウィークのレバンテ戦。この試合はスーペルコパで延期になっていた分。連勝といきたいところ。

開幕から絶不調を極めて年明けまで未勝利が続いていたレバンテ。1/8のマジョルカ戦でついに初勝利をあげ、"メンツも良いしこのまま調子が上がれば一気に安全圏まで"などと私も思っていたが、その後普通に3連敗した。断トツの最下位。
冬の移籍市場では"気が狂うほど移籍する"でお馴染みのマルティン・カセレスをカリアリから獲得した。彼はこれがたぶん12クラブ目だが、DFながら出場数ゼロのビジャレアル、出場数1試合だけのサウサンプトン、13試合だけのバルサ以外全部のクラブで点を取っている。けっこう凄い。今季もどこかで取るんだろうか


23試合で3失点5回、4失点3回、5失点2回はさすがにまずい。劇場型すぎる。アトレティコが"33失点だ。シメオネ政権最多だ"と騒いでる間に50失点している。というか上にある10試合だけで37失点だし。マンチェスターシティの得点を越えるんじゃないか(シティは25試合で61得点。異次元でした)

前節はベティス戦。2-4で負け。
5バックで挑んだ割に、失点シーンはどこもかしこもフワフワに軽い上、セットプレーもぶち込まれる始末。退場者まで出た。2得点はどちらもデ・フルートスの質から生まれている。
まあアトレティコもついこの前2-4負けの試合をしたばかりなのであまり言わないでおきましょうと。


●スタメン
・アトレティコ

オブラク
ジョレンテ / サヴィッチ / ヒメネス / ヘイニウド
コケ / コンドグビア / デ・パウル / ルマル
コレア / クーニャ

ヒメネスが復帰。3バックへの色気を感じる編成。さて今日のヘイニウドは
チーム得点王となったコレアが先発。スアレスではなくクーニャでスタート

・レバンテ
カルデナス
ミラモン / ロベル・ピエール / ドゥアルテ / カセレス / ソン
デ・フルートス / ぺぺル / メレーロ / バルディ
ロジェール・マルティ

モラレスを外した。守備的にいくのだろうか
GKは最近アイトール・フェルナンデスが使われない

スタメン



●前半
立ち上がりから優位に保持したのはレバンテの方。アトレティコは何をしているんだ

保持

後方CB3人とぺぺルの4人で前進。アトレティコはFW2枚が特に何も出来ず突破される。コケがこのサポートに行く動きを探っていたが、レバンテは両SBとメレーロもビルドアップを助ける準備が出来ており、限定できない。

アトレティコの選択としては、ヘタフェ戦のようなハイテンションはしない。4-4のブロックをしっかり作ろう、としたところで、かなり相性の悪いチームと当たってしまった印象。
レバンテはまず後方の保持を安定させる事。その後に両SBを押し上げて幅をキープする。

押し込み

デ・フルートスがFWをやっているのが意外
バルディが高い位置に侵入。SBを押し上げてくるレバンテに対してアトレティコはこの対応でルマルが大外に降りる事を強いられ、今度は中央で数的優位を確保出来なくなる悪循環。

・狙われた弱点
レバンテの狙いは”アトレティコの2トップはCBの選択肢を限定する守り方ができていない”という最近の流れを利用するところ。
ゆっくりのんびり押し込んで、アトレティコの望む守備の配置を維持させない。後方には3CBを残しているし、最近のアトレティコにカウンター一発でやられる事はないだろう。正しいアトレティコの倒し方を実践してきた、と言える。

個人的には今のレバンテは、右ワイドからのデ・フルートスの仕掛け、突破からしか点が取れないと思っていたので、全く想像もしていなかった取り組みだった。モラレスもベンチだったし。ある意味、アウェーだからこそ思いきった実験ができたのかも、と思うと重ね重ねアトレティコには不運だった。

だいたいレバンテはこのあたりの主導権の攻防を争っているうちに先制点を取られるのが今季のトレンドだが、スローペースに付き合ったアトレティコは特にチャンスを作れないまま20分過ぎまでのんびりと。

非保持


非保持はそのまま5-3-2というか3-5-2というかでハメ込んでくる。こんなのルマルの立ち位置ひとつで如何様にでも突破できそうだが。ルマルはシンプルに大外にいる事が多く。2戦連続で言うが、それならヘイニウドじゃなくロディでよくないか。


●前半終了
ジリジリとレバンテの保持を許し続けた前半戦は0-0。なんと59.8%の保持を許した。解決点と解決法はベンチに準備されているように見えるアトレティコだが、まずピッチの11人の工夫でどうにでもなりそうに見えたが、どうだろう。
右サイドはジョレンテのスピードと質だけで何度か決定機まで繋げた。一方の左サイドは、ヘイニウドを押し出すためにコンドグビアが後方に留まる配置で徐々に前進。

コンドグビア

あとはどうやってラストサードへ進入するかだが、さて



●後半
後半。開始からデ・パウルの"前から行くぞ"のジェスチャー。
しかし大勢は変わらず、54分に失点する。この場面はピックアップ

直後にレバンテにハンド疑惑がありPKゲットかと思われたがジョレンテのオフサイドがあり取り消し。


後半リードして以降も、レバンテの狙いは整理されていた。
レバンテは“リードしても逃げきれない”を繰り返していた今季だったが、SBの攻撃参加をほぼ止め、3CHもボールプレッシャー以外の仕事は二の次に。
5-3-2の5-3がかなり低い位置に立て篭った。

後半

の割にアトレティコが圧倒的に保持できた訳でもないところが非常に不満だが。そもそもバルディを下げて守備的要素の強いマルサをさっさと入れてきた。徹底
5-3のブロック内の侵入だけ防いであとはご自由に。という感じ。

アトレティコは崩しの手段を欠き、デ・パウル辺りが前向きに持って斜めにアーリークロス、を繰り返したが一切の可能性を感じない。
PA中央でどうにかして相手を崩す、という仕事にクーニャとコレアは大して効果を持てない。もっと早くスアレスが、フェリックスが必要に感じたが。調子が良いからとクーニャ、コレアを使ったがこの試合には合わなかったね、という印象しかない。


65分、アトレティコはようやくフェリックス、スアレス、ヴルサリコを入れてスクランブル。クーニャは膝を故障。時間がかかりそうなぶつかり方だった。
直後にレバンテは2トップを替えた。これも早めに予定していたのだろう。残り20分のクローズの強度を担保した。


アトレティコはロスタイムにフェリックス→コレアで決定機を作り、90+6分にもロングスローからコレアがアクロバティックなボレーを決めたが直前のヒメネスのファールを取って、取り消し。負けた。


●試合結果
アトレティコの、ではなく”今のアトレティコの”バランスを探している。低いレベルで。前節、90分間のハイテンションな試合で4-3の撃ち合い。この日は一転、スローに入り、今度はスローペースの試合をしたい相手に付き合ってリズムを失った。
“今のアトレティコ”は、ボールを持ちたかったらのんびりと試合をしたい、という考えは理解できる。実際ハイテンションだったヘタフェ戦も、効果的な崩しでピッチを支配したわけではない。慌ただしくボールが行き来し、その結果4点取ったに過ぎない。”保持するならペースを落としたかった”し、”レバンテ相手なら少なくとも57%は持てる”と思ったのだろう。おれも思った。

実際にはレバンテが保持を安定させて試合に入った。アトレティコは2トップで相手CBの選択肢を限定できていない現状を利用され4-4-2の配置を保てず、無様に押し込まれた。ヘイニウドはプレスを理解せず、ヒメネスは明らかにトップフォームに戻っておらずバランスは崩壊寸前。さては君達、言葉通じてないだろう?
カラスコ不在で中盤の構成も理解不能。ジョレンテの大外を生かそうにも、中盤4人は全員がCHで攻撃はほぼ分断された。何がしたいのか。


色々と情報が漏れ始めてきた。これだけチーム状況が悪ければ当然の事だが、上層部も一枚岩ではなくなってきている。誰とうまくいっていない、なんて話も出てくるだろうし、シメオネを降ろそうとする動きも出るだろう。シメオネ自身から、それに反発する発言も当然出るだろう。だがこのチーム状況で、言葉にどれだけの意味が出るだろう。
この90分が3ポイントへの精一杯だったというのなら残念だ。おれの見る目が腐っていた。このチームに大いなる可能性なんてないしユナイテッドにはボロ負けするだろう。こんなものを書いた時間を返してほしい。シーズン終了まで早送りしてくれ。

断言するがこの試合にはレバンテに勝つための準備も、苦境で縋るべき選択肢もなかった。

そんな事はしないと信じているからこそ言うが、シメオネ。如何なる理由があれ、今チームを投げ出したらあなたは負け犬だ


2/16
ワンダ・メトロポリターノ
アトレティコ 0-1 レバンテ
得点者
【レバンテ】’54 メレーロ


●ピックアッププレー
失点シーン。
4-4-2で構えたアトレティコだが色々間違えた。

画像7

レバンテの保持。右から。
結構上手い事準備していたのは、コレアがペペルを消す守備に反応してど真ん中CBのドゥアルテが中盤に参加していた事。思ったより準備されてる。メレーロの位置が邪魔でルマル、ヘイニウドは前向きに出られない

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クーニャがドゥアルテに付いていき、CBが楽々サイドチェンジ。なんの意図かわからんがデ・パウルが猛然とボールプレス。高木美帆でもそこは届かんだろう
メレーロとバルディはこの試合を通じてライン間に位置するタイミングが良かった。ここでもバルディはボールは一切触れないが、最初はデ・パウルの位置を引っ張り、その後のジョレンテのソンへの飛び出しを遅らせている

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間に合わない。バルディは今度はジョレンテの背後へフリーラン。コケがついて行く。サヴィッチも意識しているがデ・フルートスが上手くその場に留まってアトレティコのバランスを壊した

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中央が3対3になっている事を確認してソンはアバウトに中央へパス。唖然としたがコンドグビアがスライドしていない。サッカー飽きた?やめる?
このボールをデ・フルートスが引き取ってランニングしたメレーロがゲット。2トップのタスク、ライン間をとったIH。後方の構築を含めチーム全体で共有した。良いゴールだ。アトレティコの対応は論外。失点した事ではなく、チーム全体でどこにボールがある時に何をするかを整理していなかった事が論外だ。
このチームは「努力しないなんて論外」なのではなかったのか?嘘ならそう言ってくれ。気分が悪い。楽して勝ちたいならそう言ってくれ。そのようにプレーしてくれ。


●ピックアップ選手
デ・フルートス
MOMと言っていい活躍。普段の右大外ではなくトップとして躍動した。非保持の限定もボールを持っての推進力もサイドにいる時同様のハイパフォーマンスだった

ペペル
保持のポイントを作り、勇気を持ってボールを要求。チームを前進させた。守備で介護が必要なのがちょっとね

メレーロ
球際を熱く。喧嘩を繰り返して中盤の攻防を優位に進めながら決勝点をゲット

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