"終わり良ければ全て良し"と言えて良かった 4節 アトレティコvsエスパニョール(A) 2021.9.12


代表ウィーク明け。
毎年この時期は"さてここからエンジンかかるぞぉ〜"ってところで代表戦!からのCL!となって"もしかして今が一年で一番過密なのでは?"となる。

ところで欧州も南米も今週W杯予選を3試合やってるんですが、いつも2試合じゃありませんでした?

つまり代表に行っている選手達のスケジュールは

8/29 ビジャレアル戦
9/2頃 代表①
9/5頃 代表②
9/8頃 代表③
9/12 エスパニョール戦
9/15 ポルト戦
9/19 ビルバオ戦

となる。なんかおればっかりのんびりしててスマンてなるくらいの過密日程

ちなみに各代表選手のプレー時間はこちら


コケ(スペイン)
9/2 スウェーデン戦 75分
9/5 ジョージア戦 出場なし
9/8 コソボ戦 90分
ジョレンテ(スペイン)
9/2 スウェーデン戦 15分
9/5 ジョージア戦 90分
9/8 コソボ戦 86分
オブラク(スロベニア)
9/1 スロバキア戦 90分 1失点
9/4 マルタ戦 90分 無失点
9/7 クロアチア戦 90分 3失点
サヴィッチ(モンテネグロ)
9/1 トルコ戦 90分
9/4 オランダ戦 45分
9/7 ラトビア戦 出場なし
トリッピア(イングランド)
9/2 ハンガリー戦 出場なし
9/5 アンドラ戦 90分
9/8 ポーランド戦 出場なし
ルマル(フランス)
9/1 ボスニア戦 45分
9/4 ウクライナ戦 出場なし
9/7 フィンランド戦 出場なし
グリーズマン(フランス)
9/1 ボスニア戦 76分 1ゴール
9/4 ウクライナ戦 90分
9/7 フィンランド戦 90分 2ゴール
カラスコ(ベルギー)
9/2 エストニア戦 84分
9/5 チェコ戦 57分
9/8 ベラルーシ戦 出場なし
デ・パウル(アルゼンチン)
9/2 ベネズエラ戦 90分
9/6 ブラジル戦 6分※試合中断
9/10 ボリビア戦 82分
コレア(アルゼンチン)
9/2 ベネズエラ戦 27分 1ゴール
9/6 ブラジル戦 ベンチスタート※試合中断
9/10 ボリビア戦 19分
ヒメネス(ウルグアイ)
9/2 ペルー戦 90分
9/6 ボリビア戦 90分
9/10 エクアドル戦 90分
クーニャ(ブラジル)
9/2 チリ戦 12分
9/6 アルゼンチン戦 ベンチスタート※試合中断
9/10 ペルー戦 27分


調べるのめちゃ大変でかなり後悔した
南米予選がのんびり10日まで試合してるんだけども。大丈夫か
オブラクとヒメネスは3試合フル出場。グリーズマンは大活躍。コレアとクーニャはちょうど良い運動になってそうなプレー時間
知らんけどルマルは次から呼ばれなそうな使われ方

ここまで調べるなら"ふむ、ではエスパニョールの選手の代表でのプレータイムは?"ってなるところだけど泣きながら断念しました。
エスパニョールファンクラブ?のツイートによるとウーレイ以外に20番のケイディ・バレがアルバニア代表に選ばれているとのこと。


さて、ようやく本題。
セグンダを優勝して一年で昇格してきたエスパニョールは開幕3試合で2ポイント。ただし無得点。
ネームバリューのある選手はGKのディエゴ・ロペスと、オリンピックに出ていたオスカル・ヒルくらいなもんだが、それなりの強度を持ったチーム。中盤のダルデルとプアドはテクニカルな選手で、ダビド・ロペスは多分潰し屋。右サイドのオスカル・ヒルとエンバルバは突破力はないけどアーリークロスの質が良い。
トップは先季のセグンダ得点王、R.D.T.ことラウル・デ・トーマス a.k.a ロッカールームで上裸で若手に説教してそう が待ち構える。
相棒になるのは聞かなくても"ルカクに憧れてるやろな"という雰囲気のアンデルレヒト出身のディマタか、ベティスの下手な方の電柱ロレン・モロン(レンタル)

ちなみに日本のyahooでR.D.T.で検索するとzozotownのよくわからん服とリモートデスクトップのwikiが出てくる。あとBリーグかなんかのロボットダンスのチーム(Robots Dance Team)
がんばれデ・トーマス。ところでロボットダンスのチームってなんだ!


●スタメン
さあスタメン!


・アトレティコ
オブラク
サヴィッチ / フェリペ / エルモソ
トリッピア / コケ / ジョレンテ / カラスコ
グリーズマン / コレア / スアレス


・エスパニョール
ディエゴ・ロペス
オスカル・ヒル / カレロ / カブレラ / ペドロサ
モルラネス / メレンド / ダルデル / エンバルバ / アレイシ・ビダル
デ・トーマス


アトレティコは早速グリーズマンをスタメンに。
南米で270分プレーしてきたヒメネスはベンチ。
怪我明けのフェリペが今季初出場。
グリーズマンがいるのにコレアもスアレスもいる前傾斜のメンバー編成に。

エスパニョールはCBカレロが今季初先発。
CHメレンドも今季初出場。
アレイシ・ビダルをスタメンで使う。

スタメン


●前半
・勢いのあったエスパニョール
序盤、勢いを持って試合に入ったのはエスパニョール。アトレティコはあからさまに疲れている様子
特に、アレイシ・ビダルが勢いを持ってエルモソにアタックするところは繰り返されると不味そうな箇所。シンプルに能力で負けてる


・6バックに対するジョレンテの侵入
アトレティコが保持する場面

エスパニョール撤退

エスパニョールは基本4-1-4-1。モルラネスがアンカー。4バックがPA幅でコンパクトに。中盤の3枚も真ん中の封鎖。スペースを与えない。
大外のトリッピア、エルモソの対応は両SHにお任せ。現実的に引いて守っているようだが、エスパニョールは結局コンディション差で優位を持てるので、どうにかなった。攻撃に転じる場面も多かった。

で、アトレティコはジョレンテを活かせた。
ジョレンテが活きる試合展開というのは、いくつかパターンがあるが、説明を大幅に端折ると”相手がコンパクトな試合”は確実に活きる。ポケットまで走る距離が短く済むから。どこかで解説します。たぶん。

この試合の前半で言うと、
・エスパニョールの4バックでアタッカー3枚を見ている
・SHはトリッピアに釘付けされている

という事で走りたい放題

ジョレンテ

この辺を使える
11分にスアレスに合わせた場面など、ここからいくつかチャンスも作ったし、これで先制できると楽になる。(ならなかった)

・逆に、カラスコ側のネガティブ要素
こちらはチャンネルを突くような連携はない。カラスコに1対1のエリアを用意するために、あえて近づかなかったとも取れるし、グリーズマンの狙いが有効ではなかった、のどちらとも取れる。

カラスコ孤立


個人的にはグリーズマンが良くなかった方向で理解した。理由は"ルマルなら近づいたから"だ。それで変わりにグリーズマンの別の良さが出ていたなら良いが、出ていなかった。

それと、エルモソのビルドアップ貢献という意味でも効果は薄かった。考えてみれば当たり前で、"カラスコの足下に付けて1対1をさせる"という形が基本なので、別にエルモソの技術云々は対して意味をなさない。"エルモソが活きるにはルマルが必要"という条件を感じた。


・エスパニョールのビルドアップ
アンカーのモルラネスがCB間、あるいは右に落ちて3枚。
右SBのオスカル・ヒル、CHのダルデルも参加しながら前進を試みる。

エスパニョール保持

エンバルバがトップポジションへ。これが効いていた


・ハマらない前プレ
この日はアトレティコの前プレの形が良くない。

17分

モルラネスが真ん中に落ちる
右SBオスカル・ヒルと、CHのダルデルも参加。
アトレティコは取れそうもないのに中途半端なプレス。
この前半、ずっとエンバルバに引っ張られたハーフスペース。
大外のトリッピアはペドロサのスピードに対応できず引き腰。
簡単にCBからのロングボールで裏取りされる。珍しいよね


メレンドのプレス回避。

19分


良いバランスとは言えないカラスコの寄せでダルデルに背後を取られている。
足下で受けたメレンドがなんとコントロールでコケを振り切る。この試合負けるかも、と思った瞬間。この時の選択肢はペドロサのスピードを活かす形で、PA侵入を許す


・ハマらない撤退
もちろん、アトレティコもずっと簡単にやられていたわけではないが、奪ってさあポジトラ、というところでビルドアップのエラーが続いて攻撃に転じられず、結局守備陣形を整えられてしまう。というケースが多い。ここもルマルの不在を感じてしまう

失点のCKに繋がったのも、この形から

失点1

コレアのスライドが追いつかず、ペドロサへのパスコースが空いている。

失点2


落ちてくるエンバルバを捕まえられず、前を向かれる。どフリーでミドル。狙った形が出たエスパニョールが先手。今シーズン初ゴールを奪った


●前半終了
・結局何が悪かったのか

コンディション、配置、コンビネーション。どれも悪かったと言える。
コンディションが明らかに悪そうな一部の代表組。システム的にもハマらず後手後手に。なんとか0-0で折り返したかったが、モヤモヤした時間帯にセットプレーで先制を許した。なんとか我慢できなかったかねえ

後半形が変わる事は明白。
ここから書いていくが、結果的には"変化に対応出来た方"が勝ったと言っていい


●後半
・変化と対応

後半。頭からエスパニョールは31番のレカセンスを投入。19歳のカンテラーノ。怪我でCBカレロを下げる事に。初スタメンだったが、残念


そしてアトレティコは3枚替え。
コンドグビア、ロディ、ルマルin
outはエルモソ、トリッピア、コレア

奇しくもロディ入り4バックを早速見られる事に


・交代の理由
まず、4バックにするためにエルモソ→ロディ
4-1-4-1で待ち構える方法として、アンカーポジションをやるためにコンドグビアを入れた。”コケアンカー、デ・パウルがIH”という選択にならなかったのが、今の序列か。
トリッピアはコンディションもあるのか、対面するペドロサのスピードについていけなかった。ジョレンテを右SBに移す
そうするとIHが足りなくなる。当然ルマル。
コレアorグリーズマンを外すところで、シメオネはコレアを選んだ。ふむ

後半


後半開始時の形。


・スイッチを入れたアトレティコ
開始早々、後半ロスタイムなのかなってレベルのとんでもない強度でスイッチを入れたアトレティコ。ハーフタイムにめちゃくちゃ怒られた説が濃厚だ。

エスパニョールは面食らった感もあるしリソースの問題もあるかもしれないが、いくらなんでも無策のまま後半に入った。さすがに変えてくるってわかったと思うけど


アトレティコは秩序がないようであるような、人数をかけてPA内に飛び込む。
特にルマルが入った事で左サイドの循環が格段に良くなる。前半ほとんどなかったカラスコのPAへのアタックを頻発させる

ルマル


コケはジョレンテを押し出すため、保持時はほぼ右SBの位置。

コケ

行ってらっしゃい

トライアングル

50分にはグリーズマンを含むコンビネーションに逆サイドからルマルが参加し、ギャップで引き出し際どいミドルシュート


・非保持 後半編
非保持は前線からガンガンアタック。

後半非保持

IHのコケorルマル(コケが多い)がCBへのプレスを担当
一列目の3枚でパスコースを封鎖ボールへはIHが行く。コケのプレーエリアどうなってるんだ


・53分
特に変わった事はしていないが、しっかり押し込んで大外のジョレンテからルマルでゲット。VARで取り消しだったが、狙った形がしっかり出たのは良かった。


・エスパニョールが動く
ここでエスパニョールが2枚替え。
バレ、ロレン・モロンがin
メレンドとモルラネスを下げた。前線をデ・トーマスとロレン・モロンにする

同時に、アトレティコはグリーズマンに替えてフェリックスが今季初出場。

60分


こうなる(60分時点)
エスパニョールは4-4-2に変更。意図はわからん。
R.D.T.は、前線にいる時は収まりが良かった気がしたが、せっかく味方がボールを奪ってもポジトラでボールが入ると一瞬で失う、を3連続くらいで繰り返して逃げ道になれず(サヴィッチが殺意を持って潰していた)、ロレン・モロンはもっと用途不明な状態に。これなら前線に運動量マンを置いた方がまだ効果的だった

70分にアトレティコは最後の交代。スアレス→クーニャ
形は変えずにこのまま押し込む方針


・そして同点
79分に同点。左サイドをロディとカラスコの2人で解決。エリア内でごちゃごちゃしたが最後はカラスコが捻り取ったようなゴール。

同点


簡単にラインを越えられる2列目
アレイシ・ビダルがベンチに下がって右に回っていたエンバルバの背後へ簡単にランニング。正確なボールコントロールで、カラスコと2人で解決した。


・継続した55分間
お互いに"戦術は気合い"になってきた80分過ぎ。
気合いの中でもルマルに加えてフェリックスが幅広くボールを引き出す仕事をして貢献した。さすがにエスパニョールは捕まえきれず保持はほぼアトレティコ。89分にはフェリックス→ロディのコンビで決定機演出

93分カラスコがPA内で決定機。もう一歩


・決した99分
長い長いロスタイムの最後。
最後まで良く走ってボールを引き出したルマルが自分で前進。カラスコのポストを使ってPA侵入して強烈な右足。試合を終わらせた。


●試合結果
3節に続き派手に疲れる試合を見せてくれたアトレティコさん。
後半は45分間(55分間)ずっとスクランブルのような試合展開。勝ててよかった

まず、グリーズマンを「使う」という意図があった事。代表組のコンディションが微妙であった事。エスパニョールがアトレティコの5バック対策として準備した形に前半はハマってしまった事。
エクスキューズを付けようと思えばいくらでも付けられる試合だった。


後半の展開を決めたのは、アトレティコが一気にエンジンを掛けた事。エスパニョールの対応が間に合わず、そしてあまり効果的ではなかった。

大きなお世話かもしれないが、エスパニョールのサッカーが前半ある程度通用し、先制まで出来たのは、エスパニョールの良さよりもむしろアトレティコが悪かった部分が非常に大きい。エンバルバの使い方やビルドアップそのものなど非常に良い部分もあったが。
そのため、アトレティコが後半大幅に戦術を変えてくる事は容易に想像できた(悪いんだから変えるに決まってる)が、前半通りに入ってしまったのがエスパニョールには痛恨だった。まあベンチのリソースの事もよく知らない上、CBカレロの怪我で経験の少ないレカセンスを入れなければいけなかったなど、同情するポイントもあるが。
虎の子の一点を守るためのドン引きでも良かったとさえ思うが、あまりにも"普通に"後半に入った印象。
対応も後手に回り、最後に出てきた逃げ切りのソリューションが監督自らの時間稼ぎだったのは褒められたものではない。

100分までかかってしまったりと、アトレティコの後半も特別褒められたものではないが、じっくり後半の45分(55分だけど)を振り返ると、アトレティコの2-0だった事自体にたいした驚きはなかったように思う。


・シメオネのプランて一体なんだったの
スアレス、コレア、グリーズマンを同時にスタメン起用した事、不思議でしたよね?僕もです
後半、2択でコレアを下げてグリーズマンを残した事、モヤっとしましたよね?安心してください、僕もです

グリーズマンのプレーレベル、今後の使い方など、批判したい事も不安に思う事も、よくわかる。
僕は、週中にも試合がある週の選手交代の順番についてはとやかく言わない、というスタンスなので、基本的にノーコメントとさせていただきたいですが。少しだけ。


ファン心理からすると、"グリーズマンのいなくなったチームで10番を付けて、必死に優勝に貢献してのし上がってきたエースが、お前のせいでベンチになるのかよ"という気持ちはとてもわかる。凄くわかるよ。おれもアトレティコのファンだからね。

でも今この状況で、排他と批判は何も生まない。グリーズマンは必要な戦力だ。断言する。だって、ジョアン・フェリックスでは駄目だったじゃないか。チェルシーに勝たなきゃいけないんだよ。また見たいの?あんな試合。おれはレビューのために何度も見返して、その度悔しくて泣きましたよ。あんな試合二度と見たくない。恥ずかしい。腹が立つ。
このチームが次のステージに進むために、グリーズマンは絶対に必要
だけどまだ、その正しい活かし方が見つかっていない

ここまでの理解で留めてほしい。とりあえずね。



脱線しましたが、ひとまずここは、"終わり良ければ全て良し"と言える結果を得られた事だけに胸を撫で下ろし、CLに向かうとしましょう。

9/12
RCDEスタジアム
エスパニョール 1-2 アトレティコ
得点者
【エスパニョール】’40 デ・トーマス
【アトレティコ】’79 カラスコ ’90+9 ルマル


●ピックアッププレー
今日も守備のスライドのシーンです。
前半45分。エスパニョールが左サイドから押し込んでCB経由で右にサイドに変わった場面。

画像17


ビダルがカラスコを連れてハーフスペースに落ちてくる。その動きに合わせてオスカル・ヒルが裏取り。

カレロの判断が悪くここではボールが出てこなかったが、エルモソが引っ張り出された。この形って常に弱点だと思う。つまり、簡単にサイドチェンジされた5-4-1がいかん、と言う結論。これ今後頻出です。



●ピックアップ選手
サヴィッチ
4バックになる機会が増えればビルドアップ問題が再燃しそうだが、100分間強度を保った守備対応はさすが。追いかけるのが面倒くさい背走もしっかりと対応。85分ディマタ狙いのクロスを掻き出した対応はチームを救った

カラスコ
疲れるタスクをこなして最後の最後まで仕事した。
彼への依存を減らしていかないと壊れてしまう。

ルマル
後半投入され、ボールを引き出して動かして、また顔を出して。IHとしてチームを前進させた。ロディとカラスコに左サイドを譲って自分は中央〜右サイドまで顔出し。
幻の同点ゴールに、最後は決勝ゴールを奪った。満場一致MOM。

ロディ
後半にチーム重心を前に押し出すきっかけとなる仕事を。クロスは引き続きおもちゃだがランニングはさすが。突発的なスピードというより中距離スプリントを数多く出せる。出番増えるぞ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?