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愚直にこだわりを持って CL2節 アトレティコvsフェイエノールト(H) 2023.10.4

CL2節。オランダ王者フェイエノールトとのホームゲーム。フェイエノールトは初戦ホームでセルティックに2-0勝ち。アトレティコはここを取って余裕を持ちたい。個人的にエールディビジのクラブのマッチレビューを書くのはこれが初めてです。たぶん
実はアヤックスが好きで、監督やるゲームとかだとだいたいアヤックスを使うタイプ。FMでは同じアムステルダムのフォレンダムってクラブ使ってた。現実でも先季から一部にいます。オレンジのユニフォームかっこいいから買おうと思ったけどユーロよくわからなくて怖いからやめたことがある。

なので僕にとってフェイエノールトはライバルクラブという印象が濃い。ファン・ブロンクホルスト、トマソン、カイト、ファン・ペルシ。あと小野伸二。
国内では先季久しぶりに優勝した勢いそのままに今季も好調。アヤックスから前半で3点取って暴動が起きるなどしている。

アトレティコはサヴィッチ、ソユンジュ、そしてまさかのヒメネスが再離脱し最終ラインがまたスクランブルに。毎年やっているのでもう慣れたものです。え?コンドグビアはもういないんですか?



●スタメン

・アトレティコ
オブラク
アスピリクエタ / ヴィツェル / エルモソ
モリーナ / デ・パウル / コケ / サウル / リーノ
グリーズマン / モラタ

最終ラインはこの3人しか選択肢がない。
右IHはジョレンテではなくデ・パウル。左WBはリーノとなる。トップはコレアではなくモラタ。

・フェイエノールト
ヴェレンロイター
ヘールトロイダ / トラウナー / ハンツコ / ハルトマン
ゼルキ / ヴィーファー / ティンバー
ステングス / パイシャオン / 上田

初戦から前線を1枚減らしてアンカーポジションにゼルキを入れる。最前線は上田となった。




●前半

アトレティコの非保持は普段通り5-3-2。フェイエノールトは普段と違うかはわからないが、セルティック戦とは異なる配置。

最終ライン4枚とアンカーポジションのゼルキの5人でビルドアップ。両SBが内側に入り込んでくる。DF4枚でアトレティコの2トップを外す狙い。セルティック戦は左SBハルトマンが早めに高い位置を取りに行ったがこの日は後方の仕事をする。両WGは大外でポイントを作ろうとする。
特徴的だったのは2IHの立ち位置で、ヴィーファーは中央コケ付近、ティンバーは左の大外付近まで移動した。決定的なボールを出せる右WGステングスに広いエリアを与えると同時に、右側はSBヘールトロイダが中盤タスク&ステングスの後方サポートをやるので左に傾いていたんだと思うが、アトレティコはティンバーを誰が見るか困ったまま試合が進んだ。アスピリクエタが対応するのを良しとするのか判断できないまま、この箇所から7分に失点する。

デ・パウルがCBを深追いしてハルトマンがフリーで前向き。ティンバーが列を上げたタイミングでコケとアスピリクエタの受け渡しが上手くいかず、フリーで侵入された。斜めにPA内に飛び込んだ上田のランニングも非常に良かったが、アトレティコ側のコミュニケーションエラーを原因とする。エルモソのカバーも遅い。そもそもPA内でヴィツェルとエルモソが対応させられる形はできれば避けたいもので、ヒメネスがいないのが悪いということで。

フェイエノールトの守備対応はマンツーマンをベースに。

試合開始当初の配置。
3トップでアトレティコの3CBに正対する。中央の上田は背中でコケへのパスコースを消す意識。ティンバーがデ・パウルにほぼマンツーマンで対応し、アトレティコのWBがビルドアップに加勢するように仕向けて守った。コケのところまでヴィーファーが出てくるので、引き付けてサウルが空く、という形を確認できた頃に先制点を取られた。そしてここからフェイエノールトの中盤の対応が変わる。トリガーがわからなかったが先制したから構えを低くした、という風には見えなかった。

ともあれ変更点はヴィーファーがサウルにマンツーマンで付くようになった点で、左ハーフスペースを埋めてFW化するサウルに付いていってそのまま最終ラインに吸収された。
これでコケがややプレッシャーから解放されることになるのはカディス戦と同じ流れだが上田とステングスがコケへの警戒を緩めず、クリーンなボールは入れさせなかった。ステングスは攻撃の中心でありながらコケとエルモソ両方に張り付く守備を頑張っていて大変そう。
圧力から解放されたコケがやや高い位置へ逃げてデ・パウルがヴィツェルに近づく。ティンバーはどこまでデ・パウルに付いてくるのか、を問う移動でフリーになった。

サウルへスルーパスを配球し、ヴィーファーが先に触ったがモラタが詰めた。同点。


面白い攻防である。CLらしいというか。相手の出方を探り狙いを探り、穴を探す動作の中で双方ワンチャンスを得点に繋げたのも素晴らしい出力だった。当然どちらかのシュートが外れていれば試合の流れは全く違う方向へ傾くはずで、上田、モラタ共にこれを決めることが出来るCL級のクオリティを見せた。13分、試合は振り出しに。

この得点以降、ティンバーはどこまでもデ・パウルに付いていく決意を固め、デ・パウルは試合から消えていく。また、カディス戦と違ってビルドアップ人数の都合で中央で浮くことのできないグリーズマンは自身の得意な展開にはならなかったが18分にモリーナとのコンビネーションで決定機を演出。前半ロスタイムにはセットプレーからゴールも決めるわけで、彼の万能性と多彩さが良くわかる試合となった。

34分にフェイエノールトが勝ち越し。ネガトラをアスピリクエタがファールで止めたFKから。ゴールまでの距離はあったがセルティック戦の直接FKに続きステングスから高精度のボールが入ってきて大外でハンツコが決めた。アトレティコはカディス戦に続いて前半で2失点。しかし、ロスタイム+3分にCKからグリーズマンのオーバーヘッドで同点に追いついて前半を終える。


●前半終了

2-2で前半終了。これだけマンツーマンの対応をされる試合なら2vs2、3vs3のユニットで突破していく場面をもっとたくさん作れても良さそうなものだが、アトレティコ側は明らかにフィジカルコンディションで劣り、ボールロストからのカウンターが常に危険な状況だった。そもそもフェイエノールトの良さはボール奪取からの速攻にあり、アトレティコは試合のペースをもう少し遅くしたい前半であった。

まずは双方の配置の探り合いから1点ずつ。前半終了にかけてお互いセットプレーから1点ずつ。後半に向けた手札の出し合いが待っている。

失点は2つともアトレティコ側のエラーが絡み、それでも試合全体の優位を手放すことはなかった45分間。これは状況は違えどカディス戦から続くアトレティコの良さで、スコアに左右されず愚直に貫くボール保持を見せたのは進歩でしょう。失点しても、見てる側も"すぐ追い付くんじゃないか"という気持ちで余裕があった。

デ・パウルは明らかに彼向きの試合展開ではなく、後半開始から数的同数の突破に圧倒的な存在感を発揮するジョレンテに仕事を譲ることとなるが、それでもたった一つのチャンスシーンで得点に直結するパスを出せたのは評価されていい。アスピリクエタ周辺のマークの受け渡しは課題になったが、彼はもっと前からガーっと行け!という試合の方が向いている。


●後半

さて後半。アトレティコは選手交代によって、コケの隣でサポートするのが右(デ・パウル)から左(サウル)に変わる。
カディス戦でも書いた通り、選手交代で役割を変える右サウルが両方できる左というバランス。得点は早速47分、ジョレンテの加勢によってクロスを上げる時間を得た右サイドのモリーナから生まれる。

ジョレンテが高い位置へ出てくることでモリーナにスペースがある。ここにコケ&アスピリクエタが手厚くサポートしてフリーでクロスを送る。モラタが飛び込んでまた決めた。圧倒的決定力。アトレティコはボールの循環を変更して最初のシュートシーンでリードを奪った。

この得点でアトレティコはペースを落とそうと画策する。しかしこの試合で引き続き難しかったのはとにかくセカンドボールで後手に回ったことで、ゆっくり時間をかけて押し込んだところでロングカウンターでひっくり返される危険性があり、ヒメネスもいなければサヴィッチもいないメンバーでカウンター合戦をやるわけにもいかず、試合を決める追加点を取りに行く勢いを失っていく。

60分、フェイエノールトが選手交代。最前線を上田から韋駄天のミンテに変更。やはりフェイエノールトは駆けっこ希望。早速真ん中を進まれてミンテ→ステングスで決定機。オブラクが止めている。
アトレティコはカードを受けたリーノに替えてハビ・ガラン。公式戦9試合目にしてようやく"守備を意識してハビ・ガラン投入"の場面が訪れた。ハビ・ガランはこれがCLデビュー。おめでとう。

この時間帯でようやくフェイエノールトは左WGのパイシャオンが目立ち始める。狭いスペースでもスピードを上げて鋭いシュートが打てるパイシャオンは撤退して逃げ切りたいアトレティコにとって脅威となった。ティンバーのサポートを受けて良い形でボールを受けられるのもややこしい。あとはミンテの異次元のスプリントにヴィツェルが苦しみながら耐えていく。フェイエノールトは上田の交代以降、PA内で勝負するストライカーがいなくなり、ここを普段はサンティアゴ・ヒメネスがやっているんだろうなという事で、次節以降が楽しみ。
アトレティコは79分にモリーナ、グリーズマンに替えてリケルメとコレア。5-4-1での逃げ切り体制に入る。
CKの雨霰を浴び、ロスタイムには再三GKがゴール前まで上がってきて嫌な記憶とも戦いながら、最後はコスティスを投入してゴール前に鍵をかけた。


●試合結果

なんとか勝った。カディス戦に続く前半の2失点と、カディス戦に続く3得点で逆転勝利。グループ首位に立った。

カディス戦と同じように配球のポイントを探っている時間帯に失点したのは望ましくないが、愚直に狙った攻撃の形を繰り返した試合はあくまでもポジティブである。カディス戦に引き続き、得点と失点は切り分けて考えたい。

フェイエノールトはセルティック戦と同じように球際に強く、トランジションに特徴を出した。両WGはゴールに向かうプレーが得意で、エースストライカー不在でも得点の可能性を見せ続けたのは好調なチームの証拠。3節4節のラツィオ戦で1勝1分以上できると突破が現実的になる。

アトレティコは怪我人続出とカレンダーでフィジカル面で劣った。ボールロストを怖がる必要のある試合で、マネジメントしながらの3得点は高く評価する。また、後半頭からジョレンテを入れた決断は100点満点。早速得点に繋げ、対策が必要だったティンバー&パイシャオンのアタックを封じる役割も果たした。ジョレンテ自身は得点に直結したプレーが出来ていないと満足しない雰囲気があるが、こういうのも貢献なんだとそろそろ覚えていい。お前はいったい何年目だ。
フィジカル面、残された交代カードを考えて早めにクローズに向かったのも仕方がない。これで同点に追いつかれようものならまたバッシングされただろうがカディス戦に引き続きベンチに人がおらず、もう一点を目指す戦い方は現実的ではなかった。これで正解。追いつかれていても文句はない。そして逃げ切った。それが結果だ。

これで、3節と4節はグループ内で実力の劣るセルティックとの連戦となる。もちろん2つとも勝てればかなり楽になるので期待したい。
その前にソシエダ戦。そして代表ウィーク。はやく一休みしたいところだ。


10/4
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 3-2 フェイエノールト
得点者
【アトレティコ】’13 ’47 モラタ ’45+3 グリーズマン
【フェイエノールト】’7 OG(エルモソ) ’34 ハンツコ


●ピックアッププレー

前半24分、エルモソが背後を取ったプレーをピックアップする。この日のフェイエノールトはマンツーマン色が強く、どこもかしこも数的同数。突破できる箇所があればそこからいくらでも侵入できる試合。しかしそのポイントが見つからず、さらにネガトラに不安があり思い切った飛び込みもできなかった試合。

サイド攻略も同様。サウルに対してIHヴィーファーがマンツーマンで付いてくるので、リーノがボールを持つと2vs2の局面になるが、ここの突破に手こずった。

同数ならHVが向こう側まで抜けちゃいなさいを実践できるのはエルモソの強みで、見事にポケットを取ってクロスまで。いつでもエルモソが前の選手を追い越せば良いという話ではなく、同数の突破に苦慮した場面でエルモソがプラス1を生む攻撃は効果的だった。同数攻略のポイントにHV突進を支えるのはアスピリクエタ&エルモソの強み。ヘイニウドもできそうだね。


●ピックアップ選手

モラタ
禊の2発。ワンタッチシュートの質が高かったが、得点の場面以外はほぼ仕事無し。

グリーズマン
得意な展開でなくとも周囲を助け、前半ロスタイムにセットプレーから貴重な同点ゴール。

オブラク
ふとしたタイミングで抜け出される場面が多かったが1vs1を確実に制した。失点シーンも2つとも一度は止めており、好調を維持。

ハビ・ガラン
CLデビュー。クローズを目指す中で必要な仕事を果たした。

コスティス
公式戦デビュー。プレシーズンから良い感じだったので今後も出番はありそう。

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