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君はポケットで前を向いて コパデルレイ準々決勝 アトレティコvsセビージャ(H) 2024.1.25

準々決勝は12月に対戦したばかりのセビージャ戦。ちなみにこの2チームは2月にも対戦する。すでに前日までに他の3試合は終わっておりソシエダ、マジョルカ、アトレティックがベスト4に進んでいる。なお準決勝のみホーム&アウェーとなる。アトレティコは準決勝に進めば16-17シーズン以来7年ぶり。最後に優勝したのはシメオネのフルシーズン指揮初年度だった12-13シーズン。



●スタメン

・アトレティコ
オブラク
ヴィツェル / ヒメネス / エルモソ
モリーナ / デ・パウル / コケ / サウル / リーノ
グリーズマン / モラタ

アトレティコは新加入のGKモルドヴァンを背番号25で登録。それに伴い急遽ロドリゴ・リケルメが17番に変更となっている。それってアリなんだっけ。

・セビージャ
ニーラン
ニアンズ / ラモス / マルコン
ヘスス・ナバス / ソウ / ソマレ / オリベル・トーレス / ペドロサ
オカンポス / イサク・ロメロ

GKはニーランで最終ラインはラモスの左右に怪我して全然出てこないコンビを置いた。この2人が同時先発ってもしかして2年目で初めてでは?
右は復帰したナバス。FWは直近の21節ジローナ戦でプリメーラ初得点のイサク・ロメロ。




●前半

セビージャは5-3-2ブロック。ニアンズとマルコンがボールへの強さを発揮し、説得力のある守備体形を作った。

ポイントは右IHのジブリル・ソウがエルモソにマンツーマンでついてきた事で、ここのビルドアップを止めようとしたが、結果的には止まらなかった。エルモソはソウのプレスを引き寄せながらコケを使って入れ替わったり、そもそも高い位置に出ていってソウの背後に立ったりとやりたい放題。普通ビルドアップに特徴のあるCBはマンツーマンで対応されると保持から締め出される事が多いが、エルモソはそれらより更に一段上の選手だなと実感。セビージャはアトレティコの左IHがサウルなので、高い位置を取りに行くサウルのマークはニアンズがやれば良いのでこういう形を取れた。左がデ・パウルだったらセビージャはどういう対応をするでしょうね、という気持ちで見ていた。


一方セビージャのボール保持。相手の3CBに対して、アトレティコはサウルが張り出して同数で当たる。ニアンズもマイコンも水準以上にはボールを扱えるので、中央のスマレを含めた4人で前進できている。オリベルもソウもFWの近い位置で何かやるタイプの選手ではないので、ラストサードの攻略をどうするつもりなんでしょう、という様子。大外でアトレティコを上回るのはなかなかに厳しそうだった。相当助走があればペドロサがモリーナを振り切れていたが。
アトレティコは動き回るオカンポスの対応をヴィツェルが割とどこまでもついていく形で対応。トップに入ったイサク・ロメロが全く怖くないのでもうエルモソは最終ラインに戻らずソウ周辺で守備をする事も。ヒメネスに任せて問題なかった。

アトレティコは24分にモリーナがグリーズマンとのワンツーでPA内に侵入したプレーでPKゲット。あれは引っ掛かっちゃいますよね。見事な侵入だった。これで楽に、と思ったらグリーズマンがズッコケて外す。ちょっとCLとかまでに芝を綺麗にお願いしますね。
アトレティコが変な失い方をしてもセビージャはびっくりするほどカウンターを出せなかったので試合は膠着。穏やかに前半を終えた。



●前半終了

得点無しで折り返したが、失点の気配は一切なくPKが決まっていれば、という前半。セビージャも5バックの構成がしっかり準備されており、侵入されたのはモリーナのPKゲットの場面くらいなもの。一方セビージャのボール保持はリスクなしに敵陣に入る事はできるが、ラストサードの一切迫力がない状態。最近延長戦をたくさん経験しているアトレティコがまた90分で決められないと嫌だなという状況だった。



●後半

選手交代無しで後半。セビージャは51分にイエローをもらっていてその後もデ・パウル相手ににっちもさっちも行かなかったオリベルに替えてラキティッチ投入。直後にアトレティコがグリーズマンの変態オーバーヘッドで先制しかける。更にリーノも単品のカウンターで枠に飛ばすシュートに至った。60分にはグリーズマンがようやく決めるが今度はオフサイド。今日は彼の日ではない。セビージャは最後のところで我慢できているんだかアトレティコが外し続けているだけなんだか微妙な雰囲気になっていくが、セビージャ側はあまりベンチに選択肢を持っていない。

56分にアトレティコはモリーナとサウルをターンオーバー。ジョレンテとバリオスを入れる。更に延長も見えてきた66分には2トップを交代させてメンフィス&コレアに替えた。替え時を間違えるとまたグリーズマンを120分プレーさせそうだったので良い判断だったと思われる。

この交代でアトレティコはジョレンテも含めて一気に縦のスピードを出し始め、オープンな打ち合いを作り出していく。68分にヴィツェルからメンフィスのスルーパス一発で仕留めた場面はその典型で、オフサイドにはなったが狙った形が出た。74分には逆にカウンターをもらって大ピンチになったが、コケがリカバリー。

ようやく79分にスコアを動かしたのはアトレティコ。この時間になっても勇気を持って高い位置に出てきたヴィツェルが起点となり右サイドポケットを取った。

ヴィツェルが持ち上がってジョレンテと近づき、擬似的な2vs2。コケを後方サポートに使いながらデ・パウルとコレアがコンビネーションに参加できる立ち位置を取った。
ここから
ヴィツェル、ジョレンテ、デ・パウル

ヴィツェル、ジョレンテ、コケ

デ・パウル、ジョレンテ、コレア
と何度もトライアングルを形成し直し続け、コレアがポケットを取った。最後はマルコンの股を抜いて入れ替わり、ゴール前のメンフィスにプレゼントパスを届けた。コレアらしすぎる決定機演出で先制点を奪った。

ここからアトレティコはクローズへ。ラモスに2,3本シュートを打たれ、最後はバリオスの自作自演のPK献上疑惑もあったが事なきを得て逃げ切った。



●試合結果

公式戦2試合連続の1-0勝利でベスト4へ。
静かな試合を無理やりペースアップさせて先制点を奪ったが、反動としてカウンターをもらっていた事も事実で、シメオネは「勝っても負けても90分で終わりにしたい」という雰囲気でリスクを許容していた気がした。先制してから再度サヴィッチ、ソユンジュらにアップを開始させたが結局一枚交代枠を残して試合を終えた。リーノとデ・パウルをフル出場させたのは意外だった。次はサヴィッチとリケルメがスタメンかも。

セビージャは割と普通にボールを持って進む事もゴール前をしっかり守る守る事も出来るがなんだか勝てない。決定的な選手がいないというか。誰がその役割をやる事ができるのか。この辺が正念場。

国王杯は日程的にも厳しいし、対戦相手にも恵まれない。準決勝は一番嫌なアトレティックとホーム&アウェーで戦う事になる。しかしタイトルに向かって勝ち進んでいる感覚はやはり特別なものである。楽しんでいきましょう。


1/25
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 1-0 セビージャ
得点者
【アトレティコ】'79 メンフィス


●ピックアップ選手

デ・パウル
ドリブルでの問題解決を完全に自分のものにし、絶好調。
オリベル・トーレスに仕事をさせずにピッチから追いやった。

エルモソ
対策を上回るビルドアップ貢献でペースを握った。ゴール前の対応も悪くなかった。

ジョレンテ
投入されて一気に対面するペドロサを上回るスピードで試合展開を変えた。

メンフィス
貴重な決勝ゴールでルーゴ戦の2発に続いて大会3点目。
実は国王杯ではチーム得点王。

コレア
決勝点演出の抜け出しでチームを勝利に導いた。
いつも通りのコレア。

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