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【ラリーガ23-24全マッチレビュー】第4節

4節全部見た。アトレティコvsセビージャは延期。
最後に降格予想もちょろっと




①カディス 3-1 ビジャレアル

●カディスの勝ち方

9/1
ヌエボ・ミランディージャ
カディス 3-1 ビジャレアル
【カディス】'18 クリス・ラモス '30(PK) '50 マチス
【ビジャレアル】'10 スルロット


黄色同士の対戦。紙吹雪がエグい中、今週の試合が始まる。カディスは前節と同じ11人。
アウェーのビジャレアル(この日は赤)はラウル・アルビオルが今季初スタメン。デニス・スアレスをアンカーポジションに置いてジェレミー・ピノもようやく出場する。

序盤からビジャレアルがボールを進める→どこかの対人でカディスが止める→トランジションバトル。を繰り返し、カディスもそれとなく敵陣に入っていく。
しかし10分、GKに戻したボールをしたたかに狙っていたスルロットが奪い、冷静にフィニッシュ。ホームチームは避けたい形で序盤に先制を許してしまう。

カディスはものすごい勢いで前線からプレスを仕掛ける。この日のビジャレアルはバエナ周辺でピノが暗躍することでボールを引き取り、進んでいくことができた。また、デニス・スアレスの精度の高いサイドチェンジが何度も出てきて試合をコントロールしていく。
ホームのカディスは18分に同点に。CKの流れから最後はこぼれ球をよく狙っていたみんなのクリス・ラモス。早めに追いついて試合をわからなくした。

その後はジェラール・モレノのファール判定を巡って一悶着あった後、ペドラサが笛が鳴った後にボールを蹴っ飛ばしてアレホと喧嘩。頭突きで退場。ヒートアップするポイントはあったかもしれないがあまり擁護できる事象でもなかったかも。ビジャレアルは一人少ない人数で戦うことに。
そして先制点のスルロットがハム逝きで交代する踏んだり蹴ったりな前半になった。モラレス投入。

30分に今度はアバウトなロングボールを必死に追いかけたみんなのヒーロークリス・ラモスの対応をクエンカが微妙に人任せにし、GKヨルゲンセンが接触してPK。クリス・ラモス節がすごい。これをマチスが沈めて前半のうちに逆転に成功。蹴らせてもらえないところも含めてクリス・ラモス節。32分にもロングスローのマエストロ、ルイス・エルナンデスのボールから最後はマチスが決めるがオフサイド。強者の戦いである。
退場者が出て以降は最前線のロジェール・マルティがCB間+GKへのボールを塞ぐ守り方でビジャレアルを自由にさせなかった。色んな修羅場を潜り抜けてきた苦労人らしいチームの助け方だった。

前半終了時も序盤から興奮が収まらないベンチのぺぺ・レイナを中心に喧嘩する。
50分、左サイドを持ち上がったダルヴィン・マチスがめちゃめちゃダルヴィン・マチスなミドルシュートを捩じ込んで3-1に。後半開始早々に勝てる流れを引き寄せた。2点リードしてからソブリーノが出てくる嫌がらせも徹底。

ビジャレアルは人数が減った後に一人一人の走る距離が伸びる戦い方を選択し終盤は疲労困憊。追いかける余力を見せることが出来ず連敗となった。
カディスは得意のパターンで逃げ切り。相手に退場者も出たが先制された後のリアクションが良かったのが勝因。今季初の複数得点で2勝1分1敗と上々のスタート。

●ピックアップ選手
クリス・ラモス(カディス)
FWは結果が全て。こぼれ球を狙っていた同点ゴールと、最後まで追いかけて逆転のPK奪取。"クリス・ラモスがピッチにいる理由"を表現した試合となった。



②アルメリア 2-3 セルタ

●詰めが甘い同士で撃ち合う

9/1
パワーホース・スタジアム
アルメリア 2-3 セルタ
【アルメリア】'54 アキエメ '68 アリバス
【セルタ】'24 ヌニェス '34 ラーセン '87 スウェドベリ


そろそろ初勝利が欲しい両者。アルメリアはラマザニをスタメンに戻した。セルタは引き続き3CB。

セルタはイドリス・ババのところにCHがどこまで出るかの設定に苦しんでいるようで、それをわかっているかのようにメレーロがライン間をうろちょろする。ただメレーロはそこにいて何が出来るんですか型の選手ではある。
セルタはネガトラの反応が良くアルメリアにカウンターを許さないのでそれとなく均衡した立ち上がりに。セルタの攻撃は両WBがカギを握りすぎている嫌いがあるがどうなるか

24分にセルタが均衡を破る。FKがファーサイドに流れて走り込んできたウナイ・ヌニェスが叩き込んだ。アルメリアの対応はあんまり好きじゃない対応でしたが。よく怖がらず飛び込んだ。これでセルタはイドリス・ババのところの守備対応を"先制したから捕まえなくていいです"と割り切っていく。得点は大事。

34分にセルタの追加点。何を合図にしたかわからないがラーセンがプレスのスイッチを入れて敵陣深いところでハメ込み、ラーセン自ら綺麗に流し込んだ。今季はシュートの運が悪い日が多かったがちゃんと決めた。理想的な前半。アルメリアはセットプレーからメレーロが外す方が難しそうなヘディングを外し、ババのアンティチポからのスルーパスでラマザニに決定機が来るがこれも外して折り返す。

後半。アルメリアはコネを入れる。交代はエンバルバ。3CBの外側をスピードで打開、みたいな感じでエンバルバがいらなくなったのかなと予想。あとカウンター狙い。

54分にアルメリアが一点返す。あとでベニテスに烈火の如く怒られそうなPA内の微妙なロストを攫われてアキエメが詰めた。アキエメってほんとどこにでも顔出すな。

67分にアルメリアはロピとアリバスを入れて前がかりに。直後、ライン間で引き取ったラマザニが縦に突き進んで折り返しをアリバスが待っていた。アリバスはラマザニにボールが入る瞬間に飛び込む位置を確認していたな。良い判断だった。ラマザニは周りと合わないプレーが多い試合だったがここで点になった。ホームチームが同点に追いつく。セルタは一点目のお見合いにしても二点目の突破にしても不慣れなシステムでやっている感がある。これをベニテスは織り込み済なのか許せないのか、どっちでしょう。
セルタはラーセン→スウェドベリ。ラーセンは点は取ったが高さが活きる攻撃はできていなかったので仕方ない。

ここからセルタは我慢が効かなくなりトランジションバトル開始。アルメリアは2つのロングカウンターで1vs1を迎えるがコネ、アリバスが外す。これを決めていれば。
逆にセルタはミンゲサがエリア外から強烈な一撃。これはマキシミアーノのパラドン。連れてきた理由を証明した。さらにアスパスがついにPA内に侵入して引っ掻き回し、最後はバンバのシュートだったがプビルが身体を張った。今季は80分付近にならないとアスパスの仕事が来ないのはどういった理由でしょう。
そして待望の勝ち越し点はセルタの方に訪れる。試合終盤に突然攻撃の中心になるでお馴染みのミンゲサがこの日も右サイドから良いクロス。逆サイドまで流れてマヌ・サンチェスが再度折り返したところにスウェドベリが飛び込んできた。アルメリアは失い方もボールの追い方も少し雑になったところ。セルタは見逃さなかった。すかさずアイドゥを入れてクローズへ。さらに新加入のドゥヴィカスを使う。ドゥヴィカスってドベカスみたいですよね。

ドベカスの説明はこちら。みんな知らんだろ

最後はカウンターを打てなくなったアルメリアが力尽きて試合終了。セルタはようやくの初勝利。終盤にカウンターを喰らい始める原因はWBが高い位置に出ていくことなのだろうか。検証はまたの機会に。個人的にこのシステムが長続きすると思っていないのでこの辺の確認はふわっとやっている。先制すると強そうなシステムと見せかけて同点に追いつかれたのは頂けないが、勝ちは勝ち。
アルメリアはまだ続くトンネルの出口まで直向きに進む。4-2-3-1のボール保持を基本、という顔をしつつ本領発揮は後半のカウンター合戦というチーム。ある意味スペインのクラブらしい本音と建前が見える。ラマザニの突進は正直止める手段が見当たらず、両サイドへ流れてくれるルイス・スアレスがそれとなく抜け道を作ってくれるのは非常に助かる。ただこの2人は色々タイミングが合わない。後半にエンバルバを下げて推進力を優先したのも結果的には得点に繋がった。あとは失点を抑えること。引き続き慌てるようなチーム状況ではないと言っていい。

●ピックアップ選手
マルク・プビル(アルメリア)
先季はセグンダのレバンテにいたまだ20歳の右SB。昇格プレーオフで無双していたので注目していたが見事スタメンに定着。身体がでかくてボールに強く、上下動できる選手で融通が効く。



③ソシエダ 5-3 グラナダ

●大味だがようやく初勝利

9/2
レアレ・アレーナ
ソシエダ 5-3 グラナダ
【ソシエダ】’9 ’44 久保 ’59 スビメンディ ’67 バレネチェア ’76 OG
【グラナダ】’35 OG ’83 ボイェ ’90+9 サラゴサ


3つ全部引き分けて未勝利のソシエダ。アーセナルからティアニーを借りてそろそろ原型がなくなりそうだが。怪我で練習を欠席していた久保もスタメンに。
前節マジョルカに勝って3ポイントを手にしたグラナダは失点を減らす方向にもチャレンジしたい試合(フラグ)。降格したエルチェから加入のルーカス・ボイェが早速スタメン。好きな選手です。

9分にソシエダがまた久保のゴールで先制。裏抜けして内側に入ったランニングルートもフィニッシュも完璧だったが、トランジションが生まれた原因はソシエダのボールロストだったのは見逃せない。良いゴール、で済ませていては先に進めないが、グラナダの対応が甘かったという事。
この日のグラナダの非保持配置はカジェホンが最終ラインに吸収される形。ソシエダはだいたい右(久保)から進んでくるので大外の対応をちゃんとやりましょうねという設定。
35分にグラナダはこの日最初のCKから同点に。判定で揉めてスタジアムが騒然としている中で集中を欠いた。
この日も引き続きボールが前に進まない久保と愉快な仲間達だったが、44分にがむしゃらなレイオフで中盤ラインを超えて最後は久保。勝ち越しゴールも決めた。

後半は59分に追加点。左右に揺さぶりながらトラオレと久保の関係で右サイドを侵入してブライス・メンデスがポケットを取る。マイナスのボールをスビメンディが決めた。ようやく完璧な崩し。グラナダはなかなか失点が止まらず、ここで3枚替え。
67分ソシエダは低い位置で前を向いたバレネチェアが中央のポストを上手く使って裏抜け一発。今季のバレネチェアはこういうシュートがちゃんと枠に飛ぶ。4点目で勝負あり。
76分の5点目は久保のハットトリック疑惑があったがオウンゴール。その後、今さらサラゴサのキモ突破が発動するなど反撃を始めるグラナダ。ボイェがPA内で魔神のような突進をして一点取り、ロスタイムにもビルドアップのエラーをひっくり返してもう一点。5-3でぬるっと試合終了。
ソシエダは点が取れているのはいいがシンプルに久保の質と決定力に依存した。保持を押し通せないのはどうしたらいいのでしょう。
グラナダは失点に尽きる。4試合で12失点は看過できない。点は取れるので、どうにか体勢を整えたい。

●ピックアップ選手
久保建英(ソシエダ)
2得点。違いを生むのはだいたい久保からだった。シュートが枠に飛んでいるのも良い。太ももの怪我であまり練習できていなかったようだが絶好調を維持する。



④マドリー 2-1 ヘタフェ

●サッカー星人の逆襲

9/2
サンティアゴ・ベルナベウ
マドリー 2-1 ヘタフェ
【マドリー】’47 ホセル ’90+5 ベリンガム
【ヘタフェ】’11 マジョラル


3連勝スタートとなったベリンガムと愉快なマドリーはようやくホーム開幕戦。ヴィニシウスが怪我で欠場。モドリッチが今季初スタメン。
バルサと喧嘩ファイトしてヒール役の地位を確立し始めているヘタフェはすでにクリーンシート2つと我が道を行く。駆け込みでディエゴ・リコ、オスカル・ロドリゲス、そしてメイソン・グリーンウッドを連れてきたが、ボルダラスが何をするか。

序盤から喧嘩ファイトを繰り出すヘタフェ。マドリーは割とベリンガムが右サイドを引っ張る。中央の球際でファールしてでも止める守備に苦しんでいく。ヘタフェはがむしゃらに暴力を振るっているわけではなくハーフスペースでボールを受けようとする選手を集中的に攻撃しているのが計画的犯行感がある。
試合は11分、マドリーのフラン・ガルシアがハイボールの処理をチョンボし、失点。マジョラルはよく決めた。

マドリーはボールを持ち続けるが、ヘタフェはジェネがベリンガムにマンツーマンでついていきプラス1を作らせない。それでもPK疑惑のドリブルを見せるなどこの日もベリンガムのパフォーマンスはずば抜けていた。ヘタフェはゴール前も気合を入れて守り、最後はこの日当たっていたGKソリアが止め続けた。カウンターはハイボールしか選択肢がなかったがそれで先制点を奪っているのだからすごい。ラタサはリュディガー側を選んで競り合っていたのがこの日の特徴。ジェネとアルデレーテを中盤に置いていて、なんか一応カウンターとかできるのはすごいよな。

後半。マドリーはクロースとナチョを入れる。フラン・ガルシアを下げてアラバを左に動かした。ここまではフラン・ガルシアを我慢して使ってきた印象だったが。
ヘタフェはアルデレーデ→アランバーリを交代。

マドリーはクロースが左のハーフスペースに陣取り、ロドリゴが内側、アラバが外側。この配置を整理したことでベリンガムを右側に置いておくことができるようになった。ヘタフェはクロースの配球を止められなくなり、右CBのリュディガーは自分の前方にスペースができてドリブルで運び続けた。

47分に早速ホセルのゴールで同点。CKのセカンドボールにうまく反応できた。これがマドリーで公式戦初ゴール。
その後はクロースの左足のとんでもないミドルシュート。65分には完全に押し込んでベリンガムからカルバハルへのスルーパスで決定機。さらにホセルのボレーをソリアがパラドン。よく止めた。マドリーが完全にピッチを支配してヘタフェはカウンターも打てなくなってしまった。

終盤にかけてもヘタフェはカウンターを諦めて6-2-2のような配置で必死に耐えるのが精一杯で、キレ味の落ちないロドリゴと途中出場のバルベルデ、ブラヒム・ディアスがゴール方向にチャレンジし続ける恐怖の時間を過ごした。よく集中して守ったが最後はロスタイム+5分、ルーカス・バスケスの強烈なシュートのこぼれ球に反応したのはこの日もベリンガム。4戦連発は貴重な決勝ゴール、そしてホームのファンの心を鷲掴みにする一撃で、新時代の到来を世界に宣言した。

●ピックアップ選手
トニ・クロース(マドリー)
後半頭から投入されチーム全体の配置を整理。間違いを犯さない技術と正確なパスでピッチ全体を操った。改めて唯一無二の能力をアピールした。



⑤アラベス 1-0 バレンシア

●準備された道筋

9/2
エスタディオ・デ・メンディソローサ
アラベス 1-0 バレンシア
【アラベス】'6 キケ・ガルシア


前線に積極補強を続ける昇格クラブアラベス。バレンシアあたりに狙った試合が出来ると残留への道筋が作りやすくなる。
予想外の連勝スタートとなったバレンシアは前節オサスナに敗戦。カスティジェホとマルコス・アンドレまでいなくなったがセルジ・カノス(←ブレントフォード)、アマラー(←バジャドリード)、ヤレムチュク(←クラブ・ブルージュ)と前線の補強。とりあえず頭数は揃った。

引退したラグアルディアのキックオフセレモニーがあり試合が始まる。
開始早々バックパスを攫ったリオハとママルダシュヴィリが接触してPK。とんでもない立ち上がりになった。が、キケ・ガルシアのシュートをママルダシュヴィリが完璧に止める責任完遂パラドン。が、DFが先にPA内に入っていて台無しに。が、逆に蹴ったやり直しもママルダシュヴィリが止める。なんだこのエンタメ。
家に帰りたくなってもおかしくないメンタルの中、次のプレーでニアに上がってきたクロスに迷わず飛び込んで先制に成功。キケ・ガルシア、ベテランの味である。
直後にはアラベスのシベラも怪しい対応をしてボールを攫われそうだったがどうなってるんだ

アラベスのビルドアップは左に傾く。ゲバラが真ん中でブランコが左へ。ドゥアルテの位置を高くしてリオハの質を押し付けた。たぶんバレンシアはその対策でフルキエとコレイアを並べていると思われる。この形の効率が良かったのは右のアルカインのクオリティで相手を上回れていたことで、中央に入りながらグリディを解放していった。

バレンシアはトップ下のアルメイダのプラス1メイクが軸、というかそれ以外特に変わったことはなく。このアルメイダをブランコがマンツーで消しにいったアラベスの守備がなかなかハマっていた。ゲバラはハビ・ゲラにちょっかいをかけて前を向かせず、グリディは得意の機動力でペペルを捕まえながら目の前のディアカビも自由にさせず、攻撃的な良い守備を作っていた。アラベス、良いです。徐々にラインを下げていく対応は事前に設定されている雰囲気がある。バレンシアは前を向いたCHが相手DFラインの背後に放り込む攻撃で可能性を見せていくが、アラベスの集中力が高く我慢。
バレンシアは次第にガヤを高い位置に持っていって後ろ3枚にする形に変わっていくが、最終ラインの配球が不安すぎる上にカウンターを食らうと無防備でなかなかスリリングだった。

後半、一点を追うバレンシアはフラン・ペレスと背番号が3番に変わったモスケラが入ってハッキリと3-4-2-1に変更。59分にはアルメイダのターンでチャンスを作って最後はディエゴ・ロペスに決定機。シベラのパラドンでアラベスが耐えた。
61分でアルメイダが選手交代。新加入のセルジ・カノスが出てくる。背番号7。
死ぬほど走っているキケ・ガルシアは69分にもヘディングで決定機を迎えている。基本的に彼の日ではなかったが、一点取ってるから偉い。75分にサム・オモロディオンと交代した。同時にセドラルに替えてテナグリア。

バレンシアは終盤にラッシュをかける手段がないのはご存知の通りで、アラベスは気合と根性で逃げ切り。これでホームは2戦2勝。初のクリーンシート。中盤の配置も点の取り方もよく練られている。印象の良い勝利となった。新しい選手も多いバレンシアは連敗となったがまだこれから。

●ピックアップ選手
キケ・ガルシア(アラベス)
2つのPK失敗後の身体で捩じ込んだ先制ゴール。下を向くキケを起き上がらせたリオハ含め、勝つための準備がしっかりできていた。



⑥ベティス 1-0 ラージョ

●飛び道具の差で

9/2
ベニート・ビジャマリン
ベティス 1-0 ラージョ
【ベティス】'53 ジョゼ


悪くないスタートを切っているベティス。アブデ(←バルサ)を加えてようやく役者が揃った。この日の右はロドリがスタメン。
連勝スタートのラージョは先週アトレティコに大敗。前線の組み合わせを変えて再現性を高めていきたい。R.D.Tは引き続き起用された。

相当雨が降っているようで劣悪なピッチコンディション。ラージョは前線からのプレスがそれなりに機能し、前節アトレティコ戦と比べれば圧力をかけられている。ベティスは右SBベジェリンが高い位置にどんどん出てくるのでイスコだけでなくロドリも好き勝手動き回った。この2人をどうやって捕まえるかはラージョのテーマ。
一方のベティスも、相手のCBを追いかけ回せばリターンがありそうと気づいている感じでプレスをかける。けっこう奪えていた。ラージョはシスが色々な穴埋めに忙しそう。

微妙なジャッジが多くなかなかフラストレーションを溜める両チーム。ギド・ロドリゲスにイエローが出るなど。R.D.Tがキーパーにちょっかいかけたり。滑りやすいピッチに苦戦しながらグダグダしていく。前半はラージョがイスコを消せていたこともあり、0-0で折り返す。

後半。ベティスはミランダ→アブネル・ヴィニシウス。理由はわからん
早速ベジェリンのポケットランとアヨセ・ペレスのオーバーロードが絡んでイスコに決定機。ディミトリエフスキが触っていた。
この時間帯、割とハーフコートで試合を出来ていたベティスはアヨセ・ペレスがゴール正面でファールをもらうと、FK上手そうな顔してるけどどうせ入らねえんだろとファンも思っていそうなウィリアン・ジョゼが見事に決める。すいませんでした
突破口を探すラージョは59分にR.D.T→カメージョ。73分にバリウからニア突入したアルバロ・ガルシアが合わせて決定機。ベティスらしい背後の甘さ。
ラージョはべべとファルカオを入れて物量で得点を狙うが、ちょっと説得力に欠けた。ルジュンの無回転FKはこの日も枠を捉えていた。
ラージョは最後まで元気が出ずベティスが逃げ切り。ウィリアン・ジョゼが謎の好調でここまで3ゴール。イスコが異常に好調。退場者が出ない。ラージョは連勝スタートからの連敗だがあまり驚きはない。個人的には先季のセットプレーの強さを取り戻すことが鍵になると見ている。その他は仕方ないしな。

●ピックアップ選手
エクトル・ベジェリン(ベティス)
ようやく出場。やはり矢印の出し方が上手く、ランニングで作ったスペースにイスコが入る形も様になっていた。サバリの対人強度も捨て難いので良い競争になりそう。ちなみにサバリは意外と歳がいってるのでベジェリンの方が若い



⑦ジローナ 1-0 ラス・パルマス

●握り合い

9/3
エスタディ・モンティリビ
ジローナ 1-0 ラス・パルマス
【ジローナ】’88 ポルトゥ


新たなボール保持軍団同士の楽しみな一戦。
ソシエダ、ヘタフェ、セビージャ相手に2勝1分と予想外の好発進のジローナは中盤の構成と崩しの手順に注目。めちゃくちゃボールを持つが全く点が取れないラス・パルマスはまだ開幕戦のPK1点のみ。ストライカータイプのカバを継続起用する。

序盤は保持したいジローナとボールを取り上げたいラス・パルマスの構図。3分、早速ラス・パルマスはペヒーニョが抜け出したがガッサニガが止める。1vs1に強い。
ラス・パルマスは前に人数をかけてボールを奪いに行くが相変わらずジローナの最終ラインは意地でも繋ぐ意識で、これが上手く捕まってしまった前半。何度も高い位置でボールを奪ったラス・パルマスだが、そこからチャンスに繋がる機会はあまりなかった。また、右SBのフリアン・アラウホが対面するサビオを上回れることでジローナのロングボールでの解決も制限していった。
この日のラス・パルマスは4-2-3-1風で中盤にキリアン・ロドリゲスとロイオディスを並べる形。ジョナタン・ヴィエラを高い位置にポジションさせてカバの近くでプレーさせた。しかし個で上回る箇所を作れないのは相変わらずで、ジローナは別に怖がることなく普段通りに戦っていた。

ラス・パルマスの守備はSBが大外対応をさせられた時のハーフスペースが明らかに弱点で、ジローナは特に右でツィガンコフがボールを持ってハーフスペースにイバン・マルティンが飛び込む形で背後を取ることができた。この日はヤンヘル・エレーラと位置が逆。折り返しが上手く合えば得点、という場面をいくつか作っている。31分にはストゥアニが決めるがオフサイド、44分にはCKからまたもストゥアニが決めるがこれはその前のファールを取った。

先に動いたのはラス・パルマス。57分にベニート・ラミレスと新加入のペローネを入れる。まあ結論から言うと普段通り何も変わらない。直後のフリアン・アラウホのどフリーのヘディングをガッサニガがまた好セーブ。
この日のジローナはアレイシ・ガルシアを最後までアンカーから動かさず。アレイシ・ガルシアを中央に置いたままパブロ・トーレが機能してくれたらそれに越したことはないのでテストの意味合いがあったと思われる。
ジローナはサビオが後半になってもまだまだ元気で、内側へ横断してくるドリブルが効果的。逆で待っているツィガンコフをポイントに隙間を狙う。ヤン・コウトの良いシュートなどを導いた。別にアルナウが出来ないわけではないだろうが、ヤン・コウトに替わってからさらに高い位置に出てくるようになった。
72分にサビオ→バレリーを交代。さらに75分に、ツィガンコフ→ポルトゥを交代した。ラス・パルマスはムニル→マルク・カルドナ。

88分の得点はジローナ。左大外でバレリーが縦突破。この日良かったフリアン・アラウホは突然淡白に対応したが疲労だろうか。大外でヤン・コウトが折り返し、ポルトゥが待っていた。移籍後初出場で決めた決勝ゴール。
あとは守るだけのジローナ。ラス・パルマスはボールをブロックの外で回すだけでチャンスを作れない。放り込みも可能性は低そう。カバを最後までピッチに残したのがこれまでと違うところで、個人的にはこれが精一杯の得点への意志だと思っている。それだけ?と言われてもそれ以外に特にないんだから仕方ない。
ジローナは特に後半、別にプレスを外されても別に怖くないですをベースに前プレ。ボールを持って試合を進めた。選手交代も今季の主な狙いと新加入のテスト、そしてアレイシ・ガルシアの配置を動かさなかったのは試合前のプランであると同時に勝利への余裕を感じる。得点まで時間はかかったが順当な勝利。

●ピックアップ選手
フリアン・アラウホ(ラス・パルマス)
他に対人で上回る箇所を作れないので責任は大きくなりそう。スタミナ不安は要確認



⑧マジョルカ 0-0 アトレティック

●違いを作れず膠着

9/3
エスタディ・デ・ソン・モイシュ
マジョルカ 0-0 アトレティック


未勝利のマジョルカはホームにアトレティックを迎える。最適解のようなものにダルデルとラリンを組み込めるか。この日はついに2人ともスタメンに。
アトレティックは攻撃陣が好調。わかっていても止められない高速カウンターで仕留められるか。ムニアインではなくサンセがスタメン。

マジョルカは5-3-2で構えると両WGのウィリアムズ兄弟にクリーンなボールをバンバン入れられるというシンプルな弱点があるが、それを許容していく。保持では後ろ3枚でWBを高い位置へ。先季よりもだいぶ配置が全体的に前。ラトが内側へランニングするなど。
アトレティックはムリキへのロングボールは気合でどうにか対応することを前提とする。保持には全く困ることはなく簡単に侵入できるがゴール前で跳ね返せばいい発想のマジョルカをどう崩すか。
24分にサンセに決定機。イニャキにCBが釣られるとチャンスになるアトレティック。あとはこの日もニコの突破が解決策になりそうだがマジョルカはサポートの置き方が上手い様子。アトレティックは45分間特に工夫が見られなかったのでマジョルカのペースではありつつ、ムリキ&ラリンの2トップはチャンスを作れずダルデルから良いボールが出てくることもなかった。双方改善ポイントが必要な後半へ。

49分、マジョルカはセットプレーからムリキを使って決まったかに見えたがオフサイド。
マジョルカは56分にラリン→リャブレス。どうもラリンのスタメン起用はハマらなかった。
重心の低いマジョルカを崩すにはアトレティックは両SBからのアイディアかWGの突破どちらかが必要だったがこの日はどちらも欠けていた。デ・マルコスがいたら少しは違ったのかなという感想。ムニアインが出てくるとポケットに侵入する形で違った良さは出てきたが決定打には至らなかった。
マジョルカはジャウメ・コスタとモルラネスを入れてバランス調整。その後ムリキがチャンスを迎えたがこのワンチャンスをモノに出来ず。スタメンの再考が必要になりそうな試合となった。アトレティックは先季同様、決められない試合の過ごし方を練りたい。起用法が固定化されているのも少し心配。

●ピックアップ選手
サム・コスタ(マジョルカ)
移籍後発スタメンとなったが中盤中央でバランサーとしての地位を確立。保持でも存在感を出した。



⑨【延期】アトレティコ-セビージャ

9/3
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ-セビージャ

大雨で延期

●ピックアップ選手



⑩オサスナ 1-2 バルサ

●強度に慣れていく

9/3
エル・サダル
オサスナ 1-2 バルサ
【オサスナ】’76 チミー・アビラ
【バルサ】'45+1 クンデ '86 レヴァンドフスキ(PK)


残念ながらECLプレーオフは敗退となったオサスナ。気を取り直してのバルサ戦。メンバー変更多め。
デッドラインデーにジョアン・カンセロ(←マンチェスターシティ)とジョアン・フェリックス(←アトレティコ)をレンタルで獲得し、アブデとエリック・ガルシアを放出したバルサ。ペドリは怪我で欠場する。

早速フレンキーのアーリークロスにポケットを取ったのはギュンドアン。バルサはこういう入り方が絡むと戦いやすくなるんでしょう。レヴァンドフスキにボールが入るタイミングで走り出すランニングのタイミングはみんな見て勉強しような、という感じ。良い教科書です。ビルドアップの列落ち含めてギュンドアンは縦挙動のタイミングが上手い。
31分にオサスナは右サイドからアレソがインサイドカットしてアイマールに決定機。テアシュテーゲンがよく止めた。オサスナは最終ラインが前を向けるとWGがシンプルに背後を取りに行くが、これがそれなりにハマって前進できている。非保持ではイケル・ムニョスを真ん中に置いてWGが頑張る4-1-4-1。2CB+ロメウ&フレンキーに持ち出されるが真ん中を締める。ギュンドアンに配置を動かされるがエランドは良くやっていた。レヴァンドフスキの相手をするカテナもよく粘っていた。ここにフレンキーが飛び込んできてガビが衛星してるのでストレスの多いポジションだった。
前半ロスタイムにCKからクンデのヘディングでバルサが先制。よく守っていたオサスナだったが悔しい形の失点。バルサはチャンスの数的にもリードして折り返せるのは妥当な結果。

59分にカンセロとフェラン・トーレスが出てくる。後方サポートを徹底していたセルジ・ロベルトから大外を持ち上がれるカンセロに変えるのは文脈がある。クンデがやっていた中盤タスクもカンセロがやるように。
一方オサスナもチミー・アビラとブディミルの途中投入にはECLの傷から立ち直るための文脈があった。スタジアムのリアクションも良かった。そのアビラが左足を振り抜いた同点ゴールは2節の一発退場の汚名返上。

バルサは79分にジョアン・フェリックスが憧れのクラブでデビュー。オサスナはナチョ・ビダル投入。
81分にレヴァンドフスキが倒されてバルサはPKゲット。これはDOGSO。

ホームのオサスナは後半ボールを持つこともできて、期待以上の戦いができた。同点ゴールも決めたし。一方のバルサはボールを持っていればいい時間帯に持つことができない。カンセロの投入はそこの改善の意味があったのかもしれないが、結果同点にされているのが現状。再奪回も全然ハマらなかったが先季からこういうところがある。先季は1-0逃げ切りを連続してそれでよしとされていたようだが。対戦相手はどのチームもバルサにボールを持たれる事自体に慣れており、阻止する方法も考え始めている。なかなか見所のある試合だったのではないか。

●ピックアップ選手
イルカイ・ギュンドアン(バルサ)
右ハーフスペースで質の違う出し入れ。最後までピッチに置かれたがこの調子で使われ続けるのだろうか。



4節が終了し代表ウィークへ。アトレティコvsセビージャは雨天中止に。大晦日付近の試合になるようです。
マドリーは全勝スタート。クルトワ、ミリトン、メンディ、セバージョス、ヴィニシウスと怪我人続出ながらベリンガムの4戦連発などで好発進となった。サプライズは3勝1分でスタートしたジローナ。保持ベースながらビルドアップが普通に怪しいので今後が楽しみ。

では、一応当たると話題(ではない)の降格予想第一弾を

18位:バレンシア
19位:グラナダ
20位:ラス・パルマス

9/8時点

とします。まずはバレンシア。例年通り放出が進んだシーズンで、さすがに今季は穴埋めに苦労している。それでも後ろのメンバーは揃っているが前線が壊滅的である。ウーゴ・ドゥーロに依存する環境を変えたいところだが獲得したヤレムチュクとアマラーが決定打になる未来はあまり見えない。ここまで2勝2敗とポイントは取れているが苦労すると予想する。
次にグラナダ。得点が取れるチームだが失点が止まらない。すでに複数のシステムを使い回しているようにセグンダでやってきた積み重ねは十分に見られるものの、どれがプリメーラで効果的かと言われるとどれも微妙だ。左SBのカルロス・ネバのビルドアップ貢献、CBルビオのCKの強さ、ブライアン・サラゴサの突破力などまだまだチームを良化させるポイントは見られる。見ていて面白いチームなのでパコ・ロペスの手腕に期待。
最後はラス・パルマス。スペイントップクラスの浪漫派クラブはボール保持に勤しむ。4試合平均58.8%のボールポゼッションはバルサ、マドリーに次ぐリーグ3位である。それでPKの1点だけでは浪漫もクソもない。キリアン・ロドリゲス、エンツォ・ロイオディスなど無名のMFが中央でバンバンパスを通すのは爽快だが、その先で一番可能性があるのがサンドロ・ラミレスの突破では希望は薄い。マジョルカ戦でムリキへの放り込みにほぼ無抵抗だったこともあり、先制点を取られずに時間を過ごすことも必要になってくるが現状は改善策は思いつかない。


以上。しばしのお休み。スペインの代表戦は見る。
そしてツイートしましたが5節バレンシア戦、CL1節ラツィオ戦のレビューはとても遅くなってしまう可能性があります。気長にお待ちください。よろしくです。

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