必然を積み重ねて 9節 アトレティコvsグラナダ(A) 2021.12.22
年内最終戦。
南米予選から選手帰ってきたの昨日だもん!とゴネて延期になっていた10/17のはずだった9節のグラナダ戦。
現在シメオネ政権初の3連敗で揺れるアトレティコ。引き続き怪我人が多く苦しいが、ここが終われば少しだけ休める。なんとか良い締めくくりを。
グラナダは週末にマジョルカに4発快勝(4-1)。39歳ホルヘ・モリーナの、5大リーグ史上最年長ハットトリックに沸いた。ロベルト・マルティネスとの幸せな日々が終わった今季は、開幕からなかなか勝ちきれずに苦しんだが徐々に復調。3シーズン連続の1ケタ順位フィニッシュへ、チーム状態が良いこの時期に勝ち点を積んでいきたい。
●スタメン
・アトレティコ
オブラク
フェリペ / コンドグビア / エルモソ
トリッピア / コケ / デ・パウル / ルマル / カラスコ
フェリックス / スアレス
最終ラインは引き続きこんな感じ。ジョレンテがまたもや負傷で離脱。グリーズマン不在の前線にはCL4節リバプール戦以来、ラリーガでは10/27のレバンテ戦以来にジョアン・フェリックスがスタメン入りした。
・グラナダ
マキシミアーノ
アリアス / トレンテ / ヘルマン / ネバ
プエルタス / イスマ / ミジャ / マチス
スアレス / モリーナ
右SBにはサンティアゴ・アリアスが入る。
中盤は20歳のイスマ・ルイスが今季初スタメン。ここ4戦で5ゴールのモリーナがここも元気に先発する。
●前半
前半のスコアは1-1。まずはアトレティコが2分にルマルからの縦パス一発でフェリックスがわけのわからんファーストタッチで抜け出してゲット。シュートも上手くタイミングを外して上手かった。
グラナダの同点ゴールは17分。ボールをなかなか離さないマチスに寄せきれず、強烈なミドルシュートをきめられた。デ・パウルの対応は疑問。
・良かったグラナダの保持
アトレティコは非保持5-3-2。
ただこの形がグラナダの保持に全くと言って良いほど噛み合わず、全然ボールが奪えない。
グラナダの保持は、2CBと2CHがセンターサークル周辺に集結。アトレティコの2トップから圧力が掛からない状況を作れている。ルマルが前線プレスに参加する事もあったが、ほぼ無意味
で、SB、SH、トップが両サイドで効果的にグルグルする。たぶんどっちも3人とも全ポジション出来るんじゃないか。
まずここに落ちる
CHコンビがどっちかが中央レーン、もう一人がハーフレーンに立っているので、いない方のサイドの誰かがここを取る。誰でも良い。
アトレティコの2トップのプレスを避けて、IHを引きずり出すイメージで。
そして、誰かが大外に立つ。主にSBだが、例えば左側ならネバがCH横を取った場合はマチスが大外を取ったり。右ならモリーナがボールを受けに行った場合プエルタスが取ったり。WB(トリッピアとカラスコ)が出てこなければシンプルにそこを使う。出てくるなら、前。
最前線の誰かが近い方のHVの外側へランニング。PA幅からCBを引っ張り出す。逆サイドのSBアリアスの位置が高く、カラスコが絞りきれない。PA内は2対2で勝負できる。
主にこんな狙いが見られた。空いているゾーンを使って相手の対応を見て後出しできる良い構築。モリーナが後方や大外へポジションしている場合は逆側FWのルイス・スアレスが流れて来たりと。みんな良く動く。
ポケットを取れた場合、2枚詰めればアトレティコCBと2対2、そしてマイナスが空く
失点のシーンもこの動きのせい、は流石に言い過ぎかもしれないが、フェリペがスアレス(グラナダの)の動きを気にしてボールに行ききれず、デ・パウルは何を思ったか余裕で軽い対応、という、そこだけ切り取って何回も見直したが結構終わってる対応だった。フェリペが視野に入っていたのだから相手に縦方向に行かせれば追い込めただろう。簡単に自分の背後を取られる最低な対応だった。残念。
・イスマ・ルイス
初スタメンの20歳だが、上質のパフォーマンスを見せた。ルイス・ミジャの隣で安定した球出しと中央守備。彼のためのシステムかと思うほど。このままゴナロンからスタメン奪取出来るかもしれない
アトレティコの攻撃は単発。それで個人技から先制点を取れたのは良かったものの、人とボールに積極的に出ていくグラナダの守備の溝をたまに使えるくらいで。狙った形は特になかった。ビルドアップは主にコケとデ・パウルが並列でルマルは前方にポジションする3-2-5だったが効果的な縦パスは全然なく。それこそ先制の場面くらい。
・CHの出来
中でも指摘したいのは中盤3枚がボールロストを頻発していた事。お前らがそんなんでどうする、という感じ。デ・パウルはポジトラでボールを受けるところを激しく寄せられて狙われていた様子。自分でもわかっていたのかファール紛いの対応にイラ立ちを募らせた。かわせばええんやで。
45分、左サイドからのFKをルマルがフリックして大裏のフェリックスが競り勝ってゲット。が、なんとファールを取られた。嘘だろ
フェリックスはロスタイムにも良いヘディングシュートがあったが2点目は決められず、前半終了。
●前半終了
前節4ゴールの勢いそのままに、グラナダが気持ち良く攻めた。逆襲に対する脆さはあるがそんなに神経質にならず自分達に出来る事を、という感じ。シンプルに良いチームだ。良い忘年会が待っているだろう。
アトレティコは3連敗の陰鬱なチーム状況がそのままピッチに。フェリックスが一人で明るい雰囲気を示すが、このメンツで何をどうすればゲームを支配できるのか、というかそれ以前の問題。配置も噛み合わないが、コレアを入れて5-4-1でブロックを置くとして"フェリックスは良くてスアレスはあんまり良くない"という現状で出来る選手交代とは思えず。対策があるとすれば"グラナダの2-2に簡単に保持させない事"に尽きる。ようは前プレだ。蹴らせる構造にすればどうにか。今のメンバーではなるようにしかならないように感じるが、さて
●後半
前半終了直前にアリアスがハムって交代。ビクトル・ディアスが出てくる。アトレティコは前半以上にルマルが右に出て3トップ気味。
60分には左アウトサイドでフェリックスのアイソレーションからポスト直撃のミドル。その逆襲でスアレスに簡単に裏を取られ、最後は絶好調おじいちゃんモリーナ。ボールを蹴ったかオブラクを蹴ったかわからなかったが何にせよ決まった。
ハイボールにヘボ対応したコンドグビア、プエルタスに最低な対応で簡単に抜かれたエルモソ。何より切ないのは、"この2人ならこういう事もあるだろうね"というチーム状況。惨状と言っていい。
しかしフェリックスとカラスコのドリブルは本当に相手を配置も何もないぐらいめちゃくちゃに出来る。凄い
68分に3枚替え。
エレーラ、コレア、クーニャin
スアレスはこれで8試合ノーゴール。これで2-4-4みたいになったアトレティコ。
78分にカラスコ→ロディで、4バックに
終盤の4-4-2の時間が一番良かった気がするんだが、4-4-2が一番良かった、では駄目な気がするんだな。
コレア、クーニャを中心に複数回ゴールに迫ったが決めきれずに敗戦。
●試合結果
4連敗。抜け出せずに年内スケジュールを終えた。
グラナダは1973年以来、48年ぶりのアトレティコ戦勝利。若い力が躍動し、勝利に値するプレーを見せていた。
特に言う事はなくなってしまった試合だが、本当にこれでいいのか?疑問を残して終わるのはやめて欲しかった。4-4-2で良かったじゃないか。
後半は68.4%ボールを持ち、シュート数も10対2と圧倒しながら、チャンス数を同じ程度しか作れなかった弱いチームであった。
サッカーは現象の積み重ねだ。負ける必然がたくさんあった。この試合を見て「アトレティコ、まさかの敗戦」と思う人はいないだろう。結果は必然であった。
12/22
ヌエボ・ロス・カルメネス
アトレティコ 1-2 グラナダ
得点者
【アトレティコ】’2 フェリックス
【グラナダ】’17 マチス ’61 モリーナ
●ピックアッププレー
特にないんだが、一応。55:00前後のグラナダの保持、アトレティコの対応を取り上げる。悪かった、という意味で。
左SBのネバがボール。右のFWのような位置にいるルマルがボールへ。アトレティコの中央CHは2枚
WBカラスコはSBビクトル・ディアスの位置をあまり気にせず絞る。前半を受けての指示で間違いないだろう。
グラナダはまた噛み合わせを外して、CHのイスマがCB間にサリーして安定させている。本当良い選手だと思うよ。あとCB2枚もショートパスが上手
ネバ→トレンテ→ヘルマンと渡る。
この間のスアレスとフェリックスの移動距離を見て絶望してほしい。ボールがヘルマンにたどり着いた段階でやっとデ・パウルが「やべ」という感じで走り出した。ボールはイスマに戻り、スアレスがドリブルで剥がされるというまさかの展開。デ・パウルが何故かカバーチャレンジして、何故かミジャがどフリーで前向き。お笑いでもやってんのか
前向きのミジャに対して並行サポートが2枚いるとても良い配置。それでいてビクトル・ディアスとマチスが大外ピンでアトレティコのWBを引っ張り3CBに絞り切らせない。プエルタスに渡っていたらどうなっていたか。モリーナは最終ラインで常に駆け引きしてコンドグビアはフラフラをラインを下げ、ミジャの選択はフェリペの視野からルイス・スアレスの裏一発。決定機だった。
スライドが間に合わないならルマルは飛び出す意味が特になかったし、2トップのコースの消し方(というか消せていない)も最悪。WBは大外に釣り出され、肝心のCBはラインの駆け引きであたふた。簡単に背後へのロブパスを使われた。無様だ。負けて当然
●ピックアップ選手
フェリックス
早々の先制点に、それ以降も90分間相手の脅威であり続けたパフォーマンス。
もう一点は取れたんじゃない?と厳しい事を言いたくなる。
エレーラ
68分からの出場となったが、押され気味だった中盤に安定をもたらす。
年始以降は出場時間が増えてほしい選手。
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