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ミスれば負ける舞台でしょう CL2節 アトレティコvsレヴァークーゼン(A) 2022.9.13

さてCL。CLは普段とは違う人もけっこう読んでくれてる雰囲気を少し感じてるのでね。変なボケとかもしないように。みんなもな、注意してな。

週末にホームでセルタに勝ってのドイツ遠征。詳しくは知らないけどgooglemapによるとマドリードからは飛行機で2時間半くらいらしい。近いね。近いの?

対戦相手はレヴァークーゼン。19-20シーズンのグループステージでも戦って、その時はホームで1-0勝ち、アウェーで1-2負け。ハヴァーツいた頃ね。
レヴァークーゼンは先季ブンデス3位だが今季はとんでもない不調。ここまで1勝1分4敗の19位。勝ったのはマインツ戦だけでCL1節もクラブ・ブルージュに負けた。ラリーガで例えるとセビージャみたいなもんだが選手が抜かれたわけでもないところを見るとセビージャよりグロいのかもしれない。
ブルージュ戦を見ても良い選手はちらほらいて、パトリック・シックはでかいしジョナタン・ターはでかいしアンドリッヒはでかかった。
前線は19番のムサ・ディアビという選手が上手くいけば2年後くらいにプレミアにいそうで、何故か移籍してきたハドソン=オドイがトップ下みたいな事をやっていた。
後半途中から出てきたデミルバイは試合の流れを変えられる選手。中間のヘルタ・ベルリン戦でも先制点を決めた(試合は2-2ドロー)
リスクヘッジに重きを置いたサッカーに見えた1節。果たしてホームで戦う今日は。


●スタメン
・アトレティコ

グルビッチ
モリーナ / フェリペ / ヴィツェル / エルモソ / ヘイニウド
コケ / サウル / ジョレンテ
フェリックス / モラタ

GKはセルタ戦に続きグルビッチ。
フェリペが今季初出場となる。
カラスコを休ませるためなのか、エルモソとヘイニウドを併用。心配。
中盤はスライド優先トリオ。2トップは普段通りの2人を選んだ。

・レヴァークーゼン
フラデツキー
コスヌ / タプソバ / ター / インカピエ
アンドリッヒ / デミルバイ
ディアビ / フロジェク / ハドソン=オドイ
シック

ブルージュ戦からは最終ラインを一枚交換。
中盤はデミルバイがスタメンで、フロジェクを入れて2トップぽい。攻撃シフトなのかなという印象。



●前半
前半の戦いを振り返る。
まず、アトレティコ保持の局面で、レヴァークーゼンはフロジェクが前に出て2枚。

4-4-2ブロック、というより4-2-4で。前4枚はプレス、後ろ6枚はステイ、という立ち方。WGをアトレティコのHVにぶつけている。
アトレティコのビルドアップは後ろ3枚+コケで、WBも顔を出せばここでボールを失う事はない。

レヴァークーゼンはWGの2人、ハドソン=オドイとディアビの縦のスライドで非保持の人数バランスを取る。具体的にはアトレティコがレヴァークーゼンの配置の溝となる大外のWBにボールを配球した際に頑張って縦に移動し、4-4ブロックの形成を助ける。

この動きをしっかりやっていた事と、アトレティコのWBがモリーナとヘイニウドで、あまり攻撃の局面で個人でどうにかする選手ではなかった事もあり、アトレティコの前進は止まっていく。


・バグを生むフェリックスの存在
アトレティコの主な攻撃パターンはもう一つ、ジョアン・フェリックスを中心に、中央を侵略する。彼はこの日普段とは異なるタスクを持った。

アトレティコは大外のWBが相手SBを釣りたいので、4バックに対して5枚でレーンを埋めて配置したい。普段は2トップ+右のIHで中央3レーンを埋めることが多いが、この日は両IHが高い位置を取り、フェリックスを解放した。
レヴァークーゼンは前線の4枚に連動してCH2人が前へ圧力、という狙いはなく、あくまでも中央の侵入を阻む事を優先。そのためエルモソ、ヴィツェルがクリーンに前を向けば、正確な縦パスを刺す事が出来た。フェリックスはライン間、相手CHの並列まで降りてきてボールを引き取りドリブル開始、相手DF3人ほどの注意を一気に引き寄せる。という場面を連発。彼向きの仕事で、普段からやってほしいところだが、カラスコと一緒にピッチにいるとどうもフェリックスは窮屈に見える。この日のメンツの方が彼自身はやりやすそうに見えた。

それと注釈を付けるがレヴァークーゼンの最終ラインは低い位置に構える狙いがあり、そもそもライン間でボールを受ける事自体の難易度は決して高くなかったのも指摘しておく。
アトレティコから見るとフェリックスがライン間で受けるのは簡単だがその先の狙いは?という話で、
レヴァークーゼンから見るとライン間で前を向かれるところまではそもそも許容している。4枚の最終ラインを動かされず構える事が出来れば問題ない、という設定。


・無力化させられる5バック
一方のレヴァークーゼン。結果から言うと、ブルージュ戦とは打って変わって、能動的にボールを動かす危険なチームであった。保持の狙いを見ていく

まず左CBに入ったタプソバ。このブルキナファソ人DFがなかなか捕まえられない。ブンデスも全試合スタメンなのでブルージュ戦はターンオーバーだったと思われる。配球が上手く、ドリブルで持ち上がれる良い選手。ここを効果的に使われ、アトレティコのプレスは空転する。

両サイドはWGとSBが相互補完関係を持ち、WGは大外配置でスタートするが狙いは常に内側。両サイドに逆足の選手を置いていて、彼らの内へのアクションをきっかけにSBは縦にランニングする。このSBの立ち位置を捕まえきれず、アトレティコのWBは割と望まない位置へ釣り出された。結果としてHVも持ち場から連れ出されている。

CHのコンビはアンドリッヒは中央後ろ、デミルバイは勝手にどうぞ。という組み合わせ。アンドリッヒはCB間のサポートを意識してくれているおかげでタプソバがドリブルで持ち上がれるという点も見逃せない。デミルバイは主にボールと逆サイドのCB脇かライン間待ち。狭いエリアのボールの扱いが上手く捕まえにくい。配置図ではトップ下の位置にいるフロジェクは前プレで2枚になる役割と、クロスに入ってくる2人目の役割。献身的に動き回ってシックへの注意を軽く出来れば成功というタスク。

そんなこんなでアトレティコは取り所を設定させてもらえず、レヴァークーゼンは各所で優位にボールを持てる。
かなり危険に感じていたのは、FWのパトリック・シックのランニングに合わせるロングボールだった。

レヴァークーゼンの選手は全員シックの背後へのランニングにパスを入れる事を意識しており、どこかでフリーを作った際はまずシックが背後を狙う。ボールホルダーがフリーなのでタイミングも合うし、シックのコース取りが上手く、CBの間をすり抜けてくるので、アトレティコがDFを5枚並べている事が基本的に無意味になる。いつもシックvsDF2人、の形で裏を狙ってくる。これはどこかで致命傷になりそうだ。


●前半終了
0-0で折り返し、双方これといった決定機もなかったが、アトレティコは最近の試合と比べるとプレスがハマらずどこでマイボールに出来るのか、に悩んだ前半。上記の通り、プレスを外されてフリーで配球されると危険な相手であり、対策は講じたい。

両チームともに自信を持っているトランジションは、中盤ではややアトレティコが攻勢に見えたが、正直このメンツでトランジションで後手に回ったらさすがに地獄なのでこのくらいは当然。サウルとジョレンテを中心に奪ってそのまま速攻の形は引き続き狙っていきたいし、その形が出ないならこの日のモラタは割とノーチャンスである


●後半
アトレティコはサウル→デ・パウルを交代して後半。
レヴァークーゼンは前半と違い、デミルバイがCB間サリーで3枚配置になり、アトレティコはもう全然ボールを取れなくなる。点を取りに来ている。
デ・パウルが3vs3を作りにプッシュするとしっかりアンドリッヒがCB脇に降りてプラス1。作り込まれている。

複数回侵入を許したのはアトレティコの左サイド。
保持を安定させたレヴァークーゼンは、このサイドでSBのコスヌが強気に内側のポジションを取り、ディアビに1vs1を用意する。

コスヌ自身も背後へのランニングを狙い、危険な気配があったが、幸いディアビと対面しているのはヘイニウドで、単独で突破を許すような事はなかった。もしかしてこれを想定してヘイニウドWB?そんな事はさすがにない?

劣勢に回るアトレティコは62分、カラスコとグリーズマンを投入する。この交代でアトレティコの時間を無理やりもたらす。まさに腕力。選手の質だけで優位を取り返しにいった。

73分には2トップを交代。フェリックス&モラタを下げて、コレア&クーニャを入れる。
レヴァークーゼンもアトレティコの守備のポカなどを突いて反撃の機会を作る。結局69分の選手交代、フロジェク→フリンポンが試合結果を決めた。

この交代で
ディアビが左、ハドソン=オドイを中央に動かしたレヴァークーゼンは84分。
フリンポンが背後を狙うランニングでエルモソを振り切る。エルモソが緩い対応をして簡単にクロスを許し、折り返しをアンドリッヒがゲット。エルモソはユニフォームを引っ張られていたが、引っ張られていたら振り切られてもセーフというルールはない。その3分後には中盤でボールロストし、この上なく軽いネガトラで綺麗にロングカウンターを許し2点目。屈した。


●試合結果
負けた。
1節を見てレヴァークーゼンもブルージュも相当に格下だと判断していた。シンプルに見る目がなかった。申し訳ないです。

試合内容は、前半はフェリックスのライン間タスクを使って前進。これ自体は良かったがこれだけでは難しいし、そもそも普段の試合から選択肢の一つに入っていて良いプレーだ。いつもやってくれ。そして、せっかく対面するコスヌ、ターにイエローを出させたのだから、この形は後半ももっと擦ってもよかった。

選手交代の選択肢もある程度想定していたものであった。もちろんこの試合の結果だけを見ればヘイニウドを残してエルモソを下げたらよかったのでは、とも少し思う。だいぶ思う。が、全試合フル出場しているヘイニウドとヴィツェルは扱いが難しかったし、実際ヴィツェルは最後完全に足が止まった。マドリーダービーが頭をよぎったのは紛れもない事実であろう。選手起用はあまり責めたくない。別に引き分けでもよかったし。

ただ、先制点のシーンもそうだが、後半はそれ以外にも避けられた守備のミスが目立った。それも開始早々であったり、やっと攻勢な時間を作ったところでのミスでピンチを招き、自らペースを手放した感は否めない。
そのミスが失点に直結したわけではないが、ここはCL。ミスした方が負ける。シンプルだろう。この日のアトレティコは勝利に値しなかった。実力で敵わない相手とは全く思わないが、心構えの差で負けた。こういう試合は何回やっても負けると思う。しっかり準備してホームでリベンジしてほしい。

レヴァークーゼンは自信を持ったボール保持で狙った攻撃パターンをいくつも持っているグッドチームだった。ブルージュ戦はなんだったんだ本当に。

裏ではブルージュがポルトをボコボコにしており(4-0)早速混沌としてきたグループB。相変わらず苦しむのが好きなアトレティコは、自ら茨の道を進む。毎年の事ながらチャンオンズリーグにようこそと言われている気分だ。我、常連ぞ。


一つ、腹が立ったので申し上げる。
好き勝手言ってる奴が一人一個ずつシメオネの嫌なところ言っていったとして、その合計の倍の数だけおれがシメオネの凄いところを言ってやるよ。黙れ


●ピックアップ選手
フェリペ
生粋のエアバトラーはようやく今季初出場で3CBの真ん中。後半開始早々の凡ミスを除けばハイパフォーマンスで、今後の起用に目処を立てた。

フェリックス
普段よりも広いエリアを稼働し、前進の軸となった。結局フェリックスが前を向いたその先のコンビネーションを構築する事が必ず必要で、この日も特にヒントは得られず。

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