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目標へ向けて CL6節 アトレティコvsラツィオ(H) 2023.12.13

CLはグループステージ最終節。余談ですが最終節の相手がポルトじゃないのは3年ぶり。
ここまでアトレティコは勝ち点11で首位。ラツィオは勝ち点10で2位。共にグループステージ突破を決めている。おめでとう。ただしここはCL。1位と2位では天国と地獄ほどの差があるのはご存知の通り。アトレティコはホームゲームで引き分け以上で首位通過。それなりに有利な環境でこの日を迎えた。プロヴェデルのアレがなければもう1位が決まってたかもしれないという因果応報。

ラツィオはいつの間に3勝もしたんだか絶妙に記憶がない。セリエAではすでに6敗していて10位。CL勝ち抜け決まってなかったらサッリはもうクビだったかもしれない。ちなみにコパ・イタリアはひと足先にベスト8を決めたがその試合(ジェノア戦)でパトリックとイサクセンが怪我をしている。ザッカーニは復帰したが週末のヴェローナ戦(1-1ドロー)でマルシッチも怪我した様子。悪い事は重なるもので。



●スタメン

・アトレティコ
オブラク
サヴィッチ / ヒメネス / エルモソ
モリーナ / デ・パウル / ヴィツェル / サウル / リーノ
グリーズマン / コレア

サヴィッチが週末のアルメリア戦に続いてスタメン。エルモソが戻った。ピボーテはコケがお休みで久しぶりにヴィツェル。FWはグリーズマンとコレア。

・ラツィオ
プロヴェデル
マルシッチ / カザーレ / マリオ・ヒラ / ヒサイ
ベシーノ / ゲンドゥージ / ルイス・アルベルト
ペドロ / ザッカーニ / インモービレ

マルシッチは間に合ったがCBパトリックが怪我。ロヴェッラは出場停止。離脱続出で人がいない。



●前半

CLも6試合目ともなると流石に相手チームの特徴を踏まえて配置される。前半58.3%ボールを持てたアトレティコ。結果から言えばこんなに楽なことはない。しかも6分に先制することとなる。展開を確認する。

アトレティコが保持を安定させたのはシンプルな配置優位。ラツィオの守備配置を見て適切に立ち位置を取った。
ラツィオは非保持時、最終ラインの4枚をPA幅くらいの間隔で固定したがる。それに応じてアトレティコは配置していく。トップポジションはコレア。2CB間に立った。左大外にはリーノ。右は空白を作ってローテーションしながら。グリーズマンもここに近づいていった。
後方は2枚でサヴィッチとヒメネス。この配置の理由はラツィオのプレス形にあり、このチームはトップのインモービレがアンカーポジションをマークしながらIH(ゲンドゥージ&ルイス・アルベルト)が真っ直ぐCBに圧力をかける形を好む。アトレティコはサヴィッチ&ヒメネスを配球のポイントとすべく、大きく開いて配置。真っ直ぐプレスが飛んできても複数の選択肢、少なくとも大外への逃げ道を確保した状態でスタートできている。これで配置優位を持った。

CB2人の間隔が狭いと、前進してくるIH(ルイス・アルベルト)に選択肢を消され、モリーナに出すパスを狙われやすくなる。

この日のアトレティコはCBが広く構えるのでIHの圧力を受けても複数のパスコースを確保する角度を保てる。それにしてもこれを新加入の選手ではなくサヴィッチ&ヒメネスがやっているのが凄いなと。
さらに大外のモリーナ&エルモソに両WG(ペドロ&ザッカーニ)が対応する事になるとベシーノ周辺の人数バランスが怪しくなり、IHもどこまで前に出ていって問題ないのか計りかねる状況となった。

特にアトレティコはモリーナとデ・パウルのスペースの使い分けが上手く、デ・パウルが大外に開いて内側グリーズマンへのパスコースを空けたり、デ・パウルが落ちていってモリーナが大外のスペースを使ったり、と2人で上手く3つほどの選択肢からプレー選択していった。

ラツィオのSBがプレスに参加するなら状況は変わってくるが、最初に触れた通りラツィオは4バックを後方に固定するところから守備の考えが始まっており、ボールを奪うには人数が全然足りない。ヴィツェルやデ・パウルの真横に運ぶドリブルも見守るしかない状態になり、この追い方でボールを取れないなら撤退、という選択になっていく。


非保持。この日はリーノはあまり最終ラインにいなくていいですというバランス。マルシッチを威嚇しながら広く動くゲンドゥージにちょっかいをかけた。まあゲンドゥージはサウルのラフすぎる対応をかなり嫌がっていたので怖さはなかった。
ラツィオはSBがWGを追い抜いていくようなパターンはほぼないので、大外はタイマンで抜かれないなら基本的に1vs1でついていけばいい。カバーが必要な環境はほぼなかった。

左WGザッカーニに対してモリーナがマンツーでつく事以外はあまり設定もなく、自分の担当エリアに入ってきた敵を捕まえるだけで押し返せた。特にリスクはない。途中からはヴィツェルがベシーノのところまで出てきて同数プレス。後ろは相手の3トップに対して4枚で対応すればいいです、リーノは前行っていいです、エルモソが抜かれてもヒメネスいます、という環境でたまにゲンドゥージがPA内に走り込んでくる以外は特に何も起きなかった。


アトレティコの先制点は相手最終ラインに中途半端なハイボールを蹴らせて回収、セカンドボールの拾い合いを制して抜け出したリーノからグリーズマンに合わせて決めた。グリーズマンの右足シュートの優しさ。

そもそもメトロポリターノで逆転されるところなんてほぼ見たことがないわけで、ラツィオがどうやってボールを握り返しに来るのか待っていたが、特に変化は訪れないままダラダラとボールを持ち続けた。これでセカンドボールの回収と再奪回のプレスが効いているのだからリスクの少ない戦いになる。その結果58.3%の保持となった前半。「最近一点だけのリードだと怪しい日ありますよね」という不安以外は何の問題もなかった。38分にはグリーズマンからエルモソへのサイドチェンジでプレスラインを突破し、前向きになったデ・パウル→モリーナで最後はエルモソが決めたが、リーノがめちゃくちゃキーパーを邪魔していてオフサイド。シメオネは何故かペドロに"なんでオフサイドなの?"って聞いてました。



●前半終了

1-0で前半終了。序盤に先制点、ボールを握って敵陣侵入。撤退は穴を開けずに危なげなく。バルサ戦とアルメリア戦で一度手離しかけた今季の良さを再確認する前半となった事はポジティブ。撤退を怖がらなかったのが特に良かったかな。そのためのヒメネスであり、そのためのサウル。
久しぶりに中盤で先発したヴィツェルも左右の選択肢を豊富に持ち相手守備ブロックを動かし続けた。シンプルにターンが上手い。2タッチプレーが綺麗。
大外は、リーノはスペースをもらって単独で、モリーナはデ・パウル&グリーズマンと協力してコンビネーションで相手SBを振り回し、優位性を保った。この辺りのグリーズマンのポジショニングは指示されている感じはあまりないが、修正点としては的確だった。



●後半

後半開始からメンフィスとソユンジュを投入。グリーズマンとヒメネスがお休み。グリーズマンは45分だけの出場は今季最短。

ラツィオがどんな準備をしたかわからないが、アトレティコは引き続きヴィツェルがベシーノまで前進する形で自由を奪う。5-3のブロックの内側に入ってくる選手が本当にゲンドゥージしかおらず、ルイス・アルベルトが左に落ちてくれるおかげでむしろアトレティコの守備配置は整っていった。たぶんラツィオは何の準備もせず後半に入っている。

アトレティコは引き続き再奪回が上手くいき、サウルの教科書に載せたいハーフスペース前向きなどでチャンスメイク。51分にコレアのへなちょこボレーのこぼれ球をリーノ→メンフィス→リーノでゲット。リーノは最近の真面目な取り組みのご褒美。

63分にヴィツェル&コレアも仕事終了。コケとモラタをわざわざ使うのは不思議だったが、逆にあんまり休ませたくないんでしょうか。
ラツィオはルイス・アルベルト→鎌田、インモービレ→カステジャノスを交代。ラツィオはここから3点取る意思があったのかはわからないが、正直そんなことおれには関係ないので割と気にしていない。でも個人的には点を取るしかない環境でルイス・アルベルトとインモービレを下げるのは気に入らない人は気に入らないと思う。70分に替えられたヒサイは怒ってた。サッリにたいしてヒサイが怒り始めたら誰がついてくるんだい。決勝トーナメントがあるのに無駄なカード(通算2枚目)をもらったゲンドゥージも大概。

ラツィオは終盤にラッザリがフェリペ・アンデルソンを追い抜いて大外を使う形がやっと出るが、もう引いて守れば良いスコアになっておりインモービレもいないので特に何もなかった。



●試合結果

2-0勝利でグループ首位通過を決めた。危なげない90分を過ごし、ジョレンテ(0分)、グリーズマン(45分)、コケ(30分)のプレータイムをセーブする事もできた。言う事無しの試合。ラツィオの状態があまりにも悪そうだったがそれは向こうの都合。アトレティコにとっては望み通りの結果を得た。

ビルドアップとプレス回避、ミドルゾーンの優位を譲らず波風を立てずに勝ち切った。負けなければなんでもいい試合だったが、良い結果を得られた。

ラツィオは国内の試合を見ていないが、開幕当初とはまた別の悩みを持っているような、ずっと同じ悩みのような、終わらないサイクルに入り込んでいる気がする。いつをターゲットにして何を基準に修正するつもりなのかがよくわからないが、今後の試合を見る予定はないので他人事になります。

という事でおれの熱い大予言から始まったCLグループEはアトレティコ16-17シーズン以来7年ぶりの首位通過で幕を閉じた。裏の試合は後日見ます。2年ぶりの決勝トーナメント。心に火をつけて臨みましょう。


12/13
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 2-0 ラツィオ
得点者
【アトレティコ】'6 グリーズマン '51 リーノ


●ピックアップ選手

グリーズマン
右サイド中心に動いてボールを引き出し、デ・パウルを自由にした。先制点の落ち着きは名人技。45分でお役御免。

リーノ
1ゴール1アシスト。左大外の質を押し付けたのはこの試合のカギだった。

ヴィツェル
久しぶりの中盤スタメンで躍動。相手チームのプレスを無力化しボールを動かした。守備は真ん中で構えるよりは前に出る方が合っている。

ソユンジュ
3CBの中央で45分のプレータイムを得た。クリーンシートに大きく貢献する安定感を発揮。フィードの質も問題なかった。

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