エルチェの良さを消す守備 2節 アトレティコvsエルチェ(H) 2021.8.22

さて2節
ついに観客のいるホームゲームだ。
2020年の3月7日セビージャ戦以来だそうです。すごいね


昨シーズンのチャンピオン、アトレティコマドリーの選手達をパシージョで出迎えるエルチェの選手達。リスペクト。


さて、開幕戦はセルタ相手に2-1で勝ったアトレティコ。
こちら

勝ち点3を取ってスタート。
しばらくは組み合わせを試しながらの試合になるかと
なんやかやで9月はCL2試合あるから(3週目と4週目)、とりあえずそこを目安にコンディショニングを合わせていきたいところ


対するは昇格2年目のエルチェ。
開幕戦はビルバオとの対戦でポジティブな内容の試合だった。
今季から新たに取り組む3バックで、3CB+マルコーネの4人で落ち着いて前進。
左WBのモヒカンみたいな名前なのにアフロみたいな頭してるモヒカは要注目。運動量、スピード、そしてグラウンダーのクロスの質がよかった。ボイェ、フィデル辺りは良い位置でボールを持てば得点の匂いがする選手。アタッキングサードにボールを運びさえすれば、何かを起こせそうな攻撃をしていた。
ただ、すごい疲れそうなサッカーしてるんだよね。走りまくって。シーズン持つのかは心配になる。
5バック撤退も綺麗にライン揃えていたので、アトレティコとしては中盤のフィルターを上手くかわしながら隙間を狙いたいところ。


●スタメン

ホーム開幕戦のスタメン!

・アトレティコ
オブラク
サヴィッチ / ヒメネス
コンドグビア / コケ / サウル / ルマル / ジョレンテ / カラスコ / デ・パウル
コレア


エルモソが前節退場したので出場停止。フェリペがまだ怪我なのでCBが足りん。この後書くが、コンドグビアがエルモソタスクをやる。
中盤はデ・パウルが初スタメン。ルマルと2人でIHをやる。前線は引き続きコレアとカラスコ


・エルチェ
カシージャ
ベルドゥ/ ロコ / ビガス
マルコーネ/ パラシオス / モヒカ / フィデル / ラウル・グティ
ミジャ / ボイェ


開幕戦と同じシステム。楽しみだ。
入替は右WBのホサン→パラシオスのみ

スタメン




●前半
アトレティコの見事な守備 〜対エルチェ対策〜

・配置
アトレティコはコンドグビアをエルモソタスクに置いて前半スタート。左ワイドはサウル、右ワイドはジョレンテと。前節からの変更点を最小限にした。


・前向きのプレスでジリジリプレッシャーをかける
この日のアトレティコは守備から。
エルチェは前節通り、CB3枚+マルコーネで構築。ただ、出しどころを見つけられずWBが高い位置を取れない。

アトレティコ守備

アトレティコは、前の2枚でコースを限定。最低でもマルコーネから縦パスを入れさせず、両HV(ロコとビガス)にボールを持たせる。

・ビガスに渡った場合
ここで、ビガスまでデ・パウルが行く。内側からプレス。こうなると選択肢はWBのモヒカンみたいな名前なのにアフロみたいな頭してるモヒカだけになる。この時点でハマる

・ロコに渡った場合
右のロコは、ルマルが前進。こちらも左と同様のハメ方

・WBのマンツーマン対応 前を向かせない
WBにはWBが強く寄せる。CBへのリターン以外の選択を許さない守備。対人で剥がせないエルチェはなかなか厳しくなる


エルチェは次のパターンとしては、フィデルが落ちてきて関わる形。

フィデル


フィデル、まじで上手い。ターンでサヴィッチが振り切られたシーンとかびっくり。デ・パウルも何回か簡単に剥がされてた。
フィデルが落ちた場合、ルマルがマルコーネのところまで寄ってきて選択肢を潰す。


抜け道としては、CBから遠い方のWBへのロングボール。
前半数本あったのが、ボイェがコンドグビアと並走する事を選ぶパターン。まあそうなるよね、急造CBだし。
ただ、コンドグビアもよくやっていた。コンドグビアが孤立しないように気を使っていたサウルもグッド


・アトレティコ攻撃の選択肢 IHの動き方
アトレティコさんの構築。こちらも開幕戦と考え方は同じ。

保持


・エルチェの対応はIHがポイント
エルチェはボールサイドのIHにマンツーで付いてくる。一方、HV周辺は空く。
サヴィッチが浮いて、デ・パウルは縦に抜けてトップと並列待ち。

画像5


フィデルを迷わせる

クーリングブレイク明けくらいから、"マンツーで来るならこちらから動いちゃおう"という感じで3CHがルマルを頂点にグルグルする。

ぐるぐる


上手くバグを産めるといいね。

これ、ネガトラで
ルマル→マルコーネ
デ・パウル→フィデル
潰しにもなるので良いと思います。この辺の判断は速いのと、結果論だけどコンドグビアがいると出来なそうな構築。機動力的に


・コレアの先制点
先制点は今日もコレア。ボイェを囲んで奪い切り、デ・パウルから優しいカウンターパス一本でコレアがゲット。
エルチェとすると、3CBでヨーイドンするボールが出てくるとキツいね、というシーン。
しかしいきなりエルチェの弱点を丸裸にしていくシメオネ・アトレティコ。恐ろしい


●前半終了

・きっちりとやり切ったアトレティコ。
開幕戦、新システム採用でかなり印象の良い戦いを見せたエルチェ。アトレティコ相手で、どれだけワイドで優位を作れるのか見ものだなあと思っていたが、結果的には完全に封じ込められた。容赦のないアトレティコ

・後ろからの構築をプレスでハメて、フィデルが前を向く形を封殺
・WBには前向きにボールを入れさせず、CBに戻す選択肢しか与えない

という対応で2トップを孤立させた。
エルチェとしてはWBに高い位置を取らせる事が出来ないと、ボイェの使い方も裏パス一本のような形ばかりで苦しい。
ガス欠覚悟でWBのヨーイドンを繰り返す、くらいしか思いつかないところまで完璧に封じられた

また、勇気を持ってCBからビルドアップする形に対して、ボール奪取即裏一発で取った先制点は明らかにデザインされたもの。エルチェはGKがエリア外へ飛び出す場面を作られた時点で負けていた


と、エルチェ側から見ると新システムの悪い部分の洗い出しをされた45分。エルチェの後半の対応は見どころであり、逆にエスクリバ監督としても、2節でここまで課題を明確に示してもらったのは助かるのではなかろうか。なんか試合の総括みたいな言い方になっちゃったけど笑


エルチェの交代の選択肢はあまりわからないけれど、ほぼ消えていたIHのラウル・グティに攻撃で別のタスクを与えるか、ここの選手を入れ替えるか、などの考え方はあっていい。個人的にはマルコーネとフィデルを並列にして、コンドグビア周辺に突っ走る選手を入れたりすれば多少は押し込めるのではないかと思うがどうだろうか。

提案

まあ見てみましょうか


●後半

・解決策を持てなかったエルチェ、不要だったアトレティコ


両チーム変更点なしで後半。

アトレティコはまたもデ・パウルの裏パス。今度はカラスコが反応して決定機。デ・パウル、常に狙ってる感じがある。

61分にアトレティコは選手交代。
シメオネあるあるの60分で決まってた交代。
ルマルとデ・パウルout
スアレスとトリッピアin

64分にはエルチェが新加入FWのベネデット投入。お前こんなところおったんか。ボイェの相棒になれるか?(開幕戦出てたの気づかなかった)

アトレティコは541風に。先季の通り、後ろに重くするのではなく、よりHVにボールプレッシャーをかけるための541ですね。ご存知の通りかと思いますが

画像8

攻撃ではIHに移動したジョレンテが、疲労の溜まってきているモヒカンみたいな名前なのにアフロみたいな頭してるモヒカの裏を目掛けてランニングする。

無慈悲


無慈悲
アトレティコは、ここからのゲームコントロールはポイントになる。残り20分の殺し方

82分にエルチェは
ボイェ
モヒカ
マルコーネ
に替えて
テテ・モレンテ
カリージョ
ホサン
の3人を入れる。こう考えると色々いるな、エルチェも。テテ・モレンテはこのシステムだと使い道が謎

ここで、なんかよくわからんが、本当はモヒカンみたいな名前なのにアフロみたいな頭してるモヒカじゃなくてパラシオスを下げたかったの!みたいな一幕があり。モヒカンみたいな名前なのにアフロみたいな頭してるモヒカをもっと見ていたかったおれとしては"アンコールあるの?ないの?"みたいな謎の時間を過ごした。時間返してほしい

ただ、結局WBのタスクを適切にこなせる選手がベンチにおらず、スタートの2人と同等のタスクをWBに置けないのでスピードアップに繋がらないのがキツいところ。ホサンはスピードに欠ける。テテ・モレンテでは守備に不安がありそう

そして3CBも、開幕戦ではロコ、この試合ではビガスが途中交代と、トラブルが多いのも気になるエルチェ。けっこう走るしな



●試合結果

1-0のまま、後半は静かにクローズ。
エルチェが何かを変えても対応できそうな余裕を見せた後半のアトレティコ。横綱感のある試合運びでした。
以下、良かった点。

・コンドグビアよくできました
急造だったが安定してプレーできたコンドグビア。スクランブルを救う働きだった。今後はネウエン・ペレスが試されたりするのかな?

・ジョレンテの改善
開幕戦から引き続き右のWBで先発したジョレンテ。この日のジョレンテの印象が開幕戦より良かったのは、単にタスクの違いかと。
この日は攻守ともに対面するモヒカと1vs1を繰り返すだけだった。そして隣のデ・パウルがボールを引き出す仕事を全部やってくれたので、やる事は上下動だけ。彼には同時に2つの仕事を与えてはいけないのだ

・デ・パウルの役割
スタートから使われて60分間プレー。右のIHとして攻撃の仕事を任されたが、それよりもとりあえずは守備でしっかりとチームの仕組みの中に入れた事が良かった。これだけ出来ればスタメンで使う事に問題ない。
攻撃では最終ラインとGKの間に落とすパスの質が高かったのと、同郷のコレアとのコンビネーションを使えていた事。
あとは、個人的に新加入のIHに期待したかったワイドレーンへ移っての仕掛けを見られた点はポジティブだった。


フルメンバーが揃うまでは、"この構成が今季の基本形ではない"を前提にいきますので、こんな感じですね。パーソナルな部分がよく見える2試合だったので、個人的には頭の整理が進んで楽しいですよ。個々のコンビネーションと閃きで点を取る、っていうの、それだけじゃ駄目だけど、必要な部分でもあるからね。ラメラとかね。ラボーナ練習しようぜ
ジョレンテにしても普段トリッピアがどれだけ苦労してるか知れる日々はプライスレスでしょう。たぶん


エルチェ。途中で書いた通り、弱点だったり未確定の部分を全てアトレティコに指摘されてしまう結果に。前線には技巧派のベネデット、電柱のカリージョといるが、どれがいつ使える選択肢なのかを探していきたい。ボイェとの相性、フィデルからのパスのもらい方など、既存の長所と上手く繋げていきたいところ。
ビルドアップは、なるべくWBの位置を高くする工夫は欲しい。キツい言い方するとWBがこの日のようなポジションになってしまうなら3CBの意味がない。2CBにマルコーネがサリーする先季までのビルドアップで良い
前線を孤立させないための立ち位置を意識したいね
この2試合まだ1点も取れていないのも事実。もう少し続けてほしいなあ


8/22
ワンダ・メトロポリターノ
アトレティコ 1-0 エルチェ
得点者
【アトレティコ】'39 コレア
【エルチェ】   



●ピックアッププレー
前半2分のシーン。どちらのチームも5-3-2だったのでちょっと頭に留めておきたいプレー。

一列目のプレスをかわして、コンドグビアがフリーで前向き。縦パスを入れるシーン。

画像10

この時、パラシオスの対応がよくなかった。
この場面、チャンネルに縦パスをつけられる。アトレティコでは見た事がないシーン。
5枚で撤退しているのなら、あくまでも封じないといけないのはチャンネルです。アザールとかジェラール・モレノとかフェキルはいつもこの位置を狙っている。ここの足下につけられては5バックの意味がなくなってしまう。

あとはラウル・グティの立ち位置もよくなかったかと。ニアのIH(この場合はルマル)にマンツーで付くのは約束事だったようだが、マルコーネがルマルのマークを受け取ろうとしているように見えた。出来ればラウル・グティは縦パスを埋める場所に立ちたい。使われたくないゾーンを共有して守りの質を上げたいところ。

アトレティコも同じシステムなので、反面教師としてこのシーンにしましたよ。トリッピアはここの対応の時に、首を振って周囲のバランスに常に気を配っているので気にしてみてください


●ピックアップ選手
コレア
2戦連発。反応の速い、良い裏抜けで一発で決めた。しかし相手が3CB+アンカーだとライン間でボールを引き出せない面も。この辺も整理された得意/苦手の部分。メモメモ

コンドグビア
突然のCBの仕事だったがしっかりと。近い位置でサウルがしっかりサポートしてくれて、無理なくやれた。裏パスの並走対応はエルモソより上手いのでは

サヴィッチ
中途半端な位置に飛んでくるロングボールの対応が多かった試合。こういったアバウトなボールをちゃんと対応してくれるサヴィッチの存在は本当に助かりますね。

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