精一杯のドロー 20節 アトレティコvsビジャレアル(A) 2022.1.9

コパデルレイ明け。ビジャレアルは2部のヒホンに負けた。

開幕から調子が上がらなかったがここ最近ラリーガでは4連勝。その間15ゴールと大暴れのビジャレアル。特にようやく戻ってきたエース、ジェラール・モレノは4戦連発(7ゴール)、ここ3戦は連続ドブレーテである。

そして、アトレティコに影響がないのでほぼノーチェックだったアフリカネイションズカップに4人も行ってしまっている。

アイサ・マンディ(アルジェリア)
セルジュ・オーリエ(コートジボワール)
サミュエル・チュクウェゼ(ナイジェリア)
ブレイェ・ディア(セネガル)


2戦連発中の宇宙飛行士ディアの不在に、パコ・アルカセル、ダンジュマが怪我でFWがいない。コクランも怪我。
順位はやっと9位に戻ってきたところだが、4位アトレティコとの勝ち点差は4。アトレティコとしても負けるわけにはいかないCL争いのライバルとの直接対決となる。

そのアトレティコさん。コパデルレイのラージョ・マハダオンダ戦に割と主力で挑み、きっちり勝利(5-0)
その試合でグリーズマンが太腿の負傷を再発しこの試合はアウト。またスアレスとヒメネス(髪切れ)は累積5枚でこの試合を欠場する。

そして。19-20シーズンの加入から右SBのポジションでチームを支え続けたキーラン・トリッピアがニューカッスルへ移籍した。アトレティコが新たな取り組みをする上で絶対に欠かせない活躍を続けてくれた。バスケが上手そうな見た目含め、好きな選手でした。今までありがとう。プレミアでも頑張ってね。W杯出られるといいね。

ちなみに8月の第3節のレビューはこちら。

こうやって書くと後半戦感出てくる


●スタメン
それではこの試合のスタメンを見ていく。

・アトレティコ
オブラク
ジョレンテ / フェリペ / エルモソ / ロディ
コンドグビア / デ・パウル / ルマル / カラスコ 
コレア / クーニャ

右SBはジョレンテ。
CHはコケではなくコンドグビア。
コレアとフェリックスの2択でコレアをチョイス。


・ビジャレアル
ルジ
フォイス / アルビオル / パウ・トーレス / エストゥピニャン
カプエ / パレホ / トリゲロス / モイ・ゴメス / アルベルト・モレノ
ジェラール・モレノ

FWがジェラール・モレノしかいない。

スタメン



●前半
・ビジャレアルの保持。アトレティコの対応。

アトレティコが4-4-2で守備をセット。
保持するビジャレアルは、後方3枚+CH2枚で前進。

基本


右モイ・ゴメス、左はエストゥピニャンが大外に立って前3枚。アルベルト・モレノが一番前になるような感じで。これは”アルベルト・モレノが一番前が適している”のではなく”ジェラール・モレノが右ハーフスペースでプレーする事が優先”という事だった。一番前は誰でも良い。安易にゼロトップとか言わないように気をつけたいところ

アトレティコはCHの2枚、コンドグビアとデ・パウルが前への守備を優先する形ではなくポジションをキープしていた。ビジャレアルはカプエ、パレホが自由にボールを引き出せる状況。
じゃあ、パレホだけで球出しできるよね?という感じで。

カプエ

カプエもライン間へ消えていく。カプエvsコンドグビアは、終盤までずっと前に出るのか放置するのか、の駆け引きを繰り返していたが、その始まり。サッカーってのは面白いもので、ここでパレホにミスが出た。

コレア

横パスを攫ったコレアが、そのまま50mのロングシュートを決める。
もちろん、コレアもうまく狙っていたのはあるけど、3CB+2CHでビルドしていたら絶対に起こらないミスだったでしょうね。


この得点で勢いに乗ったアトレティコは18分にカウンターからクーニャ、20分にはセットプレーからコレア(決めたがオフサイド)が決定機を迎えるなどする。

しかしすぐに保持を回復したビジャレアルが、それ以降の時間を圧倒。PKを止められるなど(詰めたパレホもハンドだったり)あったが、セットプレーからパウ・トーレスのゴールで追いつき、その後もアトレティコゴールを脅かし続けた。

・裏へのロングボールを多用するビジャレアル
この日のビジャレアルが徹底していたのは、相手SBの背後にボールを送り込む事。

背後


CHの2人が簡単に前向きになれる事で自由自在にボールを供給した。特にカプエからエストゥピニャンの裏へとんでもない質のボールを送り込まれ、アトレティコはバタバタした。


・カラスコ、可変の苦難
アトレティコは、大外を自由に使われる事を嫌ってなのか、最初からそういう計画だったのか、カラスコがエストゥピニャンのマークに落ちる形で守るように。

カラスコ1

普段左でやっていたように。
エストゥピニャンのスピードに苦労しつつ、逆サイドにボールが出た際は

カラスコ2


絞る。トリゲロスの位置まで絞ってクロスのセカンドボール対応も担当。これをやりながらサイドを駆け上がるのは流石に無理があった。どうにかならないものか。


●前半終了
一瞬の隙とコレアの閃きで先制したものの、ビジャレアルが常にペースを握った45分だった。CHが前を向くところなのか大外の裏へのランニングなのか、どちらかを対応しない限り押し込まれ続ける形は変わらなそうだ。CHの前向きの機動力で球出しを阻害する事が現実的だと思うので、コケの投入なのかなと思っているが、さて


●後半
アトレティコが前向きに守るように変わる

前プレ

具体的には2トップがパレホを消すように立って、フォイスに持たせて、ここにルマルが出ていくと。


同数で出ていくとビジャレアルはアバウトなボールをジェラール・モレノ目掛けて蹴ってくるんだが、彼はこれが上手い。本当に便利な選手である
ビジャレアルはカプエが低い位置まで降りて来れば簡単にボールが引き出せるが、ここはボールを受ける事よりもコンドグビアをどの位置まで引っ張れるかを確認していた。コンドグビアが付いてくるならその背後、付いてこないならカプエが低い位置で受けてもあまり効果的ではない、というところを確認しているようだった。


かくして2点目はビジャレアルに入る。アトレティコCB両方の対応がとにかく気に入らなかった。今季最低な失点と断罪したい。


60分過ぎに3枚替え。
コケ、フェリックス、ヴルサリコを入れる。

画像9

3CBに変更。
これでアトレティコが両サイド大外を使い始めるとビジャレアルが慌ててくれて、対応される前に68分、カラスコの折り返しのセカンドボールをコンドグビアのミドルで同点に。ビジャレアルは何をそんなに困る事があったのか?という感じだが。


73分にビジャレアルがようやく選手交代。
ペドラサとジェレミー・ピノを投入。攻守ともに両サイドをどうにか、という交代。
アトレティコは引き分けで良しと判断したか、他にやりようがなかったか。数回カウンターを狙った以外は試合を殺していった。

●試合結果
前半はコレアの機転で上手い事先制したもののペースを握られ、後半は変な失点をした、という簡単に負けていてもおかしくなかった試合。


・選手交代とシステム変更
試合の流れを変えたのは60分過ぎの3枚替えだった。上手く配置を変えて同点ゴールに繋げた。ビジャレアル右SBのフォイスからしてみたらこれまでビルドアップしか仕事がなかったのが突然目の前にカラスコ、フェリックス、ルマルが突進して来たらそりゃビビる。
が、アトレティコからすればビジャレアルがあまりにも無策で助かったとも言える。アトレティコが一点必要になったらあの形にするしか選択肢がない事くらい、おれでも予想できた。なぜかビジャレアルがビックリしてくれて助かった。

一方アトレティコは、ビジャレアルが流れを変えるために投入したジェレミー・ピノの対して主にエルモソとフェリペが殴りまくり、ボールのないところでもひっ倒す。という対応で事なきを得た。それはそれ。最後はコンドグビアの2枚目のイエローまで使って最大限の警戒を払った。ファールや退場の良し悪しは別にして、”それだけ警戒した事”は褒められるべきだ。


・4-4-2で良かった
やられっぱなしの前半だったが、おそらく4-4-2で臨んだ事は良かった。3CBにしていたらもっと中盤を押し込まれて何も対応できなかったように思う。苦しい前半だったが、あれで仕方なかった。


・リソース
CB2人、ジョレンテの右SB、中央の強度、クーニャの質。
どれを取っても不足していたように思う。やはり補強は必要である。特にトリッピアの代わりだ。CBはヒメネスとサヴィッチが戻ってきたらここまで悪くはならないだろう。と思いたい
この試合は、現状で出来る精一杯は出来たのではないだろうか。精一杯でドローの現状はかなり苦しいが。よく負けなかったと思う。浮上のカギを探しながらの新年になりそうだが、一戦一戦戦っていってほしい

次はラリーガは一週空いて、その間にスーペルコパがある。まずはアトレティック戦。まあ、試合を見てから色々言いましょうか・・・


1/9
エスタディオ・デ・ラ・セラミカ
アトレティコ  2-2 ビジャレアル
得点者
【アトレティコ】’10 コレア ’67 コンドグビア
【ビジャレアル】’29 パウ・トーレス ’58  アルベルト・モレノ


●ピックアッププレー
前半の30:10くらいの場面。
アトレティコはグリグリに押し込まれ、全員撤退。ジェラール・モレノへのクサビを警戒している。カプエとパレホが何度かパス交換し、前向きになったパレホから一気に裏

画像10

マイナスの折り返しにフリーでトリゲロスが合わせた。
前半のところで書いたように、大外にはパレホ、カプエから高精度のボールが何度も出ており、カラスコが可変して降りて対応、という箇所だったが、ジョレンテの背後への警戒が甘い事もあり、この試合で一番絶望的なシーンだったように思う。これが、このメンバーでの4-4-2の限界だろう。相手がマンチェスター・シティだったら5,6点取られていた。

●ピックアップ選手
コレア
値千金の先制点に、前線からの守備、クロスのニア詰めと彼らしい仕事が多数。さすがのパフォーマンス

フェリックス
62分からの投入で試合の流れを変えるのに一役買った。
前半から使われていてもおそらくボールが回って来なかったと思うので、この試合ではあそこからの投入が正解だった。

コンドグビア
カプエの対応に追われ、ずっと気が抜けない試合だった。
攻撃では目の前に転がってきたボールを振り抜いて同点ゴールをゲット。最後の退場はしょうがない。出来る事はやった。

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