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役割を背負ってこそ CL4節 アトレティコvsセルティック(H) 2023.11.7

4節はリターンマッチ。アウェーで引き分けたセルティックと。勝てばあと2試合を2分で突破できるんじゃないかな。たぶん
ただし今季の2位はかなり渋いのであくまでも1位になりたい。まずはここを勝つこと。週末にラス・パルマスにアウェーで負け(1-2)ている事もあり、不穏な空気はある。しかしこの時期は毎年ただではいかないですね。慣れたもんですが

ちなみにセルティックは先週ミッドウィークに試合をして週末はロス・カウンティとアウェーゲームをやってスペインに飛んできている。そこはかとなく緩めだったアトレティコとは対照的になかなかしんどい日程。
前回対戦で怪我をした旗手は年明けくらいまでかかるようで中盤の人選も不安が残る。しかしCBの片方を除いて割とずっと固定メンツだな今季のセルティックは
グループ突破を狙うならここは必勝。3ポイントを取りに来ると思われる。




●スタメン

・アトレティコ
オブラク
ヴィツェル / ヒメネス / エルモソ
モリーナ / バリオス / コケ / リケルメ
グリーズマン / コレア / モラタ

ヒメネスは9月28日の7節オサスナ戦以来のスタメン起用。左WBはリケルメを継続。リーノもベンチに戻ってきている。グリーズマンを左IHに置いた。

・セルティック
ハート
ジョンストン / カーター=ヴィッカース / スケールズ / テイラー
マクレガー / オライリー / パウロ・ベルナルド
前田 / パルマ / 古橋

旗手のいないところにそのままパウロ・ベルナルドが入り、その他はベストメンバー。



●前半

この試合は何よりもグリーズンマンを中盤で起用した事が最大のトピックとなるが、

・そのグリーズマンが前半6分に先制ゴールを決めてしまった事
・前半の早い時間に前田が退場した事

の2点で、早々と勝敗は決した。

アトレティコはこの日エルモソに高いポジションを取らせる気満々で、ボール保持時はヒメネスがかなり左寄りにポジション。これでセルティックの3トップがアトレティコの3CB相手にハイプレスで押しかける前回対戦の形をやらせなかった
そしてグリーズマンをFWポジションへ押し出してそのエリアをエルモソが担当する狙いが見えた。

こういう2-3-5

グリーズマン以外にFWが2枚いるのでセルティックの両CBがサポートに出られない環境を作り出した。当然この狙いには大いなるリスクを伴う。もちろんエルモソが前田の対応に晒される事である。前回対戦でもハビ・ガランが前田に狙われたところがアトレティコの対応を後手にしており、細心の注意を払うかと思ったがむしろここを押し引きのポイントに設定した。シメオネがたまにやるエルモソ・チャレンジである。リケルメが低い位置を取れている時は良いが、変なボールの失い方をした時はグリーズマンがここをカバーする逆転現象が起きていたが、そんな事よりグリーズマンがボールの近くで関与できるメリットの方が大きいという判断だろう。実際この試合グリーズマンは稀に見るハイパフォーマンスを維持した。手がつけられない。

・先制
先制点はリケルメが左大外の突破にチャレンジした事と、それをエルモソが高い位置でサポートした事から生まれており、シメオネが期待していた形だろう。クロスの跳ね返りがグリーズマンの前に溢れてきた事は出来過ぎな気もするが、美しい先制ゴールとなった。グリーズマンはこれでCL3戦連発。

この序盤の戦いでアトレティコを牽引したのは間違いなくロドリゴ・リケルメであった。セルティックのジョンストンが序盤から"わからせよう"とかなり強いコンタクトを繰り返してきたが、負けじと強気に挑んだのは良いプレーだった。グリーズマンが左側でMFタスクをやるという事は自分仕事は高い位置で勝負する事。もしかしてグリーズマンのIH起用はリケルメのための過保護だったのかな。世話の焼ける子です。
リケルメはこの日、ベンチにリーノが戻ってきている意味を理解した覚悟を見せていた。結果を求めてギラついていた。これも成長。ポジション争いが生む好循環。13分にはポジティブトランジションで中央を突進。コレアのワンツーを受けてシュートまでいった。それでいい。それが君の特徴でしょう?

しかしこのメンツのポジトラはなかなか反則級の威圧感がある。コケ、バリオス、グリーズマン、コレア、モラタが中央で関わってWBが裏に突っ走ったら相手は相当困るだろう。

・退場
21分に、エルモソと前田がルーズボールに反応したプレーで前田の足裏がエルモソに当たってしまい、VAR介入の結果一発退場に。エルモソが足を伸ばした先にたまたま前田の足裏があったような当たり方で、可哀想な判定だがこれで試合はほぼ決してしまった。短い時間の中でも結局何度かは前田の突破に苦戦しており、セルティックにとっては痛恨。前田はあそこでボールにチャレンジ出来るのが良さなので、避ける事もなかなか難しかった。

これでアトレティコはバリオスとエルモソがほぼフリーウェイでボールを持てるようになり、一方的に殴り始める。何故かヴィツェルは前で潰すのが異常に上手かったんだがそういえばこの選手は元々ボランチでした。そしてモリーナは100回くらいキックミスしてた。

前半ロスタイムにCKのセカンドチャンスでグリーズマンからとんでもないボールがヒメネスにドンピシャで飛んできて、折り返しにモラタが合わせた。一点差のままロッカールームに戻りたかったセルティックだったが、これでアトレティコはほぼ勝利を手中に収めて前半を終える事になる。



●前半終了

2点先制、相手が10人になる、とほぼ試合を決めた前半。セルティックは不運だった。

アトレティコは数的優位になった事で未検証になった箇所も多かったが、この配置はバリオスにバランサーをやらせる事を主題に置いている。これは面白かった。そして彼の新しい役割である。

エルモソが高い位置でボールに関与する以上、左からの前進が増えてコケはそのサポートに近づく。モリーナは大外待ち。バリオスの背後は2枚しかDFが残っていない。しかも真後ろはヴィツェルである。バリオスはこの広いエリアの中継点になると同時にヴィツェルを晒されるようなボールの失い方はご法度。本来コンダクターであるはずのコケに左サイドの仕事に集中させるために、このシステムの指揮官はバリオスだったのである。
スタメンの人選としても"それならジョレンテよりバリオスの方が適任"という判断がされており、たぶんデ・パウルよりもバリオスの方が向いている。そして2-0になった事でこの役割自体が不要になり、バリオスは前半で交代したが問題なく期待役割を果たせており、悪くない印象でプレーを終えた。



●後半

アトレティコはバリオス→ジョレンテ。セルティックはパルマ→オ・ヒョンギュを交代。

後半はセルティックに一本のシュートも打たせる事なく一方的な試合に。60分にグリーズマンのボレーが決まったところで勝負あり。ここまでの3得点全てに関与してお役御免となった。
交代で出てきたリーノは10節セルタ戦以来4試合ぶりの復帰。早速ゴールを決めて存在感をアピールした。あとはモラタ、サウルが加点しゴールラッシュとなった。そして今季、なんとホームゲームでは初のクリーンシート。



●試合結果

6-0と一方的になったが、必勝の一戦をしっかり勝てた。
ポジティブだったのは怪我から復帰途上のヒメネス、リーノが問題なく試合に関われた事。ソユンジュも。
ヒメネスは代表に行くのかどうかわからないが、この試合に合わせて準備できたのは一つ収穫だった。正直ビジャレアル戦は休んでもいい。一歩ずつ進んでいこう。

ターンオーバーと中盤の人数バランスを考えるとグリーズマンの中盤起用はあまり機会は多くならないだろう。ただ選択肢としては強烈であった。必ず前半のうちに先制点が必要な試合などではリバイバルするかもしれない。例えばホームのヘタフェ戦とかそういう機会に。12月にあるんだよね。

そして前田vsエルモソを受け入れてリケルメに高い位置を取らせた点(グリーズマンが後方をカバーした)やバリオスにバランサーを務めさせた事など、先日のラス・パルマス戦で書いた事のアンサーのような責任をリケルメ、バリオスに与えたのが印象的だった。2人は十分期待に応える出来だった。こうやってチームは階段を登っていくんだなと。おれはシメオネの若手起用の方法が大好きなので、この2人への期待感にかなりワクワクしている。もちろんリーノもね。

この試合の結果、アトレティコは再びグループ首位に立った。ラツィオがフェイエノールトに勝ったので、首位通過へもう一つ勝利が欲しい。次はアウェーのフェイエノールト戦。まだここはゴールじゃない。頂点へ。

セルティックはこれで4試合で1ポイント。3位になるにも残り2試合で2勝が必須となった。退場者が出てはなかなか厳しいが、ラツィオ相手に一矢報いる事ができるか。


11/7
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 6-0 セルティック
得点者
【アトレティコ】’6 ’60 グリーズマン ’45+2 ’76 モラタ ’66 リーノ ’84 サウル



●ピックアップ選手

グリーズマン
中盤でプレーし普段以上にボールに触れて試合を支配した。守備対応もさすが。重要な勝利を呼び込む先制ゴールを奪った。

リケルメ
強気にチャレンジしゴールに迫った。結果を求める姿勢を強めている事を高く評価したい。

バリオス
中盤のバランスを担い、長短のパスを送り込んだ。ゴール前に顔を出す場面も多くパフォーマンスが前進。CLに強いね。

ヒメネス
77分間プレー。コンディションを高めてこの一戦に臨めたのは評価したい。守備機会は多くなかったが、試合を決める2点目をアシストした。クロスバー直撃のヘボいヘディングもあった。

リーノ
復帰初戦で得意の角度から一発回答。ギラギラした存在感であくまでもポジション争いをリードする。

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