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最初からやれんのか 【EURO2024 グループB2節】クロアチアvsアルバニア 2024.6.19

初戦を落とした同士の2試合目。3ポイントが欲しい試合。


●スタメン

・クロアチア
リバコビッチ
ユラノビッチ / シュタロ / グヴァルディオル / ペリシッチ
ブロゾビッチ / モドリッチ / コバチッチ
マイェル / ペトコビッチ / クラマリッチ

SBにペリシッチを置いているという事は攻撃的。右SBはユラノビッチ。最前線はペトコビッチになった。

・アルバニア
ストラコシャ
ヒサイ / アイエティ / ジムシティ / ミタイ
アスラニ / ラマダニ / バイラミ / ラチ
アサニ / マナイ

こちらも最前線を変更。バイラミは左に入り、形もやや変えた。



●前半

序盤、狙ったサッカーが出来ていたのはアルバニアの方。

ボール保持ではスタメンに入った14番のラチがトップ下というかマナイの衛星のように走り回り、自陣ビルドアップは2CBと2CHでどうにかする方向性に。マナイの衛星ってガンダムの劇場版のサブタイトルにありそうですね。ごめんなさい。
SBを高い位置に動かしながら電柱目掛けて蹴っ飛ばすと良い事が起こりそうな環境を作っていくアルバニア。初戦は最前線でブロヤが孤立しWGは上下動をするだけで消耗していたのでしんどかった。
先制点はまさにそんな形で、11分に敵陣へ蹴っ飛ばしたボールをマナイが納めて攻撃開始。右サイド高い位置でヒサイが持ったところでアサニがポケットランしフリーで放り込んだ。ニアに衛星のラチが飛び込んでゲット。理想的なゴールでしょう。マナイの衛星。

守備では4-4ブロックを作るというか、クロアチアが真ん中にわらわら人を集めるのでFWがこの辺でうろちょろしていればいいですねという守り方。

この辺

クロアチアは右はマイェルとユラノビッチ、左はペリシッチが大外要員でそこにボールを渡してクロスが基本形だったがアルバニアは自分達のゴール前の固さを信じていた部分もあり特に怖がっていなかった。むしろクラマリッチやペトコビッチがライン間で縦パスを受ける方が危険な雰囲気があったがアルバニアには迷わずファールで止める潔さがある。
クロアチアの再奪回がイタリア(というかフラッテージ)ほどの迫力があるはずもなく、アルバニアは本来自分達がやりたいプレーをさせてもらえていた感じ。クオリティじゃ勝ち上がれないから皆で頑張ろうねみたいなマインドになれた意味では初戦でイタリアに負けた価値もあったのかもしれない。アサニとか頑張ってた。

クロアチアはこの試合が引き分けで良くて前半を0-0で通過できていればこの内容でも悪くなかったかもしれないが、そうはいかなかったのでリスクを取る選択が必要が出てくる。主に右でモドリッチ、ユラノビッチ、マイェルのトライアングルから進んでいくが突破が出来るでもなく4人目の関与があるでもなく、シンプルにクロスを上げても一生点にならなそう。ブロゾビッチが近寄る形はロスト時に大いなるリスクを伴いそうでもありコントロールが難しそうだった。あとこの配置だとグヴァルディオルがカウンター対応で走り回るだけの人になるのが勿体無い。そしてその仕事はたいして得意じゃなさそうというジレンマがある。
アルバニアは29分にも先制点と似たような形を作って最後はアサニにチャンスが来た。31分にもモドリッチの縦パスが引っかかってロングカウンターから最後はアスラニの抜け出しで決定機。守ってカウンターを繰り出せばトドメを刺せそうな実感がさらに守備の結束力を高めている感もあり、アルバニアが試合のペースを握っていった。



●前半終了

1-0で前半終了。アルバニアのやりたい事が出来てしまったのは割とクロアチアのせいで、アルバニアはその中でしっかり先制しその後もカウンターを繰り出した。クロアチアは後ろに人が多すぎて、それでいてボールを失うと普通にカウンターをもらうのでリスク管理全般の考え方を変える必要がある。このメンツではクロスを上げてもチャンスにならないのでそこも変化が欲しい。



●後半

クロアチアは2枚交代。

ブロゾビッチを早めに諦めてパシャリッチとスチッチを投入。配置変更。

グヴァルディオルが左の配球役になってシンプルに前に人を増やす。パシャリッチとスチッチが器用にタスクを分け合って右サイドを上手く活用した。この2人は再奪回の急先鋒になれるのも良い点。

50分に早速モドリッチの縦パスに反応してスチッチが良い形でシュートを打ち、左のペリシッチからのクロスにパシャリッチが飛び込む形も作って説得力が出てくる。58分にはモドリッチのCKがシュタロにピンポイントで合った。肝心のカウンター対応はシュタロが鬼神の如く働き、一人でマナイを止め続けた。すごい。

ここでもう一つ反発したかったアルバニアだが選択肢がなく、どうやって1-0で逃げ切るかに頭が傾いてしまいスタンドの共感も徐々にクロアチアに向いていった雰囲気があった。
勢いに乗るクロアチア側は69分にペトコビッチに替えてブディミル。最前線を入れ替えてさらに得点を狙う方向性を明確にし、ボルテージを上げていった。

あとは決めるだけとなり、同点ゴールは74分。やや間延びした環境でブディミルが頻りに最終ラインと駆け引きし、ドリブルで運ぶコバチッチとタイミングを合わせてクラマリッチに完璧なラストパスと通した。直後にはグヴァルディオルの縦パスからパシャリッチに決定機。これは止められたがさらに76分にブディミルの裏抜けからスチッチのシュート。最後はDFに当たって逆転ゴール。後半に入って執拗に続けた崩しの手順にブディミルのアクションが加わって3度崩した。全て速い縦パスがキーになって背後を取る形。これもまたやれるなら最初からやれ案件である。

あとはボールを保持して試合を終わらせたいクロアチアは81分にペリシッチのアーリークロスでトドメを刺しかけるがギリギリでミタイが掻き出す。アルバニアの頑張りが活きた。

84分に2枚替え。ペリシッチ、クラマリッチ→ソサ、バトゥリナを替えたが結局これが良くわからなかった。勝った気になっていたのかもしれない。同時にアルバニアは初戦でもドリブルで可能性を見せていた26番のホッジャと、最前線に19番のダクを入れる。

これで前線が元気になったアルバニアは蹴っ飛ばせばそれなりにチャンスが作れるようになり90分にホッジャの際どいミドルシュートなど。クロアチアはシュタロがどう考えても消耗しており、ポングラチッチを入れて後ろ3枚などいくらでもやりようはありそうだったが対処療法で乗り切ろうとしたのが明らかに裏目。ロスタイムに入っても左サイドのホッジャの仕掛けが止まらず、ダクがGKの頭を蹴っ飛ばすなど決定機を作る。結局ロスタイム+5分にホッジャがサイドで2人引っ張り、最後は足が止まってゴール前が全員フリー。ジャスラの同点ゴールが生まれて試合が終わった。



●試合結果

互いに3ポイントが欲しかった試合はドローで終えた。この2チームは初戦も"出来るなら最初からやれ"に溢れていたがこの試合も両方そんな印象。どちらも負けた感。

クロアチアは前半の配置から何から意味不明で、どうせ選手交代で変化を入れるなら最初からあんなメンバーで試合する必要はなかった。後半の改善は良かったのでこの形がイタリア戦のスタートになるのならば可能性はありそうだが、ほぼ勝っていた試合を追い付かれたのは厳しい現実である。最後足が止まったのは前半の45分間が原因ならばまだ救いはある。ただネガトラは終始悪かった。攻め込んでいた時間帯もシュタロがリスクを犯し続けていたに過ぎない。

アルバニアはサイド突破できない悩みに対する現状の最適解を見つけた様子。2人がかりでサイドを侵入して電柱+ラチが飛び込む形をモノにした。ロングカウンターは必死のランニングでどうにかしていたが別に良い形はなく、クロアチアのネガトラの悪さに助けられていた。
後半に入ると皆で守ってカウンター以外の選択肢を持てず、それが敵わないと簡単に逆転を許したのは残念。もうちょっと、何か対策できると良かったね。逆転されたあとにもう一度反発できたのは良かったが、"逆転されたから反発する"では生き残れないのは残留争いのクラブを見ていればよくわかる事。最終節は首位のスペイン戦。反発できるか。


6/19
フォルクスパルクシュタディオン
クロアチア 2-2 アルバニア
得点者
【クロアチア】'74 クラマリッチ '76 OG(ジャスラ)
【アルバニア】'11 ラチ '90+5 ジャスラ



●ピックアップ選手

ヨシプ・シュタロ(クロアチア)
仕事エリアがあまりにも広かったがよく仕事した。3ポイントに相応しい仕事をしたが、結果は厳しかった。

マテオ・コバチッチ(クロアチア)
ドリブルの持ち運びと狭いエリアでボールを失わないプレーがチームを動かした。

マリオ・パシャリッチ(クロアチア)
後半投入されるとサイド、ライン間、ゴール前に顔を出して勢いを出した。理屈より身体が動くタイプは停滞するチームの打開策となった。

アンテ・ブディミル(クロアチア)
"あとはこの仕事をするFWがいれば"の環境に投入され2得点を演出。ヒーローになりかけた。

カジム・ラチ(アルバニア)
不足箇所を埋める運動量が序盤のペースを生んだ。チームが撤退を始めるとシンプルに仕事がなくなった。

アルベール・ホッジャ(アルバニア)
初戦に続き勢いに任せたドリブルが同点ゴールに繋がった。貴重な存在。

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