見出し画像

シンギュラリティはもうそこまで来ている

AIが人間の能力を超えてしまうシンギュラリティ(技術的特異点)は2045年頃に訪れるだろうと、当初その概念を提唱した研究者のレイ・カーツワイルによって言われていた。

近未来といえば近未来だけど、まだしばらくは先の話かなと思いきや、

カーツワイルは2029年には「コンピューターは人間レベルの知性を獲得する」と見識を新たにし、シンギュラリティの予見は早まった。

そしてこの頃では落合陽一氏などは2025年にはシンギュラリティは訪れると言っている。
もう再来年…。

予期せぬ新たな発明や社会状況の変化は、加速度的な技術の進歩をもたらした。
皮肉にもそれはcovid-19によるパンデミックという強制的、破壊的な変化によってもたらされる事となった。

パンデミック発生時における世界の変化はロックフェラー財団やゲイツ財団や世界経済フォーラム等で予めいくつかのシナリオ、シュミレーションが描かれており、本当に似たような事態が起こっていたりするものの、

シンギュラリティ発生時におけるシナリオ、シュミレーションは十分ではないように思える。

人間の限界をAIが超えているのだから、人間の創造力が及ばない次元の予想不可能な事が起こるのではないかという事は言われている。

2016年に自分が発表した作品「サイバー神社」では、来たるシンギュラリティの未来に全知全能に限りなく近い存在となったスーパーAIが人間を超える信頼を獲得し、神のように信仰される状態をインスタレーションにて表現した。

そこにはかつて人間が自然界の背後に潜む超自然的な力(神)に対して"畏怖"の念を抱いたように、別の次元である電脳世界の背後に潜む人智を超えた意識体のように振る舞うAIへの"畏怖"の念が新たに現れるであろう事も表現の核に組み込んでいた。

この当時、そうしたリアリティに対する認識レベルはまだSFの範疇を出ていなかったように思う。

今、予測よりも遥かに急速に迫っているシンギュラリティに対して、我々はあまりにも準備に欠けてのんびりしているように思える。

多くの人々が仕事を失うハメになる事は明白であり、ロボットが代替え可能な単純な労働はおろか、人間より賢いAIの台頭は知的生産性に優れたホワイトカラーのエリート達までもが没落し、全くの別世界に変貌する可能性を大いに孕んでいる。

アメリカの調査会社ユーラシア・グループは2023年の世界10大リスクをロシア、中国に次いで第3位に「大混乱生成兵器」というタイトルで「生成系AIの進歩、普及が政治・経済的な混乱に広く影響するおそれがある」と発表している。

そして現在、CHAT GPT等のジェネレーティブAIの衝撃が世界を駆け巡り、世界を変えてしまう程の可能性が身近なリアリティとして感じられるようになってきている。

「AIに聞いた方が確実」な未来はもうすぐやってくるのかもしれない。

AIが人間の限界を超えている為、人類は進歩した「人間拡張」の技術によって脳とコンピューターを接続する事で生き残りを図ろうとするのではないかとも言われている。

皆と同じ優れたOSに繋がる事で得られる安心感、DLして得られる共感は、ともすれば人々の並列化を進め、大衆は先導される羊どころかマインドハックされたマリオネット(操り人形)になりかねない危険性を孕んでいる。

とある宗教の一派はAIをサタン(悪魔)と見做し、原始的な生活へ立ち帰る運動を起こす可能性も考えられる。

余りに強力な技術の悪用や、社会の混乱は防止しなければならない。

我々はこれから急速に、ネットリテラシーならぬ「AIリテラシー」を獲得していく必要に迫られている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?