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星一徹と碇ゲンドウの比較について

どうもこんにちは。ガラパゴス伊藤です。


現在ガラパゴスは5歳と2歳の息子がいます(ジャングル吉井とナイアガラ佐々木)。

結構仲良くやっていますが、たまに「自分はどんな父親になるべきか」悩む時もあります。


そこで今回はガラパゴスが好きなアニメ「巨人の星」と「エヴァンゲリオン」から星一徹、碇ゲンドウの2人をピックアップし、昭和、平成の父親像の変化について考察していきたいと思います!


1. 巨人の星の概要

まず巨人の星の星一徹から紹介していきます。

巨人の星はガラパゴスの父(グリーンランド石井)が好きで、その影響でガラパゴスも中学生くらいに全巻読破しました。

内容がわからない人も多いと思うので、簡単に説明します。


時代背景としては1960年代の王、長嶋V9時代の設定です。

元巨人軍の選手だった星一徹は戦争で肩を壊してしまい、巨人の選手を辞めて日雇い労働者として生活していました。

一徹は息子の星飛雄馬を何としても巨人の選手にさせるため、小学生から野球の英才教育をします(大リーグボール養成ギブスとか)。

まさにこれが典型的なスパルタ教育で、飛雄馬がちょっとでも反抗したらちゃぶ台をひっくり返して明子ねえさんがシクシク泣くというのを繰り返します。


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理不尽な暴力をふるう星一徹



飛雄馬はその後なんやかんや甲子園の決勝にいき、なんやかんや巨人にも入団します。

普通はこれで「飛雄馬も巨人に入れて一徹の役目も終わった」と思うじゃないですか?

星一徹の凄さ(恐ろしさ)はここからなんです!


野球エリートの飛雄馬ですが巨人に入ってからは体格が小さいため球質が軽く、すぐホームランを打たれてしまうことに悩むようになりました。

ここで魔球の大リーグボールが登場します!


まず大リーグボール1号はボールをバッターが構えたバットに当てて、内野ゴロにするという魔球でした。これは飛雄馬の永遠のライバルである花形満が鉄球を打つ特訓をして打ち破ります。


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大リーグボール1号に苦戦する花形満と左門豊作


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大リーグボール1号をホームランする花形

        

しかし花形はこのホームランを打った後に全身骨折してしまい、大リーグボール1号の完全攻略という訳ではありませんした。


そんな中、実は星一徹が中日の打撃コーチになります!そしてメジャーリーグからオズマという外人を連れてきて、なんやかんやあり大リーグボール1号を完全攻略してしまいます。



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大リーグボール打倒ギブスをつけるオズマ


この辺で飛雄馬の親友であるキャッチャーの伴宙太が一徹に「なぜ自分の息子にそんな酷いことをするんだ!」と問います。ここで一徹は「父親とは子供にとっての初めて出会う男である。父親は男が乗り越えるべき壁でなくてはならない」と言います。まさにこれが一徹の父親論なのです。


結局この後どうなるかというと、飛雄馬は大リーグボール2号を開発しますが(消える魔球)割とすぐ花形に打たれ、大リーグボール3号を開発します。


大リーグボール3号は見た目ただのスローボールなんですが、なぜか誰も打つことができません。

その間になんやかんや伴は中日にトレードされます。


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大リーグボール3号を投げる星飛雄馬


物語の終盤で飛雄馬が完全試合達成しそうになります。そしてラストバッターとして一徹の教えを受けた伴がでてきます。

伴は大リーグボール3号を打つのは打つのですが、なんやかんやありアウトになり飛雄馬は完全試合を達成します。

しかしその大リーグボール3号は肘にものすごい負担があり、完全試合達成の瞬間に肘の爆弾が爆発してしまい、飛雄馬は選手生命を絶たれてしまいます。


マウンドに倒れた飛雄馬のもとに一徹が駆け寄り「飛雄馬よくやったぞ!お前には父親らしい事は何もしてやれなかった。最後はこれくらいさせてくれ」と言って飛雄馬を背負って一緒にマウンドを降ります。


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飛雄馬を背負ってマウンドを降りる一徹


これで巨人の星は終わりになります。まぁ実はこの数年後に左ピッチャーだったはずの飛雄馬が実は右利きだったという事がわかり、また巨人の選手に戻るのですが、それはまた別のお話。。


2. 星一徹の心理

では結局星一徹は何がしたかったのでのしょうか?

本当に飛雄馬の事を思っているならば肘が壊れるまで追い詰めるでしょうか?

巨人のためを思うなら中日のコーチになるでしょうか?


これはガラパゴスの予想ですが、一徹の気持ちとして

①自分が巨人の選手として活躍できなかったので、飛雄馬に夢を乗せている

②男としてのプライドがあり飛雄馬に負けたくない


この二つの思いが一徹の中で同時に存在しているのではないでしょうか?


①だけであれば飛雄馬が巨人に入った時点で一徹の役割はほぼ終わっており、仮に飛雄馬の成長を助けるとしても、もう少しやり方があったと思います。


やはり②のように男として息子に負けたくないという気持ちが、ここまで飛雄馬を追い込む事になったのではないでしょうか。


飛雄馬側からすれば、花形満や左門豊作のようなライバルもいたので、一徹が出てこなくてもおそらく大リーグボールを開発し活躍していたと思います。


逆に考えると、一徹にとっては飛雄馬の存在が全てなのです。一徹の存在価値は飛雄馬の壁となる事でしかないのです。


なので結局「巨人の星」とは子供に固執してしまった、星一徹の異常性を表現した作品なのです。


そしてその異常性に一徹本人も気づいており、自分のせいで選手生命を断たれた飛雄馬に申し訳ない気持ちもあり、最後におんぶしてあげたのではないでしょうか?


もし一徹が巨人の選手として活躍できていれば、ここまで飛雄馬に固執しなかったと思います。一徹は結局は自分の男としてのコンプレックスを克服できないまま父親になってしまったわけです。

そして父親という立場を利用して自分のコンプレックスを克服しようとし、結果的に飛雄馬に固執してしまったのです。


ここまで一徹の事をけちょんけちょんに書いてなんですが、実はガラパゴスも一徹の父親学の影響をモロにくらっています。


ガラパゴスのコンプレックスとして「英語ができない事」「絶対音感がない事」があります。


なので子供には英語とピアノを習わせたいとずっと思っていました。


一方でもしジャングル吉井とナイアガラ佐々木がガラパゴスより英語がペラペラで絶対音感の持ち主だとしたら、物凄い劣等感を感じると思います。

そうなることがわかっているので、結局はまだ習わせていません(笑)

なので一徹の気持ちは実はガラパゴスは結構共感するところがあります。


一方こんな毒親に犯された飛雄馬ですが、飛雄馬自身は人間として結構全うな性格をしています。自分のところに来た女性を左門に譲るくらいめちゃめちゃいいやつです。


これはなぜかというと、完全に明子姉さんのおかげです。

一徹という理不尽な父性だけでなく、明子姉さんの圧倒的な母性により飛雄馬は性格が歪む事なく成長します。


この辺は次に出てくるエヴァンゲリオンの碇シンジと大きく異なります。


3. エヴァンゲリオンの概要

次はエヴァンゲリオンの碇ゲンドウについて考察していきますが、さすがにエヴァンゲリオンについてここで簡単に説明するのはあまりにも無茶なので、知らない方はすいませんが他のブログや動画なども参照してください。


要点だけ書くと、母とは死別し父(碇ゲンドウ)にも捨てられた主人公の碇シンジが、久々にゲンドウに呼び出されていきなりエヴァンゲリオンというロボットに乗せられ使徒という怪獣と戦わされるという話です。


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基本的に無口な碇ゲンドウ



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初出動に気合が入るエヴァンゲリオン初号機


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エヴァに乗る事を決意する碇シンジ


普通のヒーローものなら、主人公たちは急に悪と戦う事になっても、なんやかんや「世界を守る!」とか「両親の仇をとる!」など戦う理由を見つけますが、シンジは最後まで「承認欲求」のために戦います。


シンジは自己肯定感が低く、自分の存在している意味を見出せないでいます。

この辺は星飛雄馬とだいぶ違いますね。おそらく母親がいなかった事で自分を肯定してもらえる経験が少なかったことが起因していると思います。


そんな中、エヴァに乗る事でみんなに認めてもらえるようになりシンジも少しずつ自信をつけていきます。


物語の中盤暗いでゲンドウからも「よくやったな、シンジ」と褒められ、シンジは「僕は父さんに褒めてもらいたくてエヴァに乗っているんだ」と気づきます。


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褒められて喜ぶシンジ


つまりシンジはみんなを救うために戦っているというよりも、エヴァに乗ることで自分の存在価値を認識する、簡単に言うと褒めてもらうために戦っています。


まぁ結局そのあとゲンドウに裏ぎられ、大切な友人をどんどん失っていき、生きる希望を失って人類補完計画が発動してしまいます。


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アスカの死に絶望するシンジ


人類補完計画とはなんだって話はエヴァの中で最もキモとなる話なのですが、ここでは簡単に「人間が全員合体して最強の存在(神)になること」とします(かなり乱暴)。


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人類補完計画実行中


シンジが死んでしまいたい気持ちになるとこの人類補完計画が発動する仕組みになっていました。ゲンドウはこれを意図的に誘導していました(めっちゃ酷い)。



つまりシンジ側としては他人から認めてもらいたい、特に父親から認めてもらいたい一心で使徒と戦っていたのですが、結局その気持ちをゲンドウは利用して自分の目的を達成しようとしました。


ではゲンドウ側からストーリーを考えていきましょう。

まず前提として、ゲンドウは死んだ妻(シンジの母)である碇ユイの事がめっちゃ好きです。

まぁ死んだという表現は正確ではなく、本当はシンジの乗っているエヴァに取り込まれています。


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研究者時代の碇ユイ


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エヴァ初号機にダイレクトエントリーする碇ユイ



ゲンドウは何とかしてユイにもう一度会いたいと考え、ユイに会うために自分が神になる計画を立てます。これが人類補完計画です。


人類補完計画を達成するためには使徒を殲滅しなくてはならず、そのためのエヴァを操縦するにはユイの息子であるシンジが必要であり、またそのシンジに絶望してもらうことで人類補完計画を達成することができます。


つまり簡単に言うとゲンドウは自分の目的のために、息子であるシンジを利用しているわけです。


ストーリー的には最後どうなるかというと、結局ゲンドウの計画は直前で失敗してしまい、人類補完計画も達成されず、シンジは生き残ります。この辺はかなり理解が難しいので、本編を観つつ考察サイトなどを参照してください。


5. 碇ゲンドウの心理

ゲンドウの心理描写に関してはエヴァ芸人で有名な稲垣早季さんが紙芝居で解説してくれているので、是非見てください。



では結局ゲンドウはシンジのことをどう思っていたかというと、ゲンドウが死ぬ瞬間(正確にはLCL化)にユイの幻覚に思いを語っています。


ゲンドウ「俺が側によると、シンジを傷つけるだけだ。だから何もしない方がいい」「自分が人から愛されるとは信じられない。私にはそんな資格はない」

そして「すまなかった、シンジ」と語り、エヴァに食べられるイメージで最期を迎えます。


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エヴァに食べられる碇ゲンドウ


基本的にはゲンドウは父親である前に一人の男性として愛するユイに会うために息子のシンジまでも利用しようとしました。


それはユイが母としてシンジを愛している姿を見て嫉妬していた部分もあったと思います。

そもそゲンドウのユイに対する異常なまでの執着は「愛される資格のない自分を愛してくれた存在」として自分へのコンプレックスの反動になっているのかもしれません(実際はゲンドウ結構モテてますが)。


しかしゲンドウの中にも父親としての部分はあり、シンジの事も本当は愛していましたが、他人を愛することが下手なゲンドウは自分も傷付かず、シンジも傷つけない方法として距離を取るしかなかったのです。


なので最後にLCL化する際にユイと一緒になるイメージではなく、シンジへの申し訳なさからエヴァに捕食されるイメージになりました。


6. 一徹 vs ゲンドウ

一見この2人は全く反対の人間のように思えるかもしれません。


一徹は昭和的な頑固親父で、一家の大黒柱として子供に対してもめちゃめちゃ過干渉です。


一方ゲンドウは平成的な父親像で、家庭や子育てに無関心であり、子供にとっては遠い存在のように感じます。


しかし2人に共通している部分はいくつかあります。


①自分の目的(夢)を息子に投影している

②本当は息子の事を愛している

③不器用なため接し方が下手

④自分自身にコンプレックスを抱えている


こう考えると根本的な部分は実は昭和も平成も変わらない、父親が息子に対する思いがあるのではないでしょうか。


やはり男性はプライドが高いので、息子にデレデレしたり、自分の弱さを他人に見せたりする事にすごい抵抗があります。


愛情表現の問題やコンプレックスを克服できないまま父親になる年齢を迎えてしまうのが、現代の男性の問題なのではないかと思います。


7. ガラパゴスとグリーンランド

ではガラパゴスの場合は父親(グリーンランド石井)とはどのような関係だったでしょうか。


ガラパゴスは現在でも父親に対してかなり尊敬の気持ちがあります。


そもそもグリーンランド石井はどういう人かというと、高校時代は地元で一番の進学校に通い、現役で私立の歯学部に合格し、現在も歯科医師として働いています。


とにかくコミュニケーション能力が高く、特に子供受けがいい性格なのでだいたいどの子供からも好かれます。

教養もあり仕事以外にも政治、経済、歴史などの知識にも精通しています。この辺の興味範囲が広いところはガラパゴスも似ています。


まぁA型男性な細かさとか、変なとこでキレたりするのはあまり好きではないですが、客観的にみてもよい父親だと思います。


グリーンランド石井を星一徹と碇ゲンドウと比べると、やはり大きく違うのは「プライドが低い」事と「弱みを見せれる」ところだと思います。


グリーンランドはこの辺がこじらせていないので、ガラパゴスとしても距離感を縮めやすく、逆に尊敬できる父親になっているのではないかと思います。


8. 令和の父親像は?

よく言われているのは、昭和の家長制度がなくなり、平成で一気に共働き世代が増えたので、「厳しい父、優しい母」という構図があまり成り立たなくなっています。


子供にとっては厳しさも優しさも両方バランスよく必要です。

我が家の場合は圧倒的に妻(マダガスカル村田)が怒り役で、ガラパゴスは優しさ担当に甘んじています(笑)


もちろん多くの女性は自己肯定感の低さで悩んでおり、それが体罰など間違った育児に繋がってしまう場合もあります。


一方男性も心理的に父親になる前に年齢的・社会的に父親になってしまう場合も多いと思います。

自分の課題を乗り越えられていない状態で子育てに参加してしまうと、子供に対して屈折した接し方をしてしまうかもしれません。


まずは自分を見つめ、自分の弱さを知り、その弱さも含めて自分を好きになってあげる段階が必要なのではないかと思います。


という訳でガラパゴスも英語が喋れない、絶対音感もない事を認めてあげたいなと思います(笑)


ではまた。

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