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補‌給‌船‌の‌国‌際‌競‌争

ISSへ物資を補給する無人宇宙船、「こうのとり」9号機が日本時間2020年5月26日、午前3時25分にISSへのドッキングが成功し、運用終了した。
これに変わり新たな計画があった。こうのとり(正式名称HTV)の後継船、「HTV-X」の計画だ。
この新しい補給船は、開発が成功すればこうのとりよりも1.82トンも多くの物資を運ぶことができる。ロケットを打ち上げるのに必要となる燃料の量やお金はとてつもなく多いから、一度に運ぶ量が多くなるのは、喜ばしいことだ。

このような改良の他に、もう1つこの補給船には目的がある。国際競争である。
宇宙開発には、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中国など、多くの競争相手がいる。例えばアメリカは、日本の10倍のお金を使って開発をしている。
これらの国々に対抗すべく、新しい補給船を開発したのである。

競争にはいろいろな分野があるが、物資補給船も例外ではない。
アメリカのスペースX社のドラゴン、同じくアメリカのオービタルATK社のシグナス、ロシアのプログレスなどがある。これらの競争相手がいて、それに対抗すべく、この宇宙船を計画しているのだ。

新しい補給船「HTV−X」は、計画では輸送量が世界で一番多い。

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HTV-X 新型宇宙ステーション補給機に関する資料より)

それに加えて、上の表からも分かるように、大型ラックをISSで組み立てることなく運搬・廃棄が可能なのはHTV(こうのとり)とHTV−Xだけという、もとからの利点も保持している。

また、こうのとりに関して言えば、輸送成功率が100%であるという実績もある。HTV−Xが完成すれば、日本が国際的に優位に立ち、日本の宇宙産業に誇りをもたらす大きな一歩となるだろう。

日本の技術力で成功率100%のこうのとりの後継船であるHTV−Xが、効率性の分野と、国際競争の分野でどのような成果を上げるか、大きな期待を持って今後の動向を見ていきたい。

〈参考〉
「こうのとり」9号機(HTV9)ミッション(JAXA|宇宙航空研究開発機構)
こうのとり、成功率100%のまま勇退 新型機が継承へ(朝日新聞デジタル)

S.K.(生徒編集委員・中学1年)

Photo by NASA on Unsplash

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