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【陣馬山・景信山】山頂の茶屋グルメで肥ゆる秋

 「天高く馬肥ゆる秋」。食欲の秋がやってきた。肥ゆるのは馬だけではないようで・・・・・・。

 2023年11月5日。この日の目的地は東京都八王子市と神奈川県相模原市の都県境に位置する陣馬山(855メートル)。午前9時ごろ相模原市のJR藤野駅に到着、身支度を整えて登山をスタートする。中央自動車道の下を通る沢井隧道を抜けて北に進む。

 しばらく車道を歩くと「秘境 陣馬の湯 入口」と書かれた看板が目に入る。このあたりが陣馬山の登山口で、山頂までは複数のコースがある。今回は栃谷尾根を登るコースを選択。午前10時15分ごろトイレが併設された栃谷休憩所に到着する。複数のグループが休憩していた。登山道は整えられており登りやすい。

 午前11時半ごろ陣馬山の山頂に立つ。山頂にはシンボルの白い馬のモニュメントが建っている。秋晴れの空に響くいななきが聞こえてきそうだ。陣馬山の由来は「戦国時代に北条氏と武田氏が対陣したことから、陣張山と言われたものが、後に陣馬(陣場)山と呼ばれるようになった」(神奈川県自然環境保全センターの看板)という。

陣馬山の山頂

 山頂付近は大勢の登山客でにぎわっている。それもそのはず。陣馬山の山頂は複数の茶屋が並び、昼食休憩にはもってこいなのだ。私は「信玄茶屋」で季節限定の「けんちん汁」と「藤野ゆず坊サイダー」を注文。けんちん汁はダイコンやニンジンなど具だくさん。アツアツのけんちん汁にさわやかなサイダーの相性が抜群だった。

 お腹が満たされたところで山頂を離れる。歩きやすい尾根道を進み、奈良子峠を経由して午後0時半ごろ明王峠に到着。小屋は無人で廃墟に近いが、近くにトイレがあるのはありがたい。当初は明王峠から孫山経由で与瀬神社へ下山する予定だったが、まだ日も高く体力もあるので景信山(727メートル)への縦走に切り替える。

 午後1時ごろ堂所山(731メートル)のピークを踏み、午後1時半すぎ景信山に到着する。こちらの山頂も陣馬山に勝るとも劣らぬにぎわい。しかもまたしても登山者の引きつける茶屋がある。「三角点 かげ信小屋」。「四季おりおりの山菜天ぷら」という看板の下で天ぷらがプチプチと揚げられている。2時間前にけんちん汁を食べたばかりというのに食欲が湧いてくる。

野草の天ぷらとなめこ汁

 ということで名物の野草の天ぷら(クレソン、チョマ、イノコヅチ、アカジソなど)となめこ汁を注文。天ぷらは塩のみの味付けで素材そのものの味を楽しむ。トロトロのなめこ汁もうまい。ちなみに、景信山の山頂には人気マンガ「鬼滅の刃」のイラストがたくさん掲示されていた。このマンガに登場するキャラクター「時透無一郎」の出身地が景信山という設定だからだそうだ。

 午後2時半ごろ、小仏峠に到着。かわいらしいタヌキの置物が出迎えてくれる。小仏峠は江戸時代に甲州街道の難所として知られた場所だ。小仏峠の歴史は古い。『新版街道を歩く 甲州街道』(大高利一郎)によると、「戦国時代、武田信玄の家臣、小山田信茂が武州滝山城を攻めたときにこの山路が使われ、江戸時代に入ってから峠道としての通行が盛んにな」ったそうだ。名前の由来は小さな仏像が置かれていたことだというが、いまではタヌキに主役の座を奪われているようだ。近くには「明治天皇小佛峠御小休所阯及御野立所碑」という石碑も建っていた。

小仏峠のマスコットたち

 午後3時ごろ、城山(670メートル)に到着。別名を小仏城山ともいう。ここにも魅力的な茶屋がある。こちらの茶屋もなめこ汁が人気のようだが、さすがにお腹いっぱいで断念。食事の代わりに小屋の周りを彩る紅葉を楽しんでから下山する。相模川まで下り、弁天橋を渡る。相模湖に向かってしばらく進むと、相模ダムがある。左手に見える嵐山の紅葉が美しい。ダム上の築井大橋を渡ればゴールのJR相模湖駅はもうすぐだ。

築井大橋から嵐山と相模湖大橋を望む

 午後4時半ごろ駅に到着する。徒歩圏内に温泉施設はなそうなので、バスで「さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト」内にある温泉施設「さがみ湖温泉 うるり」に向かう。温泉で疲れを癒やすと、あれだけ茶屋グルメを堪能したのに空腹に襲われる。館内の食事処でトンカツ定食をお腹に収めた。秋は山に登っても肥ゆる季節のようだ。

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