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【蓼科山】今季初の雪山へ

 「蓼科山は俗に北八ッと称せられる連嶺の一番北の端に、一きわ抜きんでている峰で、その余威は更に北に向って、次第に高さを落としながら広大な裾野となる」。深田久弥は著書『日本百名山』で蓼科山(2531メートル)を名山と書いている。八ヶ岳の最北端という位置づけだが、円錐形が特徴的な独立峰であり、「諏訪富士」の異名を持つ。晩秋の2023年11月25日。この「名山」に登ることにした。

 午前7時すぎ、群馬県のJR高崎駅で登山仲間と合流。登山仲間の乗用車で長野・佐久市へ向かう。午前8時半ごろ、JR佐久平駅近くのレンタカー店でスタッドレスタイヤを装着した車に乗り換える。1時間ほど車を走らせると、立科町の白樺高原だ。「蓼科スカイライン」をしばらく進むと、7合目登山口の駐車場に到着。周辺の道路は一部凍結している。駐車場のトイレは閉鎖されていた。

登山口はこの鳥居が目印

 午前10時すぎに登山開始。「蓼科神社」と書かれた木製の鳥居をくぐって進む。しばらく登山道に雪は積もっていなかったが、次第に道は白くなっていく。トレッキングポールでバランスを取りながら雪道を踏みしめる。滑らないように注意だ。勾配が険しくなっていくにつれ、足元はふかふかの雪に変わっていく。呼吸を整えるため立ち止まって振り返ると、麓は秋の色に染まっていた。

 午後11時40分ごろ、「蓼科山荘」に到着。ここは将軍平と呼ばれ、山荘の前でほかの登山者たちが休憩していた。山荘は冬季は閉鎖されているようだ。行動食のおやつをつまみ、ひと息ついたら、いよいよ目の前に見える山頂をめざす。

ほかの登山道と合流する将軍平

 登山道脇の樹氷が美しい。この日は雲ひとつない快晴。風も穏やかで雪の景色を楽しみながら登山できた。山荘からゆっくり進むこと約40分。山頂ヒュッテが目に入る。蓼科山の山頂に到着した。といっても蓼科山の山頂は広い。広大な広場にゴロゴロとした岩石が所狭しと密集している。真ん中には鳥居とほこらが鎮座している。雪化粧の幻想的な雰囲気とも相まって、どこか異世界へと通じているのではと錯覚させるものがあった。

蓼科神社奥宮のほこら

 山頂では昼食のカレーを食べる。カレーと言ってもお湯を入れて5分待つだけで完成するインスタント食品。手間はかからない。帰りは来た道を引き返す。下山は登りよりも慎重さが求められる。6本爪のアイゼンを装着して坂道を下っていく。午後4時前に7合目登山口の駐車場に戻ってきた。

 下山後はやっぱり温泉だ。事前に地元の観光協会から聞いた「小斉の湯」へ向かう。内湯に浸かっている時、地元の常連客に「露天風呂に行くべきだよ」と強くすすめられた。小斉の湯は内湯と露天風呂が別になっている。いったん衣服を着て、外気にさらされて寒さがしみる階段を上ると、露天風呂「見晴らしの湯」があった。秘湯感漂う雰囲気のいい露天風呂だ。少し高台にあるため景色がよく見える。ちょうど夕日が沈みかけるタイミングで、夜が深くなる直前の紫色に染まった空が美しかった。

 体を温めた後はくねくねとした山道を通ってレンタカー店に戻る。その帰り道でハプニングが発生。山道での私の運転が荒かったのか同乗の登山仲間を車酔いさせてしまう。本当に申し訳ない。だがレンタカーを返却する頃には調子が戻ってきたようで夕食へ。「蓼科牛」の名前に引かれて「蓼科牛ハンバーグいっとう」という近くのハンバーグ店を選ぶ。店は比較的新しそうで、肉汁あふれるアツアツのハンバーグを堪能。今季初の雪山登山を締めくくった。さて次はどの雪山に登ろうか。

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