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寺尾紗穂が遠野にやってくる。

毎年夏に開かれるシンポジウム「遠野文化フォーラム」。今年は開催日の前夜・8月17日(金)にイベントを実施する。

寺尾紗穂 てらお・さほ 
1981年、東京生まれ。シンガーソングライター、エッセイスト。2006年に『愛し、日々』でソロデビュー。セカンドアルバム『御身』は坂本龍一、大貫妙子らから高い評価を得た。大林宣彦監督作品『転校生 さよならあなた』の主題歌を担当した他、 CM、文筆の分野でも活躍中。
著書に『評伝川島芳子 男装のエトランゼ』(文春新書)、『原発労働者』(講談社現代文庫)、『南洋と私』(リトルモア)などがある。2016年8月に、本連載に登場する曲を歌ったアルバム「わたしの好きなわらべうた」をリリース。


シンガーソングライター・寺尾紗穂さんのライブである。

寺尾さんは歌手として東京を拠点に活躍されており、4月に東京のライブ@高円寺に行ったら200人ぐらいの会場が満員になっていた。

ライブはとても素晴らしく、歌声は「音源か!」と思うぐらいきれいで抜けがあり、そしてどこかユーミンや大貫妙子の時代を思わせる懐かしい世界観があった。聞けばシュガーベイブという伝説的なバンド(山下達郎がソロになる前にいたバンド)のベーシストの娘さんだという。ただ、そんな「〜さんの娘」という紹介の仕方は、寺尾さんには必要はない。とにかく、寺尾紗穂が、すばらしい。


寺尾さんは「たよりないもののために」のように、弱い者の視点で曲を書いている。時代や大きなものから零れ落ちたり、光が届かないものに目を向け、柔らかな歌声でその世界を表現している。寺尾さんが全国各地を採訪し、その地で聞いたわらべうたを歌う活動をしているのも、根底はそんな思いがあるんではなかろうか。

●寺尾紗穂「たよりないもののために」(→大好きな曲)

●寺尾紗穂「ねんねしなされ」
熊本葦北の子守唄。耳になじむメロディと抜ける歌声が気持ちいい。


●寺尾紗穂「幼い二人」
ライブでめっちゃかっこよかった曲。※今回はソロです



今回、そんな寺尾さんを遠野にお招きして、歌を歌っていただけることとなった。きっかけは、今年の春に遠野文化研究センター所長の民俗学者・赤坂憲雄先生と、to knowプロジェクトの及川敏恵さんの二人が意気投合したことによる。

赤坂先生は、寺尾さんと朝日新聞の紙面企画で往復書簡をして交流されており、赤坂先生は彼女の鋭い感性をとても評価なさっていた。

一方、及川さんは遠野の16名の限界集落に寄り添う活動をしていたり、地域で人知れず続いてきた営み、暮らし、民話や歌などに関心を抱いてきた人だ。『遠野物語』に熱狂しているのが富川だとすると、「物語になる以前のもの」に関心を持っているのが及川さんだ。

(左:及川敏恵さん)


そんな赤坂先生と及川さんが意気投合し、「寺尾紗穂さんに、遠野で、遠野のわらべうたを歌ってもらおう」と決まった。

寺尾さんも8/17(金)は予定が空いていて、むかし遠野に来たことがあり嬉しい、と快く引き受けてくださった。こうして、お盆の遠野のライブが行われることになった。

正直、こういう機会がくるまで、わらべうたをきちんと聞いたことはなかった。しかし、調べると日本各地にあり、その地域性を感じることができる。そしてどうやら、子ども向けだけではなく、庶民の歌でもあるそうだ。そんな古くから各地で歌われてきた庶民の歌「わらべうた」を現在活躍しているアーティストが歌うことによって新しい命が吹き込まれ、私たちは古きよき文化と新しく出会い直すことができる。

このような取り組みは、自分自身も、そしてto know というプロジェクトにおいても、これからやりたいことのど真ん中であり、 言葉でいうと平易な表現になってしまうが、"古きよき地域資源の活用を考える一歩" になると信じていて、僕らにとっても新しいチャレンジだと思っている。(遠野文化研究センターには活用しきれていない多くのデータがあるとのこと)。



すこし真面目な案内になってしまったけれど、夏のまつりや芸能ももちろんいいが、こんな素晴らしいアーティストの歌をお盆に聴くのもまた風情があって良いと思う。

最近、すこし遠野での生活に余裕も出てきたので、念願の「オンホット(毎月開催されている遠野のDJイベント)」に行ったり、タイジさんのドラムを聴きにいけたりしている。音楽がないと生きていけないたちではあるので、遠野でこうして音楽に触れる機会があるのは単純に嬉しい。この企画も、いいものになるようサポートしていきたいし、絶対成功させたい。


もうすぐ8月、本番が近づいて来たけれど、ひとりでも多くの方に聴きに来てもらえたら嬉しいと思う。胸を張って、来なきゃ損ですよ、と言える。



チケットはまだまだ枚数がある。
こんな機会なかなかないと思うので、こどもでも大人でもたくさんの人を呼んで、会場を満員にしたい。皆さま、寺尾さんの曲をぜひ聴きに来てください。


会場でお待ちしていますね。
どうぞよろしくお願いいたします。
※チケットは取り置き可能です

●イベントページ
「遠野へ、あなたとわたしのわらべうた」
https://www.facebook.com/events/409892942835520/

<チラシの絵>
チラシの絵は、最期を遠野で迎えた児玉房子さんという素晴らしいガラス絵作家さんの絵。児玉さんもまた名もなき人たち・庶民を対象にガラス絵を描いて来られた方だ。遠野の附馬牛にある「天ヶ森 ガラス絵館」はすっかり遠野で好きな場所のひとつになってしまった。そんな亡くなられた児玉さんの作品を使わせてもらえたのも、及川さんの丁寧なコミュニケーションの賜物だ。本当に及川さんの姿勢は見習うことが多い。


このライブは、いろいろな思いを背負っている。

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