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山田 雄司「忍ぶもの、解き明かすもの」

山田 雄司(やまだ・ゆうじ)——三重大学人文学部教授・国際忍者研究センター副センター長。
専門は日本中世史。著書に『崇徳院怨霊の研究』(思文閣出版)、『怨霊とは何か』(中公新書)、『忍者の歴史』『忍者の精神』(共にKADOKAWA)など。

忍者研究の始動

 近頃、活字を見ていると、「忍」という文字だけが目に飛び込んでくる。二〇一二年から忍者研究をはじめ、十年あまり経つが、意識せずとも脳が自然と「忍」を見つけ出すようになったようである。
 それまでの私の研究テーマは、怨霊や怪異、伊勢信仰、熊野信仰といったところであったが、突然忍者研究に携わることになった。それは、三重大学が国立大学法人となり、地方国立大学の使命として、地域とともにさまざまな課題に取り組み、地域からの要望に応えていく必要が生まれてきたからである。そして、伊賀市からも、ぜひ三重大学が市の問題解決に関わってほしいとの要望があり、上野商工会議所・伊賀市・三重大学人文学部で「伊賀連携フィールド」という組織を作り、教育・文化振興・研究の推進を図るとともに、地域振興上の諸課題等に対応することにより、伊賀地域の充実・発展に貢献することとなった。
 その際、具体的にどのようなテーマについて取り組んでいこうかと話し合った結果、一つの柱として「忍者」に取り組むことに決定した。それは、忍者は伊賀・甲賀がよく知られていて、その存在は世界にも広まっているものの、学術的にはしっかり研究されていないことから、史料に基づきしっかり解明していこうということになった。

―『學鐙』2024年春号 特集「いまそこにある問いと謎」より―

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灯歌
東 直子(歌人)
特集
林 望(作家・国文学者)★
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川島 素晴(作曲家・国立音楽大学准教授)★
成田 聡子(博士(理学)・株式会社日本バイオセラピー研究所筑波研究所 所長代理)★
湯澤 規子(法政大学人間環境学部教授)★
山田 雄司(三重大学人文学部教授・国際忍者研究センター副センター長)★
内藤 陽介(郵便学者・作家)★
企画連載
家 正則(日本学士院会員・国立天文台名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)
永江 朗(ライター)
五十嵐 杏南(サイエンスライター)
髙宮 利行(慶應義塾大学名誉教授)
書評
渡辺 祐真(文筆家・書評家)
水上 文(文筆家 ・文芸批評家)
宮野 公樹(学問論・大學論 研究者)
平山 亜佐子(挿話蒐集家・文筆業)
酒井 泰斗
丸善出版刊行物書評
仲野 徹(隠居・大阪大学名誉教授)
神田 伊織(講談師)

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