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学生の貧富の差について【終末京大生日記47】

 私が小学校を卒業する際、特に何の疑問も持たずに家の近所の中学校に進学した。それが普通だったし、それ以外の選択肢があるとは特に思わなかった。中学校に進学すると、小学生のときに同級生だった子達が何人かいなくなっていることに気がついた。どうやら国立や私立の中学校に進学したらしい。そこで初めて、私は中学受験というものが存在することを知った。しかし、私は中学校の頃は成績が良く、県内で一番進学実績の良かった県立高校に特に苦労もなく合格できたため、わざわざ中学受験をする意図がよく分からなかった。


 しかし、事件は高校生1年生の時に受けた最初の模擬試験で起こる。何と、最低判定であるD判定を取ってしまったのである。高校受験の頃はD判定なんてとったことがなかったし、高校に入学してからは受験時よりもさらに勉強を意識していた。何度やっても、東大・京大・医学部において、C判定以上が取れないのである。私はおかしいと思った。どうやら、都会の中高一貫校は授業の進度が速く、高二の段階ですでに高三の範囲を終わらせており、残りの1年間は復習に費やしているらしい。当時高校生だった私は、「この状況は不公平ではないか」と思った。何なら今でも思っている。


 公立高校という場所は、概ね11月あたりに、授業が終了し、そこから演習となり、1月にはもうセンター試験・共通テストである。私の経験から、物理の話をしよう。京都大学の入学試験の物理は、大問が3問あり、1問目は力学、2問目は電磁気学、そして3問目は原子や熱力学といった構成になっていた。しかしながら、私の通っていた高校では、夏前までは力学しか習っておらず、実質100点満点中の30点分しか得点できないのである。京大の合格ラインである概ね6割を獲得しても、20/100点しか取れないのである。これではE判定まっしぐらだ。


 こうして私は現役時に京大に落ちてしまった、、


 私の実家は極貧というわけではなかったが、裕福な方でもなかった。私に特別にかけられた教育費というのは進研ゼミと中三の最後の半年に通った塾やZ会ぐらいである。幸いなことに浪人時の予備校は模擬試験の成績から授業料が免除された。


 私は大学生の頃に、大学に入学するためにどれくらいの教育費が自分にかけられたのか計算した。計算の結果、小中高すべて公立の私にかけられた教育費はどれだけ高く見積もっても200万円程度だった。


 一方、都会の教育熱心な親の子供は、小学4, 5年生から塾に入れ、中高はもちろん私立。それだけで年間100万円の学費が8年間で800万円である!さらに塾に行こうものなら1,000万円はゆうに下らない。私の学費の5倍である。ここまで学費をかけられれば、落ちる子も受かるものである。


 この事実を知った時私はひどく腹が立ち、仲の良かった私立中高一貫校の友達に、「お前たち中高一貫組は『1日10時間勉強したからとか頭が良かったから、京大に受かった』とかいうけどな、それはまあ事実かもしれん。でもな、1,000万円教育費がかけられたこと、これも事実や。だからこれからは、『俺らは1日10時間の勉強と1,000万円で京大に受かった』と言うんやぞ。それなら納得できる」とサイゼリアでお昼を食べている時にぶつけてみた。

 彼は「いや、その言い方の方が嫌味やろ笑」と軽く流した。

 (確かにそっちの方が嫌味か笑)


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