Strange People【終末京大生日記89】

 東京で暮らしていると変わった人によく出くわす。今朝もそんな変わった人に出会った。

 初老の男で、彼は満員電車の中、周囲の人に「鞄を開けろ、覚せい剤が入っているだろ」と因縁をつけていた。当然、その男に関わりたくない乗客は彼を無視する。私もほかの乗客と同じように彼を無視していたが、彼はあまりにも目立っていたので完全に無視するのは難しい。そのため、ここに書いて今日会った出来事を消化したいと思う。

 彼は周囲に覚せい剤を持っているか尋ねながら何故か、「文句があるなら新宿警察に言え、私は新宿警察の協力者になる」と言っていた。「長い間拘束されるぞ」、「出さないなんて疑わしい」などと何故か警察側に立って話を進めていた。

 私は、「なんで警察官でもないのに警察の真似してるんだよ。警察も余計なお世話だろ」と思っていたが、その後彼は「長い間拘束しやがって、ふざけるな」と言いだした。

 「・・・?」少し考えて、一つのストーリーが浮かんだ。どうやら彼は警察に覚せい剤をやっていると疑われて長い間拘束されていた腹いせに我々に絡んでいるらしい。その警察はおそらく新宿に務めているのだろう。

 一見挙動がおかしい人物も、発している内容が解釈できることがあるのが面白い。

 これは京大時代の話だが私が住んでいた安アパートの隣には、いつも座り込んで通行人にガンつけてるおじいさんがいた。彼は通行人によく怒鳴って口論になったりしていたが、ある時彼は「障害者なめんな、ばかやろー!」と叫んだ。なるほど、彼は周囲から馬鹿にされていると思って、腹を立てていたのか。

 町にいる変な人の感情など別に知りたくもないのだが、彼らの背景が少し見え隠れすることによって、ああ、彼らも人間で事情があるのだなとわかって少しだけ安心する。(周りの人に怒鳴るのは勘弁してほしいが笑)

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