蒲田健の収録後記:いわいとしおさん
今回は、生き物でないものが擬人化されている。
いわいとしおさんの絵本「そらの100かいだてのいえ」
大人気絵本「100かいだてのいえ」シリーズ。地上、地下、海ときて
第4弾の舞台は“そら”。当初はシリーズ化するつもりは毛頭なかったという。
しかし全身全霊をこめて出来上がるとすぐに読者から「次は?」という声が
あがり、しかも多くの場合それが「次は“○○の100かいだてのいえ”が
いい!」という具体的なリクエストを伴っている。唯一無二のものを
クリエイトするのがアーティストとしての矜持。
故に「はいかしこまりました」と二つ返事で請け負うことには抵抗がある。
しかしながら思索を重ねるにつれ、そして様々なリクエストに真摯に耳を
傾ける中で、自分のクリエイティビティと人々の求めるものが徐々に形を
変えながら折り合ってゆく。
設定が変わっても、貫かれているのは細部にまで徹底して描きこむこと。
メイン読者である子供たちはそこに描きこまれたものから彼ら自身の
オリジナルの物語を紡ぎだしてゆく。デジタルメディアにはない
ゆらぎやしなやかさがそこには内在する。そのことがやがてタネとなって
イマジネーションは育まれていく。絵本は人を人たらしめる根源的なものを
育てるために欠かせない、肥沃な大地のような存在なのかもしれない。
「発想が 羽を広げて 飛んで行く
そのとき人は ひとかわむける」
P.S.作品の仕上げ作業をするときのBGMは「ラジオ版学問ノススメ」。
非常にはかどるとのこと。ご愛聴&ご活用、切に感謝です。
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