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貴重なテレビドラマ「渇望」

今となっては貴重なテレビドラマ「渇望」

1990年、「全員が見ていた」というテレビドラマ、「渇望」。
そのDVDを妻が職場の「廃棄リスト」から見つけて持って帰ってきた。放映当時、中国人の友人たちが「昨日の(渇望)、見た?」といつも言っていたことをよく覚えているし、タクシーに乗れば運転手に「見たか」と必ず尋ねられた。

話の舞台は1969年秋から始まる若者の恋愛(不倫も?)ストーリー。恋愛ものといっても、想像するようなラブストーリーとはちょっと違う。

主人公刘慧芳(张凯丽)と二人の男性宋大成(李雪健)、王沪生(孙松)の物語と片づけるほどシンプルではなく、おそらく今では無理であろう文化大革命(1966年~77年)時代も多少描かれている。红卫兵(紅衛兵:こうえいへい)も登場する。王沪生の父親が著名な学者だったために捕まり下放され、残った家族は迫害を受ける。

文革当時は地主、富豪、反動分子、悪質分子、右派分子などとされた人々およびその子女が「つるし上げ」の対象となり、紅衛兵はお構いなしに家に入り込み、本を破棄したり、実際に危害を加えたりしていたという。(ドキュメンタリなどでもよく見る)
さすがにドラマでは、殴る蹴るといった過激な描写はないけれど。

自分が留学していた90年当時、もちろん文革は終わっているがこれは「現代史」。ある程度年配の中国人、とりわけ学歴の高かった方や、親戚が海外にいる経験を持つ人たちには忌まわしい過去を経験している方もいる。

大学の図書館員で、私の家庭教師をしてくれた年配の女性に尋ねたことがあるが彼女は当時のことを話そうとはしなかった。もっともその当時、話してくれたところで自分のリスニング能力では理解できなかっただろう。

その約一年後、自分が北京を離れる時、挨拶に行った際、再び文革のことを尋ねてみた。すると、家は荒らされ、実際に殴打されたことなどを訥々と、そして涙しながら話してくれた。
興味本位で聞いてはいけないことだと悟ったが遅かった。

DVDは6枚、50話まであり、まだ6話までしか見ていないがドラマ自体が懐かしかったのと、図書館員の先生を思い出してしまった。


全部で50話、見終わるのは当分先・・・

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