04 西本願寺伝道院と東本願寺のなまこ壁
京都の左官建築家・森田一弥さんが、トウキョウの建築家・塚本由晴さんを案内する『京都土壁案内』(学芸出版社)。
歴史や様式だけじゃない、多様な表情をみせる土壁の魅力が満載です!
2日にわたる、京都での取材の模様をレポートします。
訪れる人
塚本由晴さん
建築家。アトリエ・ワン主宰
東京工業大学大学院准教授(当時)
案内する人
森田一弥さん
建築家+左官職人
森田一弥建築設計事務所主宰
前回のようす
親鸞聖人750回大遠忌法要で賑わう門前町の町並みのなかに、突如、洋風建築が現れます。
西本願寺伝道院。上部の欄干あたりに、洗い出し仕上げがみられます。
明治時代の建物です。伊東忠太の設計で、最近改修を終えたばかり。
忠太っぽい、独特の動物の石造が鎮座しています。
ドームの下の柱や窓は仏教風のモチーフで、オリエンタルな雰囲気が素敵です。
森田さんによると、このあたりに左官洗い出し仕上げが見られます。
ドーム内部も見せていただきました。
8つの面があって、これも法隆寺の夢殿(八角円堂)なんかを意識してるのかなー?
西の次は東です(宗派が違うんですね)。
東本願寺の北側には立派ななまこ壁があります。ここは私の通勤路。
塚本さんは開口部が気になるよう。まわりに装飾が施されています。
「人間も、開口部のまわりはセクシー」なんですって。
のっぺりした部分は背中で、窓の周りはキュってなって目とか口とか、穴の部分。
おもしろい見方ですね。いろんなものが顔に見えてきそうです。
こんもりとしたなまこ壁。けっこう迫力あります。
上部の開口部付近は繊細な仕上げです。
(第5回に続く)
京都土壁案内
塚本由晴・森田一弥 著
寺社や茶室はもとより、お茶屋や洋館、蔵や土塀まで、時を経て町に滲み出た土壁の魅力を紐解き、巡る、今日の京都の建築・街歩きガイド。京都の若手建築家で左官職人でもある森田一弥の案内は初心者にも優しく、塚本由晴(アトリエ・ワン)の撮り下ろし写真は町の日常に潜む土壁の迫力を見事に切り取った。素人も愛好家も必見。
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