Gaku Kano | 叶 雅久

東京藝大附属→藝大 ジャズミュージシャンです。好きな音楽や好きな理論をシェアできたらと…

Gaku Kano | 叶 雅久

東京藝大附属→藝大 ジャズミュージシャンです。好きな音楽や好きな理論をシェアできたらと思い始めました!Drums/Analog Synth/Rhodes/など弾きます 1st albumが各種ストリーミングサービスよりリリースされました。是非お聴きください!

最近の記事

"Neon in your eyes" 制作について

僕のアルバムの8曲目、"Neon in your eyes" はシンガーソングライター風のメロディーの下で様々なビートが展開されていくことが一つのコンセプトです。 ハーモニーに関しては、最初のセクションでは、日本の音楽理論でいうところのクリシェというものが使われております。これはPaul McCartneyの作曲法においてもよく見られる方法で、和音の一部分、特に、ベースラインなどが音程の近い2度などで、滑らかに変化していくという手法です。Penny laneなどがその代表例

    • "Just a little taste" 制作について

      先月リリースされた僕のアルバムの2曲目、"Just a little taste" この曲はアルバムの中でもかなりテクニカルな立ち位置にいる曲です。全体的には、テクニカルでありながらもメロディーが覚えやすいスローブルース的な空気感を大切にしています。 この曲の肝はやはりベースとドラムになってくるのですが、この曲を語る上で欠かせないのが、僕が尊敬してやまない現代のベーシスト、Thundercatの存在です。彼の速く複雑な、もはやそれまでのベースの概念を覆すリード楽器としての

      • 1st アルバムをリリースしました!

        2024年6月にアルバムをリリースしました。 1) 実演奏ゆえの雑味 2) アナログ機材ならではの音色 3) 覚えやすいメロデイー 4) 緻密なビート 5) スパイスの効いた混ぜ色のハーモニー この5つをコンセプトに多重録音にて完成させたアルバムとなっております。なので機械的な打ち込みを極力排除し、ほぼ全てを手で弾くことにこだわっております。 僕の音楽的ルーツであるジャズを主軸に、R&B、Breakbeats をはじめ、様々な周辺ジャンルをクロスオーヴァー(横断)した内容と

        • Post-facto-metric-Ambiguityについて

          今まで僕が音楽を聞いてきた中で、イントロの部分でドラムが入らず、メロディーのモチーフ、或いはリズミックなリフだけが鳴っていて、いざドラムが入ってきたと思ったら、思っていたところの拍からじゃない!!なるほど今まで聴いてたものは錯覚だったのか!と驚く瞬間があって、それは最初の数回のみで体感できる楽しい体験なのですが、それをPost-facto-metric-ambiguityというらしいです。 となると、ドラムやちゃんとしたコンテクストによってビートやパルスが確定するまではバック

        "Neon in your eyes" 制作について

          短三度下降転調と短三度下降のコンスタントストラクチャーについて

          短三度(m3rd)はオクターブを四等分した、五度圏の図ではm3rd離れた音同士を結ぶと四角になりますが、(Augmented ChordすなわちM3rdなら三角)調号3つ分離れた場所への瞬間移動は、個人的にかなりモダンで、浮遊感のあるフィーリングだと思います。今回紹介するものは短3度下のキーへの転調と、いわばコンスタントストラクチャーの短いヴァージョン、Tell me a bedtime storyの例のB△7 G△7 E△7 C△7の箇所が全部短3度ずつ下降していた世界線の

          短三度下降転調と短三度下降のコンスタントストラクチャーについて

          Olivier Messiaen MTLの2番と7番の共通点についての考察

          フランス生まれの20世紀を代表する作曲家、オルガニストのOlivier Messiaenが彼の著書、「音楽言語の技法」”technique de mon langage musical”(原語フランス語)で紹介している7つの旋法のうち、ジャズでもよく使われる第二旋法について第七旋法と繋がることを発見しました。既出でしたらすみません。 これらは移高の限られた旋法(MLT)”Modes of limited transpositions”という名前で、メジャースケールのように1

          Olivier Messiaen MTLの2番と7番の共通点についての考察