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関東に淡水珍魚を求めて#2 〜鬼顔のクセノキプルス〜
クセノキプルス類ってどんな魚?
聞き慣れないが日本の淡水魚としてよく知られた「オイカワ」という魚もその一味。東アジア全域に分布するコイ科クセノキプルス亜科の魚だ。産卵期には非常に綺麗な婚姻色を身にまとう。
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そんなクセノキプルス類の”鬼顔”との出会いは、中学時代に誕生日プレゼントで買ってもらった「日本の淡水魚」(山と渓谷カラー名鑑)という図鑑だ。この図鑑には熱中した。読み過ぎてボロボロになってしまい、生物部の部室に寄贈したらもっとボロボロになってしまった。すでに絶版となっていることから、寄贈をちょっとだけ後悔し、中古で買い直したのは内緒である。
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君の名は。
「知っている恐竜は?」「好きな恐竜は?」と聞けば、多くの人がティラノサウルスの名を挙げるだろう。獰猛な肉食を想像させる頭部。日本でもその化石が発掘されるなど、話題は尽きない。
中学生の私が出会った”鬼頭”は、そのティラノサウルスのような頭をしたクセノキプルスだった。君の名は?
”ハス”
「…。釣りたい!」
残念なことに琵琶湖原産のその魚が、関東地方でも釣れることは30年前の私には知る由もなかった。関東のハスは正式には「国内外来種」と呼ばれるものだ。現在は琵琶湖産アユの放流とともに日本各地に広がっていることが判明している。
生物学的には生態系の撹乱に繋がるので複雑だが、むしろ世話になっているのでなんとも言えない。
時は過ぎ。
2017年秋。相模川水系の津久井湖の上流にやってきた。相模川はハスが定着している関東の河川だ。もちろん、狙うはハスである。
思い返せば、ハスは何回か四国で釣り上げた気もする。感動したのかどうかは忘れてしまった。当時はブラックバスしか見ていなかったふしがある。自分のことながら非常に愚かだと思う。
そんなわけで今さらだが、若き日の想いに向き合うことにした。
とりあえず、釣り場所に困った場合、流れ込みを狙うのは釣り人にとってのセオリーだ。今回も従う。
良さげな風景を探して湖の最上流域を選択する。降り立ってみると、そこにはオイカワの大群がいた。早くも”ジャパニーズ” クセノキプルスに遭遇。ちなみにハスはオイカワを食べる。期待に胸を膨らませ、ミノーをキャスト。
テンポよく数投したら釣れた。
興奮して、片足落水した。慌てて写真を撮ってリリース…サイズを測り忘れる。
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いつも思うのだが、ベイシャークのように苦戦する時もあれば、今回のような時もある。難易度の高低差に混乱するが、人が魚釣りにハマる仕組みはそこにあると思う。
時期の関係で婚姻色は消えているが、何度見ても、その魚はハスであり、格好の良い魚であった。
ネイティブを琵琶湖で。
2019年初夏。
ネイティブを求め、ついに琵琶湖に繰り出した。時は新型コロナ第一波が少し落ちつき、非常事態宣言や県境を超えての移動が解除されたタイミングだ。都内を飛び出して一路、琵琶湖に向かった。学校が感染拡大の様子見でオンライン授業期間を延長したのも味方した。Zoomならば、どこからでもHRや授業が出来る。これは最高のシステムだ。
あらかじめ「浜ならどこでも釣れるよ。」とのアドバイスをいただけたが、広いぜ琵琶湖…(汗)。
とりあえず、バス釣りでも有名な姉川河口に入ることにしたのだが、琵琶湖の懐の広さに息を呑んだ。押し寄せるコアユの大群。ルアーを引く隙間が無い。
食べにやって来ているはずの肉食魚はぜっにいるはずだ。信じて、周辺を探る。
掛かった!何の魚だ!?
「やった!ハスじゃん!」
独り言が漏れたのを覚えている。
こうして、私は無事に琵琶湖のハスに出会えたのである。しかも婚姻色バッチリ!
ついでにネイティブのニゴイも手にして大満足な私である。ちなみに釣り上げたハスは標本用に雌雄1匹ずつをキープさせていただいた。
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ハスは美味しい!
私がネイティブのハスを釣りにきた目的はもう一つあった。産卵期のハスは琵琶湖沿岸では食用にもなっているのだ。
「ぜひ食べたい!」
そけで地場産の市場でお買い物。
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美味い。
言わずもがな、琵琶湖は日本の淡水魚の宝庫だ。ビワコオオナマズ、イワトコナマズ、ビワマスを筆頭に手にしたい魚がたくさん育まれる湖である。
いつかは琵琶湖のほとりで暮らしたい。
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