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三島市教育委員会と取り組む学校の働き方改革①〜できることからまず取り組む〜

この記事では、静岡県三島市教育委員会とサイボウズがチームになって行う学校業務改善についてお伝えします。


きっかけは「未来の教室」 実証事業

三島市教育委員会(左から)渡辺佑さん、稲木修二さん、杉山慎太郎さん、野村昌寛さん
引用元:リシード https://reseed.resemom.jp/article/2022/02/21/3374.html

サイボウズが「未来の教室」の学校の働き方改革実証事業に参画し、その実証校の1つが静岡県三島市中郷西中学校でした。
まずは学校の様子を知るために先生にヒアリングをさせていただいたところ、校務の仕事に紙書類が多く、それらの多くは教育委員会からきていることが分かりました。教育委員会との業務が改善されると、三島市の全公立小中学校21校の業務改善に繋がり効果が大きいと考えました。
当初予定はしていなかったのですが、学校業務改善を実行するには教育委員会の力を借りる必要があると考え、三島市教育委員会にもヒアリングをさせていただくことになったのが最初です。(2021年10月)

詳細はこちらの記事にありますが、サイボウズとしては教育委員会とのやりとりが初めてだったので恐る恐るという感じでしたが、杉山さん始め三島市教育委員会の皆さんがとても前向きに関わってくださり、その後の取り組みがどんどん進みました。

教育委員会が主導して学校とのやり取りをITツールで効率化

実証事業での実施内容として大きく2本の柱があります。
1. 気持ちに寄り添った伴走
2. ITツールを使った業務効率化

1については下記で投稿しているので、本記事では2についてお伝えします。

1. 気持ちに寄り添った伴走
教育委員会、管理職、教職員が自らの理想を表現できるよう寄り添い、行動を支援しました。
教職員への支援についてはこちらの記事に詳細があります。
・体育の先生編
https://note.com/gakkobpr_cy/n/n33998768ead9
・部活の改善編
https://note.com/gakkobpr_cy/n/nb534d9c610f3

先にも記載しましたが、教育委員会・学校間の紙資料が多いので、それらをITツールでのやり取りに移行することを提案したのですが、生徒の個人情報に関わるものはクラウド化しにくいのが現状です。
というのも、地方自治体が設置する学校は、各自治体が持つ教育情報セキュリティポリシーに則って個人情報を扱う必要があり、自治体の個人情報保護審議会で諮る必要が出てくるとのことです。
一方で、個人情報保護条例2000個問題もあり、運用しやすい措置が講じられている国の動きもあります。

国の大きな動きを横目で見つつ、まずは実装しやすいものからスモールスタートすべく、個人情報に関わらない業務である修繕依頼業務からクラウド化を開始しました。

まずは修繕依頼業務からスモールスタート

公立小中学校施設は自治体が管理するので、何か不具合があった時の修繕も自治体が行う必要があり、三島市では主に教頭先生が、デジカメ、エクセル、メールを使って市教育委員会に修繕の依頼をしていました。

引用元:リシードhttps://reseed.resemom.jp/article/2022/02/21/3374.html

改善前と改善後
・改善前は教員がデジカメで撮影し、デジカメの写真をUSBでパソコンに取り込み、Excelのシートに貼り付けて依頼書を作成し、メールで送付する、という流れでした。
修繕をするまでには教育委員会で業者への見積もりが必要になるケースもありますが、学校側としては今どんなステイタスなのかを知るには電話で問い合わせをする、担当者がいないとステイタスは分からない、ということが起きていました。

・改善後は、タブレットでkintoneアプリを開き、タブレットの撮影機能を使って写真を添付するのでタブレットで完結できる、kintoneを見れば、見積もり中なのか、業者手配済みなのか等、今どんなステイタスなのかを確認することができます。
また、kintoneに過去の依頼情報が蓄積されるのでそれらを確認することも可能になりました。

修繕依頼業務改善の成果(継続活用中)

2022年1月に修繕依頼アプリの運用が始まりましたが、どんどん操作に慣れていき、登録数が伸びていきました。2022年度は4月からの3ヶ月の7/12現在、343件が登録されています。どんどん活用されているのが分かります。

先生側の申請・確認作業もそうですが、市職員の方の負担も大きく減ったと言います。
入力必須項目の設定で記入漏れがなくなった修繕のステイタスについて以前はメールを受けた担当者しか分からなかったのが、誰でも画面上で確認できるようになった、とのことです。

さらに改善できそうそうな業務を探す業務棚卸会

3グループに分かれ、それぞれ市教育委員会と市職員に加え、サイボウズパートナーの株式会社アイティエスの方も一緒に議論をしました

市教育委員会の方、市職員の方に、普段業務で使っているエクセルファイルや紙の情報を持ち寄ってもらい、どんな業務をしているのか、学校とどんなやり方でどんな情報をやりとりをしているのか、を共有してもらいました。
それをもとに、次に取り組む業務を洗い出します。

どんな業務があるのかポストイットに書き出してみる

書き出したポストイットを、ホワイトボードに貼ります。
縦軸で取り組みやすいかどうか、横軸で効果が高いかどうかで分けて、ポストイットを仕分けしていきました。
意外と、取り組みやすく、効果が高そうな業務(右上)が多く見えます。

ホワイトボードを見ながら「先生にとって効果が高いもの、どれだろう?」という市教委の言葉が印象的でした。現場の先生のことを一生懸命考えてくれているんですね。

ホワイトボードを見て、取り組みやすく効果が高そうな業務を見つけます。次に取り組めそうな業務が見えてきました

続く。

これらの取り組みについて、文部科学省から三島市教育委員会がヒアリングを受け、三島市教育委員会の杉山さんが「GIGAスクール構想の下での校務の情報化の在り方に関する専門家会議(第3回)」(当日の資料はこちら)に呼ばれ、kintoneでの取り組みと今後の展望についてお話しする機会をいただけたとのことです。(すごいですね!)

資料の表紙はこんなイメージです。
引用元:文部科学省https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/mext_00361.html