茨城県沖の夢の土地

茨城県沖には、ある季節の大潮の時期にだけ現れる広大な陸地があって、地元の人々は昔からそこを自分たちの土地として農業に利用しているらしい。

どういう由来かは知らないが、その土地をグーグルマップで検索すると「ドネルートのク」という珍妙な名前が表示される。

禁農が解けると、人々はトラクターを全速力でぶっ飛ばして、海水から守っていたビニールハウスを剥がして農地に風を送る。地形が変わっていたりすることにもお構いなしにトラクターを飛ばすので、あちこちで横転事故が発生するけれど、この日を心待ちにしていた人々にとっては何のダメージもない。
消防隊が駆けつけて救助するのかと思いきや、ホースで街に祝い水をかける。もう半狂乱かと思われる祝祭ぶりである。

街? そう、この広大な土地には街もある。飲食店に旅館、商業施設さえある。へたな町の中心街より栄えているようだ。
一体何なのだ、ここは。誰かに詳しく教えてほしいが、この土地についてよく知っていそうな営農者は、トラクターが横転しても気に留めないほど忙しそうだから話しかけづらい。
誰か話が聞けそうな人はいないかと、試しに商業施設に入る。ゲームコーナーで子どもたちが遊んでいる。衣料品など品揃えは何の問題もない。

そこで知人に出会った。名前は思い出せないけど、仕事で会ったことがある人。向こうは僕の名前を覚えている。なぜこんな所にいるのか、この土地のことをどうやって知ったのか、毎年来ているのか。いろいろ聞きたかったけれど、家族連れで来ているところを邪魔するのも気が引けて「それじゃ」とその場を立ち去ったところで目が覚めた。

近年稀に見るいい夢だった。夢ってのはこれくらいダイナミックで支離滅裂でないといけない。

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