街路樹から春の雪

ガソリンスタンドに寄り、普段と少しルートが変わった通勤路でのこと。
住宅地の街路樹が、真っ白い小さな花を散らし、雪のように地面を染めていた。
いままさに散り時のようで、眺めている間にもはらはらと降り注ぐ。
通りを車が走ると地面を滑る格好なんて粉雪そのもの。
なかなか綺麗で、見応えがあった。

純白で、近づいてよく見ると、思いのほか細い花びらをしている。
何ていう木だろうと思って調べると、「ナンジャモンジャ」という全然可愛くない名前でびっくりした。
ナンジャモンジャ……聞いたことはあったけど。これか……。

別名はヒトツバタゴ。まだこっちの方が可愛さの余地がある。
それにしてもナンジャモンジャって何だよ。アイデンティティーが確立されてないみたいじゃん。名付け親こそナンジャモンジャって感じだ。

でもまあ、この名前のおかげでもう忘れないだろうな。ナンジャモンジャがどんな木か。
桜の木も花が咲いた時だけ「ここの木は桜だったのか」と気づくことがあって、その度にちょっと申し訳ない気持ちになる。花の季節だけ愛でてごめんって。

でもあの通りの街路樹は、もうナンジャモンジャだと知っている。
もう「なにもんじゃ」となることはない。

いや分かりにくいな! 別にうまくもないし。やっぱ名前変えよう。

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