時間旅行者の日記なるもの

藤岡みなみさんが文学フリマ東京で「時間旅行者の日記」というノンフィクションを出すらしい。

Xの投稿にその一部が示されていた。
要は、藤岡さんがこれまでに書き溜めてきた数十年分の日記から、年代をごちゃ混ぜにして構成した日記風の読み物、ということらしい。
33歳の藤岡さんが書いた12月10日の日記の次には、13歳の藤岡さんが書いた12月11日の日記が並ぶ、というような。

ものすごく斬新なアイデアだ。
日記を書き続けてきた藤岡さんでなければ繰り出せない技だし、紛れもなくノンフィクションなのに、ファンタジーの感覚なしに読むことはできないだろう。
他では味わえない読書体験ができそう。藤岡さんの作品なのだから掛け値なしに面白いと思う。絶対に読みたい。

読みたい、のだけれど。
読んでいいんだろうか、という気持ちも、一方である。

エンターテインメントとして受け取っていいのだろうか。
だって、藤岡さんの人生をまとめた本ってことなのでは?
先のエッセイなどとは比較にならないほど、その時代、時代の藤岡さんが、ありのままに綴ったものだろうから。
もちろん出版化に当たって加筆修正はしているだろうけど、その時々の記録を大きく変えることはできないはずだ。

あまりに生々しくて、なんというか、畏れ多い。
藤岡さんの人生を丸ごと濃縮したものを、どんな心持ちで受け止めたらいいのか、迷ってしまう。
裏に何か意味が込められているんじゃないか、と勘繰ってしまうほど。

形式にはひと癖あるけど、ひと一人の人生を丸ごと本にしたもの。
これはエンタメとして楽しんでいいんですよね?
ちょっと怖いけど、これは買いたい。文フリには行けないので、たぶんネットで買うかな…。

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